使用機材:SIGMA DP1x | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:16.6 mm
押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。
91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。
オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/
使用機材:SIGMA SD15 + APO 150-500mm F5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:198 mm
4月の中旬、フーバー・ダムからパーカー・ダム付近までコロラド川沿いを旅した。その2週間後、コロラド川のさらに南の風景を見たくなり、私は旅に出た。ロサンゼルスからインターステート・フリーウェイ10を東へ走り、コロラド川を渡る少し手前(アリゾナ州に入る前)で、フリーウェイからカリフォルニア州道78を南に下る。州道は大きな畑の中を走り、衛星写真で見ると周囲を砂漠と山に囲まれた細長い緑色の土地には、緑色の大きな畑が一面に広がっていた。
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:250 mm
大きな畑を走る州道沿いに、ぽつんぽつんと建つ農家は、強風と強い日差しから家を守るためだろうか、どの家も大きな木に囲まれている。そして、大きさが様々な水路が、私の走る道と並行し、横切って流れている。小さな集落、リプリー(Ripley)を通り過ぎても周囲の景色は変わらない。畑の真ん中で十字路に差し掛かり、州道78は右に曲がっていた。私は直進し南へ進んだ。強い日差しの下、大きな畑で働く人々が遠くに見えた。大きな水路も小さな水路も、水が流れていない水路も見かけた。そして、大きな農地には、あちらこちらに干し草が高く積み上げられていた。
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50 mm
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
まっすぐ伸びる道をしばらく南へ走ると小さな橋の前に出た。サインはどこにも見当たらなかったが、流れている川はコロラド川だと分かった。北から流れてきた川は、橋の辺りでは東から西へ流れていた。(時速5マイル以内、40トン以下)と書かれたサインを見ながら幅の狭い橋に入り、歩くような速度で川を渡りアリゾナ州に入る。
コロラド川を渡り少し走ると畑は減り、道の左手、東側は乾燥した砂漠地帯になっていた。さらに南に走ると、道の右手、西側には緑地帯が見えてくる。そして、風に揺れるアメリカの国旗から、国の管轄地帯だと分かるシボラ国立野性動物保護地区(Cibola National Wildlife Refuge)に入る。夏は、気温120 ℉(48.89 ℃)まで達し、年間降水量は、わずか2インチ(50mm)。乾燥したコロラド川の氾濫原に位置する保護地区には、1960年代後半につくられた水路に水が流れ、畑が広がり、鳥の鳴き声が響く森がある。
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 |
絞り値:F8.0 | 焦点距離:24.2 mm
使用機材:SIGMA SD15 + APO 150-500mm F5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:500 mm
さらに南のインペリアル・ダムまで南下したかった私は、保護地区のビジターセンターで勧められた通り、いったん北に引き返しフリーウェイ10で東へ走り、USハイウェイ95を南下する。コロラド川周辺から離れて砂漠地帯をしばらく走り、再び川に近づき、もうひとつの保護地区(Imperial National Wildlife Refuge)と、リゾート施設もある湖(Martinez Lake)にも立ち寄ったが長居はしなかった。その後、インペリアル・ダムへ繋がる道を西へ向かった。西日に向かって走る道には往来する車が多く、そのほとんどはアメリカ軍関係者のものだった。
使用機材:SIGMA SD15 + 30mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:85 mm
軍施設を超えるとインペリアル・ディバージョン・ダム(Imperial Diversion Dam)が見えてくる。ダムの周辺は湿地帯が広がり水路が流れ、どの水の流れがコロラド川なのか分かりづらい。2つの大きな水路(The All-American CanalとGila Gravity Main Canal)にコロラド川からの水を流すため、水面を約25ft(7.5m)上げる目的のために造られたダムの構造は、地上からではなかなか把握できない。私はダムに近づきたかったが、ダムへのアクセスは閉まっていて人影もなかった。そして、コロラド川を渡っていた私は、カリフォルニア州に立っていた。
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:43 mm
