ロサンゼルスからハイウェイ101を北西に走り、美しい海岸線の街サンタバーバラに着くとすぐに、街の中心から少し離れた辺りで州道154に乗り継ぐ。ロス・パドレス国立森林公園(Los Padres National Forest)に入ると、よく整備された道は急な上り坂になった。左手の西側には太平洋も遠くに望め、車をしばらく停めて眺めたくなる景色が広がっている。6月中旬の土曜日、路肩に車を停めることが禁止されている道には、対向車も多く、そのうちの半分の車にはサーフボードが積まれていた。景色のいい道だったが、私はどこにも停まらず州道154を走り上った。ハイウェイ101から15マイルほど走った辺りに、Vista Point(展望点)と書かれたサインが右手に見え、迷わずそこに車を寄せた。黄色い花が競うように咲く山の斜面を州道154沿いに見ながら、松の香りが漂う小道を少し歩き、サンタ・イネス盆地(Santa Ynes Valley )が見渡せるポイントに立つ。Vista Pointから、州道154をさらに数マイル北西に進むと、カチューマ湖保養地(Cachuma Lake Recreation Area)の入り口に到着する。私は保養地に入らず、ダムが見えるVista Pointまで走り、車を停めてそこから湖に向かって短いトレールを歩いた。誰もいない静かな湖岸に出ると、空より青い湖が、小波を立てていた。
使用機材:SIGMA DP1s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:16.6 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:131 mm
使用機材:SIGMA SD14 | 30mm F1.4 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/2500秒 | 絞り値:F2.0 | 焦点距離:30 mm
カチューマ湖は、北のサン・ラファエル山脈と南のサンタ・イネス山脈に挟まれたサンタ・イネス・バレーを東から西へ、そして、太平洋まで流れ込んでいるサンタ・イネス川にダム(Bradbury Dam)をつくり、川の水をせき止めた貯水湖(Reservoir)である。湖の大きさは3,100 acres (1,300 ha)で、その水は、サンタ・イネス山脈の下を通したトンネルを流れて、サンタバーバラ市をはじめとしたサンタバーバラ・カウンティーのいくつかの市に提供されている。湖の水は、飲料水としても使用され、泳ぐことなど体を水の中に浸すことは禁じられ、湖には自由なアクセスがないように思えた。私は、通り越したカチューマ湖保養地に戻り、一日の施設使用料8ドルを払い、湖畔を楽しむことにした。湖の南岸から北に伸びた小さな半島一体を中心とした保養地には、キャンプ場、プール、ボートレンタル、グロサリー・ストアーの横にはガソリン・ポンプまであり、ちょっとした村に着いた気がする。この日は土曜日ということもあり、既に夏休み気分の家族が、様々のかたちのテントを張りくつろいでいる。ボート・デッキは、出て行くボートと戻ってくるボートで、ここで働く大学生らしき若者は忙しい。カリフォルニア州立サンタバーバラ大学のボート部がこの湖で練習をする、とある資料にあったが、彼らもボート部員かもしれない。
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:251 mm
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD14 | 30mm F1.4 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/4000秒 | 絞り値:F2.2 | 焦点距離:30 mm
使用機材:SIGMA SD14 | MACRO 70mm F2.8 EX DG | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70 mm
湖の小さな半島を歩いてひと回りした私は、半島の北の先から歩くと30分近くはかかりそうな距離に位置する東側のモホーク(Mohawk)と呼ばれるキャンプサイトに車で移動した。グロサリー・ストアーがある中心から離れているが、その分人も少ない。私ならここにテントを張り、湖畔の短いトレールや、フィッシュング・ピアで、のんびりとした時間を過ごすだろう。
そこから、再び保養地の中心に戻り、グロサリー・ストアーでコーヒーを買うと、半島の西側に車で移動した。西日を浴びたフィッシング・ピアと湖の岸辺には、釣り糸を垂らす14,5人ほどの姿を見かけた。その年齢層は幅広く、私は、釣りというと男性のイメージがするのだが、若い女性も数人見かけた。
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA DP1s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:16.6 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 70-200mm F2.8 II EX DG MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:200 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:232 mm
使用機材:SIGMA DP1s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:16.6 mm
日が長くなった6月、まだどこかに移動する時間が残されていたので、私は保養地から出ることにした。「湖の北側には行けないけど、州道154を南に7マイルほど走り、左手に見えるパラダイス・ロードを東に行くと、サンタ・イネス川沿いはきれいで、川では泳ぐこともできるよ」と、保養地の入り口で働く若者が教えてくれた。私は彼から聞いた方向に車を走らせた。
パラダイス・ロードに入るとすぐに、走る鹿を道沿いに見かけた。夕方の柔らかい陽の光で、木々が美しく輝いているが、光が届かない森の中を走る道は既に暗くなり始めていた。道沿いにはキャンプ場があり、夕食の支度をする大家族の姿を見かけた後、その先の道は、水浸しになっていた。サンタ・イネス川を渡るその道には、橋はなく、川は道の上を流れている感じだった。対向車線から、車が水の中に入り川を渡ってきたので、私も川を渡り先へ走った。道は二つに分かれていたが、川沿いを走る道を進んだ。
その後も2箇所、川を道は横断したが、水の量は少なく何の問題もなかった。レッド・ロックというトレールの入り口で、道はゲートで閉ざされ、その先には進めなかった。途中から道の名前が、ジブラルタル・ロードとなっていた。そして、その先にはジブラルタル貯水湖(Gibraltar Reservoir)、さらにその東にはジェームソン湖(Jameson Lake)の2つの貯水湖が、サンタ・イネス川に存在することを地図は示していた。レッド・ロック・トレイル入り口から、走って来た道を西に引き返す。陽の光が届かなくなった道は、もうすれ違う車は1台もなかった。そして、サンタ・イネス山脈の向こうの西の空は、赤く染まり、穏やかな日没を迎えた。
使用機材:SIGMA SD14 | APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:171 mm
使用機材:SIGMA SD14 | 18-50mm F2.8 EX DC MACRO | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:50 mm
使用機材:SIGMA SD14 | MACRO 70mm F2.8 EX DG | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:70 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 70-200mm F2.8 II EX DG MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:110 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 120-400mm F4.5-5.6 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:251 mm
使用機材:SIGMA SD14 | APO 70-200mm F2.8 II EX DG MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:178 mm
なだらかな山の間を流れるサンタ・イネス川にダムをつくり、水をせき止め生まれたカチューマ湖。湖の名前の由来であり、この辺り一帯に暮らしていた先住民族カチューマ・インデアンは、西暦400年から800年の間にポリネシアまで航海したという説もあり、独自のカヌーで水上の移動を得意としていた。彼らの目に、人工湖であるカチューマ・レイクは、どのように写るのだろうか。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。
84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、
広告写真スタジオで働き始める。
91年フォトグラファーとして独立。
95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。
エンターテインメント関係の撮影中心。
近年はライフワークである旅写真に力を入れている。
趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/