押本龍一－私の出会う光景－第210回：シダー・ブレイクス（CEDAR BREAKS）でキャンプ

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

ユタ州南西部のCedar Breaks National Monumentにあるキャンプ場にテントを張り夏の夜を越した。翌朝、清々しい空気が身に染みる標高3,000m の高地は快晴に恵まれ、朝陽に輝くメドウに羊の群れを見た。

ユタ州の南中央部の街リッチフィールド（Richfield）の夜は、標高1,600mの割に暑く宿泊したモーテルの部屋でエアコンを入れて眠りについた。翌朝、日が昇って間もなくモーテルを出て州道89を南下した。州道は東と西の山地の間を走り、そこにはクリークや湖があり牧場と広大な農場が広がり、優しい風景が続いた。1969年のアメリカ映画（明日に向って撃て！）（原題: Butch Cassidy and the Sundance Kid）の題材になったアウトローのブッチ・キャシディが、幼少期過ごしたとされる家が州道沿いに建っていてワイルドな西部劇の舞台も垣間見られた。

州道89としばらく並行して流れるクリーク沿いに小さなコテージが建っている。クリークの対岸にはバイクパスがあり、あまり知られていない所だがバケーションにはとても良いところだ。

ロバだと思うが、まだ日の届かない山陰でしばらく動かず私を見ていた。

朝陽に牧草が輝いていた。

牧草を撮っていると後方座席に2匹の犬を乗せた牧場主らしい人のトラックが出てきたので、写真を撮らせてもらった。

ペリカンを見かけたパイユート（Paiute）貯水湖。この日は無風に近かったが、湖周辺は強い風が吹き抜け湖面に波が立っていた。

広大な畑に自動的に水が放水され、その水で州道沿いに見かけたサンフラワーは背が高く伸びたのだろうか。

アウトローのブッチ・キャシディが幼少期に過ごしたとされる家。窓ガラス越しに部屋の内部にレンズを向けた。

標高2,000mの町パンギッチ（Panguitch）まで南下し、そこからシダー・ブレイクスへ向かい州道143を西へ上った。シダー・ブレイクスの手前で州道は突き当たり、左折してそこから州道148号となる道を南へ走り、夏休みの週末だったので空きはないだろうと思っていたキャンプ場（Point Supreme Campground）に立ち寄ったところ、数年前にテントを張ったサイトが幸運にも空いていた。私はキャンプ場にテントを張り、ビジターセンターから自然の円形劇場と言われるシダー・ブレイクスを見下ろした後、12kmほど北に位置する標高3,446mのブライアン・ヘッド（Brian Head）まで車で上った。以前来たときは強い風が吹き抜けていたが、この日は風が弱くしばらく周辺を眺めた。

州道143を標高2,500mまで上ると清々しい空気が心地よいメドウが広がり、クリーク（Panguitch Creek）が流れていた。

州道143沿いに溶岩の丘が広範囲に渡り広がっている。

州道143を西へ向かって走る。

ビジターセンターからシダー・ブレイクスの北側を見る。遠くに見える尖った山はブライアン・ヘッド。

ビジターセンターから西の方を見下ろす。

マーモットだと思われる小動物は忙しく動き回っていたが、何かを食べながら立ち上がって止まった瞬間を捉えた。

侵食された赤い岩の尖塔は約70km東のブライスキャニオンと似ているが、標高3,000mという高地のため、侵食はより深いように見える。

ブライアン・ヘッドに向かう途中のメドウはあと数ヶ月で雪に覆われる。

ブライアン・ヘッドに向かう道は雲が側に浮かび天が近くに感じた。

標高3,446mのブライアン・ヘッドは風もなく穏やかだった。

ブライアン・ヘッドからシダー・ブレイクスの西の壁が見える。

例年6月中旬から9月中旬の3ヶ月のみオープンするキャンプ場にまだ日が高いうちに戻り、周辺を散歩し早めの夕食を取った。日が沈むと気温が下がり長袖長ズボンに着替えたが、夜中になって気温は思ったより下がらず、一度だけトイレに起きた以外スリーシーズン用の寝袋の中でよく眠れた。翌朝、日の出前にキャンプ場からブライアン・ヘッドへ上ったが、東の空は雲に覆われていたので日の出はメドウで迎えキャンプ場に戻った。

キャンプホストの女性とまだ1歳になったばかりの犬。

トイレのためテントの外に出ると空一面星だった。

太陽が昇ってきたメドウ。

標高3,000mのメドウに朝陽が届きはじめた。

キャンプ場に咲く黄色いサンフラワー。

私がテントを張ったサイトは木に囲まれ、とてもいい場所だった。

キャンプ場に戻るとほとんどのキャンパーが起きていて、朝ごはんの支度をしていた。キャンプ場に咲いていたサンフラワーが一番綺麗だったので、テントを畳んだ後もしばらくキャンプ場に留まり気持ちのいい朝陽を浴びてから、LAへ向かい山を下りた。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ（X3F）を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。