馬を囲むためと思われる木の柵が、少し朽ちかけている。青空を背景に雪化粧したシェラネバダ山脈が美しく、アメリカ本土(アラスカを除く)で一番高い山、マウント・ホイットニーがすぐそこに見えている。ビジターセンターで得た地図に、「地球で最も古い地質学的形成」と説明されている岩の丘、アラバマヒルズ。私はその周りをゆっくりとドライブし、ローンパインの町でランチブレイクを取った後、風光明媚な道、USルート395を北上した。
使用機材:SIGMA DP1s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F9.0 | 焦点距離:16.6 mm
朝冷え込んでいた気温は上がり、長袖のシャツ1枚が丁度よくなった冬のカリフォルニア、昼過ぎにインディペンデンスに到着する。USルート395沿いがメインストリートになっていることは、この道沿いの他の町と変わらないが、日曜日のメインストリートに人影はない。インヨ・カウンティーの裁判所が、快晴の空の下にひときわ力強く建っている。その斜め向こうに2階建ての外見は立派だが、営業しているのか分からないホテルが一軒、その他に目立つ建物はなく商業的な看板も見ない。人口574人(2000年時)のこの町に、旅の途中に足を止める人は少ないようだ。私は何度かこの町を通過し一度もこの町に車を停めたことはなかったが、快晴のこの日、この町の静けさに惹かれ、USルート395から西の静かなストリートに入ってみた。行き交う車がまったくないマーケット・ストリートにカリフォルニア州の歴史建造物に指定されている作家メアリー・オースティンの木造建ての家が残されていた。ペイントが大分はげている白い柵と柵越しに見える白いシェラネバダ山脈が、青空に映える。そこからほんの少し先へ行くと、この地方の自然環境に触れたオースティンのエッセイ「The Land of Little Rain」のタイトルの通り、雨がほとんど降らないこの地方の歴史物を展示しているイースタンカリフォルニア・ミュージアムに行き着いた。1階建てのオープンスペースに、思った以上に多くの物が展示されていた。その中でもショショニ・インディアンの装飾品やシェラネバダ山脈のパイオニア的登山家の用具が私にとっては興味深かった。裏庭には開拓時代の木造の建物や馬車等が展示されていて、この辺りの昔の生活を想像することが出来、思いがけず貴重な体験をした気がした。
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッタースピード:1/800秒 | 絞り:F3.2 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA APO 70-200mm F2.8 II EX DG MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/640秒 | 絞り:F4.0 | 焦点距離:70 mm
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA 30mm F1.4 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッタースピード:1/1000秒 | 絞り:F2.0 | 焦点距離:30 mm
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F5.6 | 焦点距離:24.2 mm
インディペンデンスからUSルート395をさらに北上しビッグパインへ、そこから168号線を東に30分ほど走り太陽が傾き始めた頃395に引き返し、その夜の宿泊先であるビショップの宿に向かう。まだ完全に暗くなる前だったが、宿のパーキング場の7割は既に車が停まっていた。
チェックインを済ませ、宿の斜め前のイタリアレストランに歩いて行くと店内はほぼ満席で、テーブルに案内されるまで少し待つ。南から北上して来た私の目に、ビショップは人も多く賑やかな町に映った。翌朝、町からシェラネバダ山脈を前方に見ながら168号線を西へ走り、朝日が当たる雪山を眺めた後ビショップの町に戻り、宿のチェックアウトを済ませ、USルート395を少し北上した。
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA DP2 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
北に少し走ると道は上りはじめ、この辺りのシェラネバダ山脈は、山の下の方まで雪がカバーされていた。ハイウェイから逸れて大きな景色の中に入ると、白い雪山まで続いているように見える大きな牧場が広がっていて、そこには数頭の馬が広大な土地を占領していた。太さが違う木の棒が、等間隔にたてられた柵。その柵の横を走る道もまた牧場の敷地の中のように感じられる。そんな道をゆっくりと行きビショップの町まで戻り、USルート395を南下して昨日通過したビッグパインに到着する。
使用機材:SIGMA SD14 + 18-50mm F2.8 EX DC MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/1600秒 | 絞り:F3.2 | 焦点距離:24 mm
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F11.0 | 焦点距離:10 mm
ビッグパインから西のグレーシャーロッジ・ロードに入り、どんどん上って行くと道の周りには雪が積もっていたが、道はきれいに除雪されていた。夏場に数回、テントを張った経験があるビックパインクリーク・キャンプ場まで上りきると、海抜約7700フィート(2350m)のキャンプ場は雪の中だった。5月3日から10月15日の半年間しかオープンしていないキャンプ場に人の姿は見かけない。キャンプ場の入り口は登山口にもなっていて、そこに2台の車が停まっていて、ここから先に車は入れない。私は30分ほどクロスカントリースキーの跡が残る雪の登山道を登った。凍った雪の上は思ったより滑りやすく、なかなか前に進めない。少しの傾斜にもよろけそうになる自分が滑稽に思える。雪のない夏の景色しか知らなかった私にとって、別の国に来たような新鮮な感動を覚えもっと上まで登りたい欲求が高まるが、履いていた靴では限界だった。
雪のため車道が通行止めで、ここまで来られるか半信半疑だった私にとって、夏に数回テントを張った楽しい思い出があるキャンプ場の雪景色をこの眼で見ることができ、どこまでもブルーな空の下、眩しく輝く雪の上に立てただけで満足だった。
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/125秒 | 絞り:F14.0 | 焦点距離:50 mm
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA APO 70-200mm F2.8 II EX DG MACRO HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッタースピード:1/2000秒 | 絞り:F6.3 | 焦点距離:154 mm
使用機材:SIGMA DP1s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:晴れ | シャッタースピード:1/160秒 | 絞り:F11.0 | 焦点距離:16.6 mm
使用機材:SIGMA SD14 + SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:50 | ホワイトバランス:オート | シャッタースピード:1/250秒 | 絞り:F11.0 | 焦点距離:10 mm
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。
84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、
広告写真スタジオで働き始める。
91年フォトグラファーとして独立。
95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。
エンターテインメント関係の撮影中心。
近年はライフワークである旅写真に力を入れている。
趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/