使用機材:SIGMA DP1x | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:16.6 mm
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。
91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/
使用機材:SIGMA SD1 + APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:150 mm
グランドキャニオン国立公園に向かう際、玄関口的な街であるフラッグスタッフ(Flagstaff)を通過し、インターステート・フリーウェイ40をさらに東へ85マイル(136km)ほど走り、ホルブロック(Holbrook)でフリーウェイを降りる。ルート66沿いのタウンとして栄えた時代を垣間見る土産屋が数軒建っているが、愛嬌のある大きな恐竜の作り物が私の目を惹く。(化石の森国立公園へ)とのサイン通り州道180号を南東に走ると、木もほとんど見かけない荒野には強い風が吹きぬけ、強烈な日差しでサングラスをかけていても目を細める。荒野をしばらく走ると、国立公園まで繋がる道が州道180号から別れ北へ伸び、その道のコーナーには大きな土産屋が建っている。店の前には、商品としての大きな珪化木(けいかぼく)がたくさん置かれていた。
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD1 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28 mm
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
化石の森国立公園は北側と南側に出入り口があり、私は南側の入り口に到着していた。「今日は風が強いですね」と、女性パーク・レンジャーに挨拶代わりに告げると、「これは普通ですよ」と、彼女は私に返した。そして、浅黒い肌に白い歯が印象的なレンジャーは、公園内の石を持ち帰ることは禁じられていることを私に告げた。19世紀の終頃から木の化石を持ち去る人は増加し、豊富に存在していた木の化石も急激に減っていった。1906年に国定史跡、1966年に国立公園に制定され、現在は公園内から石を持ち出すことは禁じられているが、毎年多くの木の化石が公園内から消えている。 ビジターセンター(Rainbow Forest Museum)に着くと、辺りの地形を説明するショートフイルムをまず観ることにした。その後、ビジターセンターの裏にある短いトレール(Giant Logs Trail)を歩いた。平均海抜5400ft(1600m)の化石の森国立公園の気候は、季節により大きく変わる。夏の暑さはきびしく7月から9月までは雷雨も多く、冬には雪も降る。5月中旬のこの日、暑くもなく寒くもない気温で、強い風以外は年間を通して最高の気候だった。
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD1 + MACRO 70mm F2.8 EX DG | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70 mm
ビジターセンターの近くからスタートし、二つのトレールが繋がっている(Long Logs Trail)(Agate House Trail)も同時に歩く。この時間帯、公園内で珪化木(けいかぼく)が最も密集しているトレールを歩く者は私の他、誰もいなかった。360度視界を遮るものが何もない大地に風が吹きぬけ、いつも以上に帽子の紐を強く結び、靴が大地を踏みしめる音と強い日差しがつくる私の影に、自分の存在を感じて歩く。
使用機材:SIGMA SD1 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:11 mm
2億年以上前の三畳紀(Triassic)時代、木が川に流されこの地に運ばれてきた。火山活動により森は消滅し、火山灰を含んだ土砂に埋まった木は化石となった。木の化石を利用してつくられた家、アゲット・ハウス(Agate House)まで歩く。プエブロ族(Pueblo Indian)によって西暦1050年から1300年頃の間に建てられた家はきれいに復元されている。かつてこの地に住んだプエブロ族の姿をイメージしながらシャッターを押すと、化石の家から話し声が聞こえてきたような気がした。
使用機材:SIGMA SD1 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14 mm
使用機材:SIGMA SD1 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:20 mm
使用機材:SIGMA SD1 + 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:18 mm
トレールを歩いた後は、公園内を北上し、公園内の真ん中辺りに位置するブルーメサ(Blue Mesa)まで足を伸ばした。青いベントナイト・クレイ(Bentonite Clay)と呼ばれる粘土の層が、夕陽に染まる。その光景を眺めていると、人間が住み始める前の地球、または違う星にたどり着いたような気がしてくる。気温が落ち始めるとすぐに日は暮れ、北側から公園を出た。
使用機材:SIGMA SD1 + APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 |
ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:128 mm
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ |
シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:24.2 mm
翌朝、ホルブロックのモーテルで6時前に目を覚ましカーテンを開けると、すでに夜は明け窓から朝の光がまぶしく射し込んできた。化石の森国立公園は7時からのオープンで、ゲートが開くまで公園内には入れない。私はゆっりと朝食を取った後、他の国立公園と比べると出入りの制限を感じる公園の北のゲートを7時過ぎに通り国立公園内に入った。この朝最初に立ち止ったのは、木の化石の前ではなく、ルート66の記念碑だった。マザーロードと呼ばれた道も、木の化石の存在を世に知らしめる役割を果たした。
ルート66の代わりとなった国立公園内を走るインターステート・フリーウェイ40号を横切り、サンタフェ鉄道の線路を渡ると緑地帯が広がっている。そこには樹木も生息し茶色の川が流れ、川のそばにはプエブロ族の住居跡が残されている。干ばつで夏の雨量が減り始めたため川沿いに移り住み、トウモロコシ、豆、カボチャの栽培は氾濫原や川沿いに移されたと考えられている。
使用機材:SIGMA SD1 + 50mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50 mm
使用機材:SIGMA SD1 + 50mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50 mm
水と緑を見た後、前日の夕方に見たブルーメサまで南下しトレールをゆっくりと歩く。
ブルーメサと呼ばれる灰色の山の斜面に見える堆積層は、ペイントスプレーを吹きかけて描いたように私の目に映る。その斜面に囲まれた谷間には、化石になった木がいくつも転がっている。
使用機材:SIGMA SD1 + 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:85 mm
使用機材:SIGMA SD1 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:8 mm
この日、昼前から雲が出はじめた。忙しく動く雲は、陽の光を自由にコントロールしドラマチックなライティングを見せた。雲に遮られ陽の光が直接届かないところは、夜のように暗くなった。陽の光が直撃するところは、まぶしいぐらいに明るかった。
使用機材:SIGMA SD1 + 30mm F1.4 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/1000秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
快晴だった空はすっかり雲で覆われ、それまで感じなかった風が吹き出し、気温も急に下がり始めた。化石の森国立公園の北側の風景を眺めると、あらゆる天候を受け止めてきた色鮮やかな大地が広がっていた。
使用機材:SIGMA SD1 + 30mm F1.4 EX DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
雲行きが怪しくなった空に向かい、私はさらに北へ走った。
※このページに掲載されたSD1の作品は、全てβ版で撮影されたものです。また、掲載された作品はRAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしています。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。