使用機材:SIGMA DP1x | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 |
絞り値:F9.0 | 焦点距離:16.6 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:250 mm
コロラド川沿いのインペリアル・ダム・ロードを南に走ると、滝が流れているようなダム(Laguna Diversion Dam)に出会う。道からは、1903年から工事が始まり1905年に完成したダムの一部分しか良く見えず、このダムも地上からその構造を理解するのは難しく、辺りを散策する人間もはほとんどいないようだった。
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/8秒 | 絞り値:F22.0 | 焦点距離:147 mm
使用機材:SIGMA DP2s | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 |
絞り値:F5.6 | 焦点距離:24.2 mm
ダムからさらに南に行くと道は二つに分かれた。日暮れが迫っていたので、私は町に続いていそうな道(州道24)を進んだ。大きな農場を撮影しようと車から外に出ると、強風が私の帽子を吹き飛ばそうとする。水路から水をくみ上げるポンプの音は風の音でかき消され、広大な畑に人影はなく、畑は私のものに思えてくる。
使用機材:SIGMA SD15 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/80秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:8 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:50 mm
使用機材:SIGMA SD15 + 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1.3秒 | 絞り値:F29.0 | 焦点距離:50 mm
その夜、宿泊したアリゾナ州ユマ(Yuma)の街は荒れ狂ったような風が吹き、風の音で何度も目が覚めたが、朝起きると風はうそのように治まっていた。早朝、鉄橋に並行して架けられた橋を何度か渡り、その下に見えた川沿いの公園に車を停めた。私は、公園にいた掃除員に、目の前の川がコロラド川であることを確認した。「この辺りに来るとコロラド川は小さくなり、塩分が強く汚れているから北へ行ったほうがきれいな景色が撮れるし、いい湖もあるよ」と、私のカメラを見ながら、日焼けした顔にサングラスをかけた清掃員は告げた。
使用機材:SIGMA SD15 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:8 mm
清掃員の言うことは正しかったが、さらに南のコロラド川の様子を見たかった私は、コロラド川と並行して走る道、USハイウェイ95を南へ下った。そこには大きな畑があり水路がある景色が広がっていた。ユマまでは州境だった西のコロラド川は、メキシコとの国境になった。
使用機材:SIGMA SD15 + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:9 mm
メキシコとの南の国境のすぐそばまで南下すると、コロラド川に向かい西へ向かって走った。畑の中のダート道を進むと高い鉄の柵が建っている。畑には一人の若者が働いていた。彼は畑の間を走る細い道を指差し、その道を北に行くと柵の向こう側に行けると教えてくれた。畑より少し高くなった細い道を400mほど走ると、柵のゲートの前に出た。柵を越えると水路があり、その向こうの西側一帯は、草木は生存しているが、荒涼とした土地が広がっていた。コロラド川はどこにあるのだろうかと考え西の方を眺めていると、1台の車がゆっくりと近づいてきた。私はすぐにボーダーパトロールの車だと分かった。「コロラド川を見たいのだけど、どこにありますか」と尋ねると、若いパトロール員は、「そこだよ、でも川の水はすべて枯れているよ」と、友達に話しかけるような口調で返し、ここで何をしているのか、どこに行くのか、私に質問をした。私は、ここで写真を数枚撮ったらハイウェイに戻ると告げた。彼は写真を撮り終わるまで私を見ていた。かつて大洪水を頻繁に起こしてきたコロラド川は、写真を撮ったこの場所から数マイル北で枯れ果てているようだった。
使用機材:SIGMA SD15 + 30mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 |
ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
コロラド川は、複雑に分流されいくつかの水路に流れ込んでいる。コンクリートの水路を流れる水の中には、コロラド川と同じ水源からの水滴を感じることができるのだろうか。私にとってひとつだけ確かなことは、水は高い方から低い方に流れてゆく、ただそれだけかもしれない。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。