押本龍一－私の出会う光景－第213回：秋めくナパ（Napa）とソノマ（Sonoma）

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

サンフランシスコから車で北へ1時間ほどの距離にあるナパバレーにはブドウ畑が広がっている。10月中旬の朝、ぶどう畑に赤い葉が所々に見られ秋の気配を感じた。

カリフォルニア州の州都であるサクラメントから北へ65kmの地点にいた私は、日の出前にナパバレーへ着きたかったので、まだ車も少ないフリーウェイ5号線から505号線へ繋いで南下し、フリーウェイを出てからは州道128号を西へ走った。ヘネシー湖（Lake Hennessey）の南岸まで来ると東の空が白々と明るくなり、ナパバレーに入ってセントヘレナで給油をし、日の出を迎えるのに良さそうな場所でその時を待った。

ワイナリーの入り口付近で日の出を待つ。背の高いパームツリーがいい感じにアクセントになってくれた。

ぶどう畑で日の出を迎える。

朝陽に染まるぶどう畑。秋晴れの一日が始まった。

秋色になったぶどうの葉に朝陽が当たる。

朝陽を浴びると突然その存在感が増したぶどう。

ぶどう畑の影で朝陽を避けて撮影。

赤くなった葉を探してレンズを向ける。

赤くなった葉と熟したぶどう。収穫直前ならではの光景だった。

透過光で葉が一段と美しく見える。

日の出を迎えたぶどう畑で撮影後、周辺のぶどう畑も少し見回ったが、ナパバレーの秋の朝は清々しく何処のぶどう畑も輝いていた。私は早朝微かに見えたヘネシー湖が気になり、来た道を東へ戻ってみることにした。ヴァカ山脈（Vaca Mountains）にある貯水湖のヘネシー湖に到着すると、湖面は青くボートランディング周辺には鳥が集まり、湖へ流れ込むクリーク沿いには森が控え素晴らしい自然環境だった。ぶどう畑も良かったがその周辺を囲む山々もまたすばらしく、最高の環境に思えた。

清々しいナパの早朝。何処を向いても朝陽に輝くぶどう畑が広がっていた。

トラクターに乗った男が、ぶどう畑にレンズを向けている私に近づいて来て「多分、今晩から明日の朝までに収穫するよー」と声をかけてきた。

Zinfandelというぶどうの名前のついた道路から水が少なかったナパリバーを見下ろす。

赤くなった葉を求めて散策した。

秋晴れの朝、ワイナリーの入り口に紅葉した一本の木が立っていた。

アメリカオオバンだと思われる鳥の群れ。

白いダイサギの前にマガモが飛んで来た。

ダイサギが舞うヘネシー湖へ流れ込むクリーク。

ダム（Conn Creek Dam）の側に浮かぶ赤い物体にミミヒメウだと思われる鳥が留まり鳴いていた。

人影をほとんど見かけなかったヘネシー湖周辺を散策した後、ナパバレーを通り抜け山を越えて西のソノマバレーへ移動した。ナパバレーのメインストリート（St Helena Hwy）からソノマバレーのメインストリート（Sonoma Hwy）までの約17kmの山道は思った以上に高低差があり、午後の木漏れ日が漏れる森のドライブはなかなかスリルがあった。ソノマに移動すると目に入ってきた有名なワイナリーへ立ち寄った。

ナパバレーのメインストリート沿いにワイン・トレインが通る線路が敷かれている。

ソノマに向かうため山の道に入る前のナパバレーのワイナリー。ここも立派な入り口だった。

ソノマバレーに入るとかぼちゃが出迎えてくれた。

有名なワイナリーのぶどう畑が午後の光に染まっていた。

日が傾きかけてきたソノマ。

雰囲気のあるワイナリーの庭。

山に囲まれたワイン・カントリーは空がまだ明るいうちから山陰が現れ、日の暮れが迫って来るように思われた。この日の夜は少し離れた土地に宿泊予定だったので、夕陽を見ずにソノマを後にした。この日の夜はナパバレーの東で早めに就寝に付いたが、目を閉じると秋晴れのワイン・カントリーの景色が鮮明に蘇ってきた。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ（X3F）を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。