第232回:フリーウェイ沿いの朽ちた建物・Abandoned Buildings Along The Freeway
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
1982年、2年の留学予定で渡米。1984年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更し広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移しエンターテインメント関係の撮影中心に活動。2018年より日本とアメリカの二重生活。近年は旅写真にも力を入れている。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第232回:フリーウェイ沿いの朽ちた建物・Abandoned Buildings Along The Freeway

Arizona州のInterstate Freeway40(州間高速道路40号線)沿いに幾つかの朽ち架けた建物を見かける。中でも2本の矢のサインが目を引く朽ちた建物は印象的で、かつてTwin Arrows(ツイン・アロウズ)と呼ばれたレストラン、お土産屋、ガソリンスタンドがある商業施設だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:31mm

New Mexico(ニューメキシコ)州のAlbuquerque(アルバカーキ)とGallup(ギャラップ)の中間地点で夜を越した私は、Interstate Freeway40(通称I-40)に入り西へ向かった。太陽はすでに東の空高くに昇り日差しは強く、エアコンを全開にする。Arizona(アリゾナ)州へ入り17kmほど西へ走ると、明らかにもう使われていない建物がI-40沿いの右手に見え、出口がすぐ側にあったので立ち寄ることにした。I-40の出口から下りると目当ての建物から400mほど西の場所に出たので、I-40に並行しているローカルな道を東へ戻り、Fort Courage(フォート・カレッジ)と呼ばれた商業施設跡に到着した。そこには朽ちたギフトショップ、ガソリンスタンド、コーヒーハウス、タコベル、そして裏側にはモーテル等の建物があった。Fort Courageは、1965年から1967年の間にABCで放映され、1860年代の南北戦争の終わり頃、アメリカ西部に配置されたアメリカ兵士とアメリカ先住民族に関する風刺的なTVシリーズ「F Troop」に登場した架空の砦だ。1970年代に建てられ2014年頃に閉鎖された商業施設のFort Courageでは、TVシリーズ「F Troop」に因んだお土産物も販売していたようだが、ABCとの問題はなかったようだ。

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塗装が剥げている屋根の部分は、乾燥した空気感と共に今にもパリパリと音を立て剥げ落ちそうに克明に写っているのが等倍で見るとよく分かる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:141mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:19.79MB

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基板がむき出しになった給油機。隅々までシャープに撮るため、カメラを三脚に据えて撮影した。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/25 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:19.92MB

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朽ちたレストラン。強烈な日差しの下、コントラストが強くて半逆光、建物を撮るには悪条件だったが、肉眼で見た光景とほぼ同じような画像を残せた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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まだ残る白いペイントが眩しい朽ちたレストランの軒下。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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少し離れてTVシリーズ「F Troop」に出てきた砦のレプリカFort Courageを撮影。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:18.61MB

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ポプラの綿毛が沢山飛んでいた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:59mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:14.56MB

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実際に何かに使われたタンクだろうか?I-40からもよく見えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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裏側に回るとモーテルだったと思われる建物が何軒かあった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:23.61MB

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超広角レンズの出番だった。朽ちた雰囲気を描写するのにカラーモードはシネマを選択。コントラストは抑えめ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:16.10MB

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モーテルの管理人の部屋だったようだ。ここもカラーモードはシネマを選択。カメラを三脚に据えて撮影。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:0.5 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:22.74MB

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モーテルの庭に設置された吊橋は朽ちてもう渡れないが、当時の宿泊客にとっては印象的だったに違いない。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:31.45MB

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朽ちた吊橋のディテール。調色は温黒調を選んだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:15.82MB

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一番奥に残るモーテルの建物はかなり朽ちている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:21.58MB

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閉店してからかなり経つと思われるジュエリーショプ越しにFort Courageを見る。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:48mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:19.54MB

TVシリーズ「F Troop」に登場した砦のレプリカであるFort Courageが建つArizona州Apache郡のHouck(ハック)という場所は、周辺が平坦なのでさほど標高はないと思っていたが、後日調べてみると標高1,819mもあった。私はHouckから再びI-40に乗り西へ205kmほど走り、2本の矢のサインが印象的な廃墟に立ち寄るため、Twin Arrowsという出口でI-40を下りた。ここは町で言うと60km西のFlagstaff(フラッグスタッフ)と 50km東のWinslow(ウィンズロー)間に位置している。1880年代、鉄道会社(Atlantic and Pacific Railroad)が、馬車道沿いのこの区間に線路を敷くために調査をし、その上にルート66が1926年に開通、結局線路はその北に敷かれた。ルート66はオリジナルのルートが残っている区間も多いが、ルートを何度か変えている区間が多数ある。廃墟になったTwin Arrowsは、1926年に開通したルート66が1937年にそのルートを新たに変えたルート66沿い建っている。当初は1940年代後半、近くの渓谷に因んでCanyon Padre Trading Postとして建てられたが、1954年にオーナーが変わりTwin Arrowsと名前が変更された。1990年代に閉鎖された建物は、現在I-40の北にあるThe Twin Arrows Navajo Casinoが保有しているようだ。Twin Arrowsという名前は、今は廃墟となった16.5km西のTwo Guns(ツー・ガンズ)という町を称えて名付けられたが、機会があればここにも立ち寄ってみたい。

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I-40からもよく目立つTwin Arrows。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 40mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:40mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
ファイルサイズ:18.19MB

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近づくとかなり朽ちていて、いつ倒れてもおかしくない状態だ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:70mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:26.78MB

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いつ見ても気持ちがいいArizonaの青い空を背景にTwin Arrowsの上部を撮影。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 40mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:40mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:14.90MB

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Twin Arrows越しに朽ちた給油ポンプを撮る。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 40mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1600秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:40mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:18.71MB

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廃墟化した建物は落書きされる事が多く、ここも例外ではなかった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:23.95MB

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道路に面した部分の建物を撮る。コンクリートの壁はまだしっかりとしているので内部を補強すれば再オープンできそうだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:21.88MB

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朽ちた建物に入り窓からI−40を見る。割れて残るガラスにフォーカスし廃墟感を強調。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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レストランだった建物は強烈な日差しで塗装の劣化がすごい。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:49mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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Twin Arrowsは地面がひび割れた標高1,793mの乾燥した土地にある。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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Twin Arrowsでの最後の写真。I−40を大型トラックが頻繁に走っていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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Twin Arrows は、当初Canyon Padre Trading Postとして建てられたが、その名前の由来であるPadre Canyon(パドレ・キャニオン)には、オリジナルのルート66の一部だった橋(Padre Canyon bridge)がまだ残っていることを後日知った。橋へは悪路を走らないと到達できないようだが、又行きたい場所が増えてしまった。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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