第72回:冬本番迫るヨセミテ渓谷へ(前編)
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第72回:冬本番迫るヨセミテ渓谷へ(前編)

地面から900m以上の高さがあるエル・キャピタン(El Capitan)と呼ばれる巨岩の上部が、陽の光が届かないヨセミテ渓谷の森から見える。私はひんやりとした森の中に立ち、全貌が見えなくても十分な迫力を感じる花崗岩の一枚岩にフォーカスし、シャッターを押した。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:35 mm

2012年も余すところあと3週間となった早朝、カリフォルニア州中央部の東側に位置するヨセミテ渓谷(Yosemite Valley)を目指し、私は州道99を北上した。かつて明治の時代から日本人が移民し、カリフォルニア州で5番目に大きな街フレズノ(Fresno)に近づくと、広大な農場の間を走るフリーウェイは深い霧に包まれていた。

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もう日の出を迎えている朝の7時半、濃い霧で太陽がどこにあるのか分らない。フリーウェイ沿いを走る貨物列車が北のほうに走り抜けて霧の中に消えてゆく光景を、超広角ズームレンズで捉える。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:8 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:4.80 MB

フレズノで太平洋岸の町モロ・ベイ(Morro Bay)からヨセミテ国立公園までを結ぶ州道41に乗り換え北上すると、深い霧はいつの間にか消え快晴の朝となった。シエラ国有林(Sierra National Forest)のサインを道端に見かけると、道は深い森の中に入って行き、路肩を示すオレンジ色の棒が立ち並び、タイヤチェーンを取り付けるスペースがところどころに設けられている。12月に入り、雪が降ると取り付けが義務付けられる可能性が高いチェーンは車に積んでいるので、安心してカーブの多い山道を走る。ヨセミテ国立公園のサウス・エントランス手前の小さな集落(Fish Camp)まで来ると、池の水面が凍り、枯れた草に降りた霜が朝陽に輝いていた。

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標高1,543mの集落にある池の水面は完全には凍っておらず、その表面に朝陽が射し込み、枯れ草に降りた霜は遠くから見ると雪に見え、この時期でないと見られない光景だった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/60秒 | 絞り値:F10.0 | 焦点距離:150 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:20.38 MB

サウス・エントランスから公園に入り、ワウォナ・ロード(Wawona Road)を北に走る。冬の間は通行止めになるワウォナ・ロードから、標高約2,200mのグレーシャー・ポイント(Glacier Point)まで東へ上る道(Glacier Point Road)は、すでに閉ざされていた。モノ・レイクの側から西へ走り、公園にイースト・エントランスから入るティオガ・ロード(Tioga Road)もサイトによると、雪のため公園内は通行止めとなっていた。2012年の冬の始まりは暦の上では12月21日だが、ヨセミテでは、雪のため11月から5月又は6月初旬まで閉ざされる道があるため、もうとっくに冬が来ていたのかもしれない。
北に走るワウォナ・ロードが、東へ急カーブするとヨセミテ渓谷が見えてくる。反対車線の大きくカーブした道の路肩に設けられた駐車スペースには大型バスも泊まり、私も車を停めて渓谷を眺めた。そこから少し走りワウォナ・トンネルを潜りぬけると、トンネルビューとして知られるヨセミテ渓谷の美しい景色が一望できる展望地に出る。道の左右に駐車場が設けられ大型バスが2台停まり、多く人がカメラを構えていた。私も立ち寄ったが人が多いので、長居はせず大渓谷の底に下りて行った。

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ヨセミテ渓谷が見えてきた。渓谷の底からの高さは約1,500m、海抜は約2,690mの半球を割ったようなハーフ・ドーム(Half Dome)が、渓谷の向こうの真ん中に見え、頭には少しだけ雪を被っていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:15.70 MB

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トンネルビューの南斜面を上り、さらにいい景色を積極的に見ようとする人が下りてきた。

