第229回:栃木県足尾 / Ashio.Tochigi
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
1982年、2年の留学予定で渡米。1984年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更し広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移しエンターテインメント関係の撮影中心に活動。2018年より日本とアメリカの二重生活。近年は旅写真にも力を入れている。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第229回:栃木県足尾 / Ashio.Tochigi

栃木県日光市足尾町の松木川に架かる古河橋(ふるかわばし)に朝陽が差し始めた。古河橋は、1973年に閉山した足尾銅山において、鉱山関係者の社宅等があった赤倉地区と本山精錬所を結ぶ重要な橋梁だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm

江戸幕府の直轄で始まり、明治になると古河鉱業が経営し、1973年に閉山した足尾銅山で知られる日光市足尾町を訪ねた。足尾では古くから銅が発見されていたようだが、一般的には銅の発見は1610年とされる。訪問当日の朝、足尾銅山の面影が壊れずに残され、国の重要文化財に指定されている古河橋を目的地に設定し、朝2時半に神奈川県葉山町の自宅を出た。都内を抜け東北自動車道から日光宇都宮道路を経て、国道122号線を下り、足尾町に入ると渡良瀬川の上流である松木川沿いの県道250号線を北上し、古河橋前の小さなロータリーに到着。公衆トイレもあり観光客が訪れる場所のようだが、朝陽がまだ届かないこの時間はひっそりとしていて、住民の姿もまだ見かけなかった。元々の橋は本山精錬所と銅山関係者の社宅等が建つ赤倉地区を結ぶため、1884年にその間を流れる松木川に木造の直利橋(なおりばし)が架設された。橋は1887年に焼失し、1890年、直利橋跡に古河橋が架設された。その後、橋の老朽化に伴い、1993年に新古河橋が架設され、現在は整備・保存されたが、立ち入り禁止となっている。私は、1993年に架設された南側の新古河橋を渡り、廃線となった足尾本山駅へ架かる出川橋梁の下で朝陽が差し込むまで持参した朝飯を食べながら少し待った後、東の赤倉山から太陽が顔を出し、光が届き始めた古河橋周辺から撮影した。

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赤倉地区から新古河橋で本山地区側へ渡リ空を見上げる。何に使用されたのだろうか?本山製錬所関連の物に違いないが、松木川に注ぐクリークと足尾本山へ向かう道の上をクロスしている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:17.38MB

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足尾本山駅へ向かう足尾線の出川橋梁。今は廃線となったが、朝陽を浴びた橋梁はまだ大きな存在感があった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 40mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:40mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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出川橋梁の手前、その一部と言っていいのか分からないが、貨物列車が通った当時をイメージし、小さな鉄道橋の下から撮影した。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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足尾線の一部と思われる錆びた鉄の棒に清々しい朝陽が当たる。背景に本山製錬所を入れ、その関連性を持たせた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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1884年に設立され、銅山の閉山後もオペレーションが行われたが、1987年に閉鎖された本山製錬所。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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目的地に設定した松木川に架かる全長48.5mのアーチ橋である古河橋に朝日が届きはじめる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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古河橋越しに本山製錬所の大煙突にフォーカスする。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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切れ味抜群の中望遠レンズで、朝陽を浴びた古河橋の一部を切りとる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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古河橋周辺からスタートした私は、本山地区を少し散策した。興味があった本山鉱山神社跡までの道は草木が生い茂り、神社跡までの距離が分からず立ち寄るのは諦めた。本山地域からは、古河橋前のロータリーに車を停めて南へ歩き、小さな橋で松木川を超え、廃線となった足尾線の線路の上に立った。その後、車を停めたロータリーへ戻った私は、松木川沿いを車で北上し、足尾砂防堰堤まで行ってみた。

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本山関連の建物がまだ残るが、敷地内は立ち入り禁止だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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本山鉱山神社跡に続く道に入ると古いテレビを見かけた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/20 秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:52mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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本山鉱山神社跡に続く道に建つ鳥居。生い茂る草木の中へ少し登って引き返したが、草木が枯れる冬は歩きやすくなりそうだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F5.0 | 焦点距離:38mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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古河橋前のロータリーから赤倉地区を南へ歩く。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:51mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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静かな赤倉地区。1人の老人が近所を訪ねていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.0 | 焦点距離:182mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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まだ営業しているのか分からない店の看板。足尾銅山が閉山する前、賑やかな商店街だったのだろうか。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:47mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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松木川を渡り本山製錬所を見ると、渓谷にある製錬所周辺は鉱毒が溜まりやすい地形だったように見える。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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足尾本山駅まで貨物列車が通った線路とトンネル。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:28mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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本山製錬所を代表する巨大な煙突。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:52mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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松木川の西岸に位置する煙突には近づけないので東岸から長いレンズで撮影。煙突上部が近くから見ているようにシャープに写ってくれた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:600mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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周辺の雄大な地形の中、足尾砂防堰堤から規則正しく流れ落ちる水に癒やされる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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足尾砂防堰堤まで北上した後、何箇所かに立ち寄りながら、わたらせ渓谷線の足尾駅まで南下した。

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間藤(まとう)水力発電所跡とされる場所にあるドラム缶のような大きな筒は、南下して来ると目に留まる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:59mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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水力発電所跡の高台に続く道を登った。そこからは本山製錬所まで見渡せ、周辺の地形がよく理解できる場所だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:27mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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松木川沿いの県道250号線を南下して行くと、廃線となった線路にまた出会う。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:33mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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かつては県道250号線を横切っていたようだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:40mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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わたらせ渓谷線の足尾駅に来ると、ちょうど電車が到着したところだった。この時、乗客は一組の老夫婦だけだった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:26mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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鉱毒による公害事件で知られる足尾だが、残された銅山跡は被写体として面白く、周辺の地形にも魅力を感じた。この日、足尾銅山を語るのに欠かせない古河橋周辺を主に散策した。関連の建物の取り壊しが進んではいるが、まだ当時の面影が残る場所が残り、その幾つかを逃してしまった。今回は十分な下調べをせずに訪問したが、一度来た事により見えてきた部分もあるので、季節を変えて足尾銅山跡を撮り足しに再訪問するつもりだ。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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