
谷(Rustic Canyon)へ向って下りていく急な階段を画面の中央にし、周囲の風景を大きく写し込むには超広角ズームレンズが最適だった。南カリフォルニアのサンタモニカ山地にあるマーフィーランチ・トレイルは、自然を楽しむよりそこに取り残された奇妙な建物を見に来る人の方が多いようだ。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
長時間のフライトの前、私はなるべく山や海を歩いて体調を整えることにしている。4月中旬、夜の便で日本に発つことになっていたこの日、山を歩くことにした。サンディエゴ・フリーウェイを北上しサンセット・ブルバードを西へ走って高級住宅地に入り車を停める。建築中の大きな家の前を歩きトレイルらしきダート道に入り少し歩くと、デコボコだが舗装された道になった。落書きをあちらこちらに見るようになり、高級住宅地がすぐ側にあるのが不思議に思える。
山道には落書きがあり、道から転落したピックアップトラックが置き去りにされ、よく見ると落書きがある。カメラバックを持って道から下り近づこうと思ったが、少しでも早く先に行きたかったので道から見下ろして撮影した。セピア調は乾燥してほこりっぽい土地によく似合った。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F6.3
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:11.80MB | 焦点距離:19mm
まだ直射日光が届かなく陰も多いキャニオンの東側から青い空を見上げると、投げて電線に引っ掛けた靴が視界に飛び込んできた。空を大きく取り、ぶら下がる靴を画面左上に小さく置いてフォーカスし、小さくても目立っていた靴の存在感を表現した。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F5.6
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:5.42MB | 焦点距離:150mm
電信柱にも落書き。途中、ゲートが閉まっていて一般の車は通れないと思うが、一応制限速度はあるようだ。内蔵ストロボを発光させ、陰になったサインを起こす。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:10.55MB | 焦点距離:42mm
フェンスが見えてくると谷へ下りていく階段の入口があった。しっかりとつくられたコンクリートの階段はかなり急で落ちていくように下っていくと、階段にも周囲の樹木にも落書があり、私は今まで体験したことのない不思議なトレイルに入り込んでいた。1930年代、ナチスドイツが最終的に戦争に勝ち、アメリカ政府は無秩序状態に陥ると信じた裕福な夫婦がいた。夫婦はナチスの援助を受けるまでしばらくの間、世間から離れ自立して生活できるように大きな屋敷を構築した。落書きされた階段はその一部で、谷底に下りると、私は屋敷の中心的な建物のひとつになるはずだったパワーハウスと呼ばれる建物を探した。
フェンスの土台部分のほとんどの部分に落書きがしてあり、このフェンスの向こう側には不思議な空間が広がっていた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:24.98MB | 焦点距離:23mm
下りて来た階段を見上げる。遊園地に来たような気にもさせる派手な落書きだった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:14.63MB | 焦点距離:8mm
谷底に下りて歩くも、目指したパワーハウスの反対方向へ向ってしまった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:14.21MB | 焦点距離:18mm
谷底で見かけた花。花の上を動き回る小さな虫にフォーカスしてみた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:8.46MB | 焦点距離:150mm
階段を下った谷の底には到る所に落書きがあり、植物も落書と共存していた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:11.44MB | 焦点距離:35mm
落書きされたサボテンは、けっしていい形とは思わなかったが何故か存在感があった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:13.36MB | 焦点距離:24mm
何の建物か分からない朽ちた小屋にも自家発電による電気がきていたようだ。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:0.6 秒 | 絞り値:F8.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:16.34MB | 焦点距離:18mm
高性能大口径中望遠マクロレンズで、落書きされた木の幹を切り取る。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F5.6
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:18.00MB | 焦点距離:150mm
今後も落書きは増え続けるだろうか。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:3136 × 4704 | ファイルサイズ:16.05MB | 焦点距離:23mm
階段から下りて来た学生風の男女3人組みに付いて行ったが、パワーハウスはなかなか見当たらなかった。反対方向に歩いていたことに気がついた3人組みが引き返したので再び彼らに付いて行き、
外も中も落書きされたパワーハウスにたどり着く。木に登ったり、屋根に上ったりして記念写真を撮る人達がいて、パワーハウスが人気のスポットだとすぐに理解する。
パワーハウスの側にある菜園だった跡も落書きだらけ。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:15.71MB | 焦点距離:8mm
やっと見つけたパワーハウスは人気のスポットとなっていた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:18.77MB | 焦点距離:11mm
パワーハウスの内部は、アンダーグラウンド なクラブのように見えた。外付けフラッシュ(ELECTRONIC FLASH EF-610 DG SUPER)発光。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60 秒 | 絞り値:F10
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:12.55MB | 焦点距離:8mm
屋根にも落書きがあった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:11.90MB | 焦点距離:18mm
人が立ち去るのを待ち撮影したパワーハウス。建物内部はフラッシュを発光させた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F9.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:15.13MB | 焦点距離:18mm
パワーハウスに来る人は長くても10分程度で立ち去った。人のいない写真を撮るため、私は奇妙な建物に1時間近く留まった。パワーハウスを撮影した後、谷底から下りて来た階段とは違う階段を上った。階段を上りきる途中、落書きばかりで生き物も見たいと思っていると、山道に長く伸びたヘビに出会い正面から撮影した。ウォータータンクの横を通り、置き去りにされているピックアップトラックが見える地点まで戻ると、朝近づかなかったトラックまで下りて行くことにした。
道の落書きの上をヘビ(Pacific Gopher Snake)が蛇っていた。毒がないヘビだったが驚かせたくなかったので、高倍率ズームレンズを最長に伸ばし距離を取って正面からヘビの顔にフォーカスした。シャープに写っていたヘビの顔は等倍で見ると愛嬌がある。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:10.57MB | 焦点距離:300mm
世間から離れた生活を目指した証拠で、木に囲まれたウォータータンクに沢山の落書きがあった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:12.52MB | 焦点距離:18mm
置き去りにされたピックアップトラックにも落書きがあった。フラッシュ(ELECTRONIC FLASH EF-610 DG SUPER)発光。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F11
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4704 × 3136 | ファイルサイズ:12.97MB | 焦点距離:21mm
南には有名なゴルフコース(Riviera Country Club)があり、LAでもかなり上の高級地に属するエリアなので、落書きだらけの建物が見られるという話はにわかには信じがたいことだった。現実には起こらなかったナチスドイツが戦争に勝ち、アメリカ政府は無秩序状態に陥ると信じた裕福な夫婦は、真珠湾攻撃の日アメリカ政府に捕らわれたそうだが、ロサンゼルス市に属するこのユニークな場所が今後どうなっていくのか見守りたい。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。