使用機材:SIGMA DP2 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:14.06 MB

白人が入るずっと昔、この地域にはパイユート(Paiute)族とシエラ・ミウォク(Sierra Miwok)族が住んでいた。19世紀中期に白人が渓谷に入りはじめた頃、渓谷には幾つかの部族からなるアワニチ(Ahwahneechee)族と呼ばれるアメリカ先住民族が住み、彼らは渓谷を大きな口、アワニー(Ahwahnee)と呼び、アワニーに住む人々という意味で自分たちをアワニチ(Ah-wah-ne-chee)と呼んでいた。ゴールドを求めてやって来た人々と先住民族との戦い(Mariposa War)の最中、マリポサ大隊によってアワニチ族の村は焼かれた。公式的な認識では、アワニチ族は19世紀に絶滅したことになっているが、連邦政府は何度かヨセミテからアワニチ族を立ち退かせている。そのアワニチ族が、渓谷の入り口を護るスピリットであるポハーノ(Pohono)の家だと信じたブライダルベール滝(Bridalveil Fall)が、渓谷内で最初に立ち寄った場所となった。

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数分いただけで服が濡れ、大量の霧が降りかかる落差約188mのブライダルベール滝(Bridalveil Fall)。見上げるように滝に向けたレンズに容赦なく霧が直撃する。滝からの霧を吸い込むと結婚相手に巡り会う機会が増すと、アワニチ族は信じた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/5秒 | 絞り値:F16.0 | 焦点距離:9 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:13.11 MB

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冬には流れ落ちる水が少ないといわれるが、前の週に降った雨のためか、滝つぼには激しく大量の水が流れ落ちていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:0.4秒 | 絞り値:F16.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:14.81 MB

渓谷の入り口を護るスピリットであるポハーノの家であるブライダルベール滝に挨拶をした後、渓谷を奥に進むと、道は渓谷の南側を東へ進む一方通行のサウスサイド・ドライブとなった。サウスサイド・ドライブからは、渓谷の北側にそびえ立つ1枚岩のエル・キャピタンに目を奪われ、道沿いの駐車スペースに車を停めしばらく眺めた後、渓谷をさらに東へ進み、センチネル・ビーチ(Sentinel Beach)と呼ばれる渓谷を流れるマーセド川(Merced River)の川岸に出てみた。川につながる短い小道ですれ違った中年カップルに、「川沿いに何かありますか?」と訊くと、女性は「何もないわ、特におもしろいものは」と笑いながら答え、男性は「エル・キャピタンが見えるだけだよ」と言った。木々に囲まれ、湿り気のある細かい小石が混ざる川のビーチに出ると、清らかな川がおだやかに流れている。抜けるような青い空の下、空気があまりにも新鮮なので、しばらく辺りを見回しながらゆっくりと深呼吸を繰り返すと体中に新鮮で濃い空気が浸透し、すれ違った中年カップルにも深呼吸を勧めたくなった。

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1851年にマリポサ大隊が、スペイン語で、「エル・キャピタン」という名前を付けた。それまで先住民族は、To-to-kon oo-lahと呼び、これは昔の族長の名前だとされている。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:12.79 MB

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大口径中望遠レンズで、ロッククライマーを魅了する岩の表面を切りとる。クライマーの姿はこの時なかったが、もう寒すぎるのだろうか。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:85 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:19.94 MB

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ふと地面を見ると、日陰の落葉に降りた霜が溶けずに輝いていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/30秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:150 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:17.04 MB

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誰もいないマーセド川の砂に小石が混ざり合ったセンチネル・ビーチ。川に流れる水が少なく、大きく広がっていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:8 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:14.44 MB

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浅いマーセド川の川底が透けて見え、陽の光が揺れて輝いていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:137 mm (70-200)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (3136 x 4704) | ファイルサイズ:17.69 MB

センチネル・ビーチからサウスサイド・ドライブに戻りさらに東へ進むと、渓谷の東に3段の滝から成る全長739mのヨセミテの滝(Yosemite Falls)が見え、上の滝には虹がかかっていた。私は車を道沿いの駐車スポットに停めて急いで写真を撮ったが、虹はすぐには消えず、マーセド川にかかるスウィングィング・ブリッジ(Swinging Bridge)に来ても、虹は同じように見えた。渓谷の中心地である大きなヨセミテ・ビレッジに移動すると、ビジターセンターで展示物を見てランチブレイクを取り、予定以上に時間を食ってしまった。

