湿った場所を好むフキの群れに元気のよさを感じた。
SIGMA dp3 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3616 × 5424 | ファイルサイズ:22.46MB
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/
岩手県と秋田県にほぼ等面積で広がる山群、八幡平の頂上(標高1,614 m)まで上って来ると、岩手山(標高2,038m)がすぐ目の前に見えた。雪原を独り占めしている男性は、「さっきまでガスっていて何も見えなかったのがウソのようだね」と私に言い、岩手山に向って滑り下りて行った。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:35mm
4月下旬、友人の動画撮影旅行に同行し八幡平へ向った。日本での長距離ドライブはあまり経験のない私は、途中から運転を代わり日本の高速道路の整備の良さに感心しながら東北自動車道を北上した。八幡平は、東北地方の中央部から福島、栃木県まで約500キロメートルに及ぶ日本最長の山脈である奥羽山脈北部の山群で、その名前の通り広い高原が広がり、山と多くの沼や湿原が点在し、1956年に十和田八幡平国立公園に指定されている。動画撮影日前日に八幡平に到着したが、山頂付近は強風で雲がかかり雨も降っていたのでロケハンはせず、宿泊先のホテルで地元の女性写真家さんを囲み地元の酒を飲み、夕飯は盛り上がった。翌朝、動画撮影は遅めのスタートだったので沢山のフキが生息するホテル周辺を独りで散策した。
フキの雌株の花。クローズアップレンズAML72-01を装着し、ズームリングを動かしズームマクロ的に高倍率ズームレンズで撮影。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/4 秒 | 絞り値:F14 | 焦点距離:300mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:9.32MB
凍結の危険があるときは通行止めになることもある八幡平アスピーテラインは、夜間通行止めになり、朝8時半から開通した。案内役の地元写真家さんは、自然の知識はもちろん豊富で、人の良さが笑顔から滲み出ている背の高い元アスリートの美しい女性だった。日本にもこんなにタフで冒険心がある女性がいるのかと感心し、私はとても嬉しくなった。
秋田県にある標高 1,578mもっこ岳。ある資料によると、縄、竹、蔓などを網状に編んだ運搬用具である畚(もっこ)に似ていることから、もっこ岳と呼ばれているとあった。その謂れはともかく、急に晴れた景色の中で、一際目を引くピークだった。
SIGMA dp3 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:20.34MB
アスピーテラインの絶景写真ポイントである標高1,260 m源太郎岩の展望まで上って来ると、霧に包まれ、遠くの景色は何も見えなくなった。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:260mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:5.41MB
頂上付近まで上ると風も強くなり視界も悪くなった。方向や地形の起伏が分からなくなるホワイトアウトをこの辺りで体験し遭難しそうになった案内人の話に現実味を感じた。
SIGMA dp3 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:7.44MB
風は強く気温も下がり、雪の壁に隠れて風から逃れ一休みする。
SIGMA dp1 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:19mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:7.61MB
霧氷にレンズを向ける。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:230mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:7.96MB
少しだけ視界が開けた瞬間を捉える。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:160mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:7.05MB
ガスがかかり何も見えない標高1,614 mの頂上にまで上り、レストハウスでランチを取った後、外に出るとガスが切れ青空も見えて、日本百名山に選定され岩手県最高峰の岩手山もすぐ側に現れた。
八幡平の頂上。ガスが切れて青空も見えた。
SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:11.54MB
風は強く気温も低く、青空が見えてもすぐにガスってしまう。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:95mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:6.55MB
気温マイナス5℃以下に冷却された濃霧が凍結した氷の表層のことを霧氷と呼ぶそうだが、霧氷と呼んでいいのだろうか。冷い空気の中、美しく輝いていた。
SIGMA dp3 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:14.43MB
頂上からは秋田県側に入り少し下りて小さな沢で動画撮影が終わると、案内役の女性写真家と別れ、アスピーテラインを引き返し、頂上から再び下った。下まで来ると今は廃墟となった硫黄と黄鉄鉱を産した松尾鉱山のアパート群が遠くに見えた。そして、東京に戻る翌日の早朝、1972年に閉山した松尾鉱山のアパート群を見に行くことにしたが、友人と彼の仕事仲間も私に付き合うことになった。
岩手山を見ながらアスピーテラインを下って来ると、山間に開かれた松尾鉱山のアパート群が夕陽に照らされていた。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:9.83MB
翌朝、4時過ぎにホテルを出る。この日は天候に恵まれそうで、太陽が昇る東の空は早くも明るくなっていた。
前日の朝とは違って地平線は明るくなり、岩手山も鮮明に見えた。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/30 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:5.87MB
まだ日の出前の神秘的な岩手山。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/50 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:300mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:6.74MB
朝陽に染まる岩手県八幡平市。
SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/80 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:300mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:9.22MB
標高約900 mの山間にまだ建っている松尾鉱山跡のアパート群の廃墟に到着すると、強い朝陽が差し込んでいた。鉱山地域の人口は、最盛期の1960年には1万3000人以上に達したという。まだ壊れずに建つアパート群は、廃墟好きな人達には有名なようだが、この朝は人影は全くなかった。友人と彼の仕事仲間は、廃墟には興味がないらしく、建物の中には私だけが近づいた。建物の周囲は藪になり、まだ残る雪は凍っていて滑り、かなり苦戦して建物の中に入った。廃墟となった鉱山のアパート群の周りは何もなく、雨や曇の朝だったら暗い建物の中に入る気が起きなかったかもしれない。
建物の周りは藪に覆われ、廃墟らしい雰囲気が漂う。東に昇った太陽の光で古い建物の表面のディテールがより克明に写しだされる。
SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:28.38MB
廃墟となった鉱山のアパート内に朝陽が差し込む。廊下に設けた郵便受けだと思うが、朽ちて錆びた質感をリアルに捉えた。
SIGMA dp3 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:16.64MB
もう少し長居をしたかった鉱山のアパート群に別れを告げるつもりで撮影。
SIGMA dp1 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:19mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:5424 × 3616 | ファイルサイズ:18.17MB
友人の撮影旅行に同行するので、景色のいい場所に行けることは分かっていたが、私にとって最も印象的な光景は、最後にレンズを向けた松尾鉱山跡のアパート群だった。まだ雪が深く積もる日本最長の山脈である奥羽山脈北部の美しい八幡平で、人間によってつくられた建物が最も印象的だったことは、天候にあまり恵まれなかったせいもあるのだろうか。いずれにしても、この地を訪問する機会があれば、豊かな自然にもう少し触れてみたい。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。