第189回:クロウリー・レイク・コラムス(Crowley Lake Columns)へ
押本 龍一

押本龍一、東京品川生まれ。
82年英語の勉強のため2年の予定で渡米。84年ニューヨークに渡り刺激を受け予定を変更、広告写真スタジオで働き始める。91年フォトグラファーとして独立。95年ニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し現在に至る。エンターテインメント関係の撮影中心。近年はライフワークである旅写真に力を入れている。趣味は旅と山歩き。

オフィシャルサイト : http://oshimoto.net/

第189回:クロウリー・レイク・コラムス(Crowley Lake Columns)へ

マス釣りで知られるレイク・クロウリーの東岸には自然に出来た不思議な柱が見られるが、アクセスが悪いので訪れる人は少ない。この日も周辺に人の姿はなく、不思議な光景の湖岸で私は一人ぼっちだった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:モノクローム | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:35mm

10月中旬、カリフォルニア州モノ郡の南部、オーエンズ川の上流に位置するレイク・クロウリーの東岸へ、クロウリー・レイク・コラムスと呼ばれる不思議な柱を見に行った。その日の朝、ロサンゼルスからハイウェイ14号線を北上し、レッドロック・キャニオン手前で東へ80km逸れて、今まで数回訪れていたトローナ・ピナクルズに立ち寄った。約2時間半のロスタイムになるが、トローナ・ピナクルズに立ち寄ったのは、来る度に雲が出て見られなかった尖塔から昇る日の出を撮影するためだった。日の出が見られなくても、この日の目的であるクロウリー・レイク・コラムスへ行く前に尖塔を見ておくことは、自然の力を理解するのに役立つと考えた。

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この日は快晴の予報だったが、日の出前の東の空には薄い雲があった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H+ SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:200 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F3.5 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:13.70MB

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日の出時刻には薄い雲が流れて行き、念願だった尖塔から昇る日の出が撮れた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/2000 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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レイク・クロウリーは、ロサンゼルス市への水の供給と洪水管理のために、1941年、ロング・バレー・ダムの建造によってオーエンズ川をせき止めて誕生した貯水湖である。湖の東岸に自然が創った不思議な柱があることは数年前から知っていたが、アクセスが悪くこの日まで行く機会がなかった。トローナ・ピナクルズの尖塔を見た後、私は自然の創造力に感動し、同じ自然が創った柱に対する想いが高まりレイク・クロウリーへ向かった。

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ハイウェイ395号線を北上し、レイク・クロウリーの南岸付近に来るとイースタン・シエラの山々が迫っていた。中央の高い山は標高3,845mのMount Baldwin。雪に覆われる冬はもうすぐだ。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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ハイウェイ395号線のレイク・クロウリー展望台から見るレイク・クロウリー。北部が細いひょうたんのような形をしていて、ここは湖の南岸。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/400 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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レイク・クロウリーの西は広大な草原地帯になっている。非常に乾燥していて北部の山間地の山火事が心配だった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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北の半分が細いひょうたんのような形をしているレイク・クロウリーの大きさは、長さ最大約19 km、広いところの最大幅8 km、最大表面積21平方km、周囲長72 km。水深は平均12 m、最大30 m。湖面の標高は2,067 mと高い土地にある。湖の西側から北へ走り湖の東側へ移動し、事前に調べてあった東岸に出るダート道を探したが見つからず、比較的走りやすいダート道(Owens Gorge Road)に入り、そこから幾つかの細いダート道に入るも東岸にはなかなか近づけなかった。半ば諦めかけたが、ダム手前のダート道に入り、4WDでないと走行不可能な急でデコボコな坂道を上って進んで行くと湖の東岸に近づいて行った。ダート道は二股に分かれて左に行くと行き止まりになり、そこから白い柱が見えた瞬間は飛び上がるほど嬉しかった。

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レイク・クロウリー東岸に存在する柱が見える位置まで何とか来れた。ここまで標識もなく誰にも会わなかった。

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マス釣りで有名な湖にボートは時折見かけた。ここから白い湖岸まで興奮して下りた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 135mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/640 秒 | 絞り値:F7.1 | 焦点距離:135mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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湖岸の白いビーチへ下り立つ。正確には当初目的地とした所ではなかったが、素晴らしい光景が広がっていた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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柱に近づいて行くと岩が転がっている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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靴を脱いで水に入りさらに柱へ近づく。柱は高いアーチで結ばれているように見え、ムーア人の寺院のようだと言われている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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湖岸の柱は近づくほどその不思議さに圧倒される。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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最大6mある柱、クロウリー・レイク・コラムスを見上げる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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日中の気温が高かったこの日、湖に長く足を漬けていても大丈夫だったが、歩き難く転倒してカメラが水没するのが怖かった。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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柱に支えられた洞窟に入ってみた。柱の間から差し込む光が美しく、反射する水が揺れる。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F10 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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風で揺れる湖面の水が、クロウリー・レイク・コラムに当たりピチャピチャと音がした。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:4128 × 6192
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柱のある湖岸の断崖の影にはいり、散策したクロウリー・レイク・コラムを見る。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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水に浸った部分のほうが細かい刻みがあったが、陸地の部分も十分不思議な形をしている。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/500 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:14mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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散策したクロウリー・レイク・コラムスと湖岸のビーチを見下ろす。

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崖になった湖東岸に西日が当たる。

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レイク・クロウリー東岸沿いの柱は、76万年前の激しい爆発で噴出した熱い火山灰に冷水が浸透し、その後蒸気が上昇して出来上がったと研究者たちは見ている。これらの柱は、長い間柔らかい岩に覆われていた。1941年にダムが完成しレイク・クロウリーが誕生して湖の波が柱を囲む崖の底を侵食し、不思議な柱が貯水湖の東岸沿いに出現した。ロサンゼルスに水を供給するためにオーエンズ川をせき止めていなければ、今でも柱は誰にも気づかれず岩の中に隠れていたのだから、地球上の景色も人間の手によって大きく変わるのだ。

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湖を後にする際、クロウリー・レイク・コラムスから少し北の湖岸に立ち寄り撮影。湖の西、イースタン・シエラの麓に黄葉した森が霞んで見えるが、今年の黄葉は色褪せて見えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/2000 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:421mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:17.29MB

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レイク・クロウリーに注ぐオーエンズ川。周辺はフィッシュ・キャンプと呼ばれる釣り人用のキャンプ場が点在する。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 24mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:24mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
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グリーン・チャーチと呼ばれる小さな教会は、ハイウェイ395号線からレイク・クロウリーの西側から近づくための目印となる。今年の黄葉は不作のようで、教会横の木は時季を逃したというより、今年はきれいに黄葉しなかったように見えた。

使用機材:SIGMA sd Quattro H + SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/800 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm | ファイル形式:JPEG | 画像サイズ:6192 × 4128
ファイルサイズ:24.94MB

この日の朝、自然が創った不思議なトローナ・ピナクルズに立ち寄ったのがいいウォーミングアップになり、やっとたどり着いたクロウリー・レイク・コラムスで比較的落ち着いて撮影ができたと思う。撮影した湖岸から崖を登ってさらに北へ歩くと、当初目指した湖岸にたどり着け、少し違った光景が見られたようだ。アクセスが悪く、車高の高い4WDでないとたどり着くことは出来ないが、もう一度じっくりと撮影に出かけてみたい。

※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。

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