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落ちてくる水と共に揺れていた落差440mの上段の滝にかかる虹に、高倍率超望遠ズームレンズを向ける。滝にかかる虹は、下に落ちる水とは反対に上に昇る炎のように見えた。

使用機材:SIGMA SD1 + APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:332 mm (50-500)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (3136 x 4704) | ファイルサイズ:12.55 MB

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夏には飛び込む人も多いと聞くが、マーセド川は一番水が少ない時期なので、歩いて川を渡れそうだった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:10 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:13.31 MB

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夏には多くの人が渡るスウィングィング・ブリッジ。この日は人が少なく川に流れる水も少なく、冬の本番を静かに待っているかのようだった。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/320秒 | 絞り値:F4.5 | 焦点距離:168 mm (70-200)
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:11.96 MB

ヨセミテ・ビレッジからは、渓谷の北側を西へ走った。ノースサイド・ドライブに入り、西へ走り出すとすぐにヨセミテの滝が近くに見える。多くの人が道沿いに車を停め下の滝まで歩く姿が見えたが、陽があるうちに渓谷内を一回りしたかった私は、歩きたい気持ちを抑えて車を東へ走らせた。渓谷の底から高さ900m以上のエル・キャピタンを見上げ、渓谷を出る直前で、公園でもらった地図にヴァレー・ビューと記された場所に近づくと、マーセド川が白い霧に包まれていた。ヴァレー・ビューにある車10台分ぐらいの駐車場は6台の車が停まり、私は端に車を停めた。写真を撮りはじめると、カップルにカメラを渡され記念写真を頼まれた。

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ノースサイド・ドライブに入り、西へ走り出すとすぐにヨセミテの滝が近くに見える。午後3時半、短い一日はもう終わりに近づいていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:19.66 MB

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エル・キャピタンのすぐ側まで来ると、夕方の光が断崖を照らしていた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:8 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:9.03 MB

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霧が立ち込み幻想的な光景が見られた。エル・キャピタンがますます夕方の色に染まり、ブライダルベール滝が、暗闇になりかかった南側にかすかに確認できる。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/30秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:8 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:6.98 MB

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枯れ草は、川の流れに対抗して進んでゆく、群れをなした生き物のように見えた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 85mm F1.4 EX DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/8秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:85 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:9.82 MB

ヴァレー・ビューから少し西へ進むとマーセド川にかかる橋(Pohono Bridge)を渡り、サウスサイド・ドライブに戻った。東へ少し走ると上部が夕陽に染まったエル・キャピタンに、日没が迫っていると感じた。ノースサイド・ドライブに戻って西へ走ると、再びヴァレー・ビューへ戻る。多くの人を魅了してきたヴァレー・ビューは、1時間に満たない間に大きく変り、陽が落ちた日暮れの渓谷を見る人の影はもうそこにはなかった。

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渓谷内に届くこの日最後の陽の光は、エル・キャピタンを選んで、夕方の色に染めたように思えた。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 35mm F1.4 DG HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/8秒 | 絞り値:F11.0 | 焦点距離:35 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:8.05 MB

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太陽が西に沈み、西の空の明かりを受けて東の空も薄いピンク色に染まっていた。幻想的なヨセミテ渓谷に超広角レンズを向け、静かにシャッターを押す。

使用機材:SIGMA SD1 Merrill + 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:0.3秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:9 mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:14.8 MP (4704 x 3136) | ファイルサイズ:5.78 MB

1890年に国立公園に指定され、1984年にはユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録された総面積約3,080平方キロメートルのヨセミテ国立公園の西側の外も見たかった私は、渓谷から出て州道140を南西に約60kmを下り、標高600mのマリポサという集落でモーテルに宿泊した。
雪解け水で流れ落ちる水が豊富な春、花が咲く夏、雪景色が美しい真冬に比べると、いい季節ではないかもしれないが、訪問者の数はとても少なく、翌日も朝からヨセミテ渓谷に足を踏み入れるのを楽しみに、空いているモーテルの一室で早めにベッドに潜り込んだ。(後編に続く)

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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