周囲に樹木がなく、視界を遮るものが何もないトレール(Parker Ridge Trail)からのサスカチュワン氷河(Saskatchewan Glacier )の眺めは、正にカナディアンロッキーならではの絶景だった。トレールを下り、再びアイスフィールドパークウェイ(The Icefields Parkway)を北に走りだすと間もなくバンフ国立公園からジャスパー国立公園内に入り、人気の観光スポットであるコロンビア大氷原(Columbia Icefields)に立ち寄る。氷原の面積は約325km²、氷の厚さは最大で350mと、大きくて厚い氷の世界が広がっている。私は雪上車で氷河まで行くツアーには参加せず、歩いて大氷原から流れ出たアサバスカ氷河まで近づいた。
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:18 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:33 mm
使用機材:SIGMA SD15 + APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:373 mm
氷河を見た後は、標高3000m以上の山々を西に見ながら、北のジャスパーまで一気に走った。アイスフィールドパークウェイは、ジャスパーの町で国道16号線に突き当たり終わりとなる。私は国道16号線を北へ走り、ジャスパーから約80kmに位置し、国立公園の外にある小さなタウン、ヒントン(Hinton)にこの夜宿泊した。
ジャスパー国立公園の多くのアトラクションは、国道16号線沿いにあるか国道から繋がっている。私は公園外の北のタウンに宿泊し、公園の北端から興味のある地を見ながら南下しようと考えたのだ。
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD15 + APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F4.0 | 焦点距離:70 mm
翌朝、客が少ない宿を出る。暗闇の中、国道16号線を南下しジャスパー国立公園内に入り、すれ違う車がほとんどない道をしばらく走る。東の空が少し明るくなってきた頃、16号線からアサバスカ川(Athabasca River)を渡り、地図に3箇所のアトラクションが記されているマリーン・ロード(Maligne Road)に入った。マリーン・キャニオン(Maligne Canyon)を通り越し東へ20分ほど走ると、明るくなってきた東の空を映し出す大きな水面の前に出る。私には川に見えた水面は、夏は雪解け水で水かさが増し、秋から冬は水かさが下がり一部は沼地のようになる不思議な湖、メディスン湖(Medicine Lake)だった。湖底から水が流れ出て、湖水は自然の地下水路を流れ、下流のマリーン渓谷(Maligne Canyon)へ流れ込んでいる。
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:25 mm
縦の長さ約7kmのメディスン湖の横を走り、さらに山の奥へ入ると大きな湖に行き着き、道はそこで行き止まりだった。細長い湖の端に小さな橋があり、私はその橋の中央に歩いて行った。湖に背を向け北西を見ると、湖から流れ出た水が川になり、朝日を浴びた山に向かって流れていた。湖に向かい南東を見ると、すっかり明るくなった青い空に白い雲がいい感じで浮かび、小波が立つ湖面には静かにぼけて映っていた。そして、湖を囲む山々の向こうから太陽が顔を出した。
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:28 mm
使用機材:SIGMA SD15 + APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:244 mm
この日の朝のマリーン湖には、人影はほとんど無かった。マリーン湖からマリーン・ロードを引き返し、川と間違えたメディスン湖の横を再び走る。ふと気が付くと、湖の向こう岸まで歩いて渡る釣り人の姿を見かけた。大きな風景を独り占めしている釣り人の後ろ姿は、自由と逞しさを感じた。そして湖畔に停めてある釣り人の車の周りに、数頭のビッグホーン・シープがゆっくりと歩き回っていた。
使用機材:SIGMA SD15 + APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:332 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F10.0 | 焦点距離:40 mm
マリーン湖で折り返すマリーン・ロードを走る旅は、マリーン・キャニオンを散策して締めくくった。深い渓谷を勢いよく流れる水を見ていると、自然の地下排水のシステム(underground drainage system)であるこの辺りの水の流れが、何となく分かった気がした。
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1.0秒 | 絞り値:F13.0 | 焦点距離:40 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:0.8秒 | 絞り値:F16.0 | 焦点距離:9 mm
渓谷を離れ、私と同じ旅人に囲まれ、ジャスパーのレストランで軽いランチを食べた後、アイスフィールドパークウェイを南へ約30km走り、轟音を立てて流れるアサバスカ滝(Athabasca Falls)に見入った。
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:オート | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:17 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:23 mm
アイスフィールドパークウェイをさらに南下し、バンフ国立公園に再び戻る。天候に恵まれたこれまでの旅だったが、空は灰色の雲が覆い始め、雲の隙間から漏れた陽の光は、ロッキー山脈をドラマチックに描き出した。
ボウ・バレー・パークウェイ(Bow Valley Parkway)を走ると、紅葉し輝いていたアスペンツリーは葉を落とし、数日前に見た秋の風景は、すっかり冬を待つ晩秋の風景に変わっていた。私はバンフの町に再び戻った。町で宿を探す前にバンフの駅に寄ってみると、長い貨物列車が走って通りすぎて行った。そして私のカナディアンロッキーの旅もここで終りにした。
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F10.0 | 焦点距離:40 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:38 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:50 mm
バンフではまた同じ宿に泊まった。夜は小雨がぱらついたが翌日は晴れ、カルガリー空港までは快適なドライブだった。空港を時刻通り飛び立った飛行機の窓から、カナディアンロッキーがクリアーに見えた。1984年、ユネスコに世界遺産(World Heritage Site)として登録されたカナディアンロッキー山脈自然公園群(Canadian Rocky Mountain Parks)は、4つの国立公園と3つの州立公園によって構成されている。私は、その4つの国立公園 (バンフ、クートニー、ヨーホー、ジャスパー)全てに足を踏み入れたが、どの国立公園もその一部分を見たに過ぎなかった。大きな自然公園群を余すことなく見て回るには、一生掛けても時間が足りないかもしれない。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。
84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、
広告写真スタジオで働き始める。
91年フォトグラファーとして独立。
95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。
エンターテインメント関係の撮影中心。
近年はライフワークである旅写真に力を入れている。
趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/