
干上がったマリブ・クリーク沿いの開けた土地に錆び付いたトラックとジープが残されている。映画とテレビドラマシリーズの「M*A*S*H」が撮影されたこの場所は、「マッシュ・サイト」と呼ばれ世界中の人が訪れる人気のハイキングコースとなっている。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:10mm
9月の終わり、「サンタモニカ・マウンテンズ国立保養地」の一部でもある「マリブ・クリーク州立公園」に到着したのは午前10時半だった。私は公園内のパーキング場ではなく、トレイル入口付近で公園内を走る道(Mulholland Hwy)沿いの広い路肩に車を停め、カメラバックを背負いトレイル(Grasslands Trail)に出た。多くの映画やテレビ番組が撮影された州立公園は、20世紀フォックススタジオが所有していた時期(1946年から1974年)もある大きな放牧場だった。トレイルの名の通り草原地帯を歩いて行き、水のない干上がったマリブ・クリーク沿いの道(Crags Rd)に出ると、クリーク沿いには樹木が生い茂っている。私は、映画とテレビドラマシリーズの「M*A*S*H」が撮影された「マッシュ・サイト」を目指しさらに先へ歩いた。
この時季は草が枯れている乾燥したグラスランズ・トレイルをマリブ・クリークへ向って歩く。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:106mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:15.50MB
マリブ・クリーク沿いは、樹木が生い茂り陽の光が届かない部分もあった。陽の下で腕時計を見ると気温は36.5℃まで上がっていたので、陽射しから逃れられる日陰がありがたかった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 30mm F1.4 DC HSM A013 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:11.26MB
木漏れ日に照らされたトレイルの標識とニュージーランドを原産地とするコモチカワツボの警告版は、周囲の自然と異なった独自の存在感があった。
使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 5424×3616 | ファイルサイズ:25.26MB
「マッシュ・サイト」に行く手前にあるセンチュリー・レイク・ダムの南岸に立ち寄ってみると、湖面には青空と砂岩の山が映りこみ、予想しなかった美しい光景がそこにあった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F10 | 焦点距離:8mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:11.75MB
「マッシュ・サイト」まであと1kmとなった。フラッシュ(EF-610 DG SUPER)を日陰のトレイルサインに向けて発光。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:28mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:11.23MB
「マッシュ・サイト」に近づいたマリブ・クリーク沿いのトレイルは、石がゴロゴロと転がる部分があり、大雨が降ると鉄砲水が出てクリークの一部になりそうだった。
使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F6.3 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 5424×3616 | ファイルサイズ:18.24MB
「M*A*S*H」は1970年に映画が上映された後、1972年から1983年にかけてテレビドラマが放映された。「MASH」とは「Mobile Army Surgical Hospital」の略で、朝鮮戦争下、韓国に駐在した野戦病院での医師とそのスタッフチームの人間模様を描いたドラマだった。負傷した兵士が野戦病院に運ばれてくるシーンはあったが、戦下のドラマにしては残酷なシーンがほとんどないブラック・コメディで、私が渡米して間もなくテレビドラマは終了したが再放送もすぐに始まったと記憶している。「マッシュ・サイト」に到着すると一人の中年男性がテーブルの上に寝転んで休んでいたが、男性は私が到着して5分ほどするとサイトから立ち去った。テレビドラマの撮影が終了して間もなく、山火事でほとんどのセット道具が燃えてしまったサイトに一人でいるとなつかしいテーマソングが蘇ってきた。
樹木が生い茂るマリブ・クリーク沿いのトレイルを歩いて行くと軍の救急車が枝越しに見え、救急車にレンズを向けた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:75mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:14.62MB
救急車に近づき正面から撮影。ペイントの状態はいいので修復されているようだ。大光量フラッシュ(EF-610 DG SUPER)を発光。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 30mm F1.4 DC HSM A013 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F10 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:14.52MB
錆びて剥がれた救急車の天井部分を砂岩の山をバックに切りとる。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DG | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:70mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:6.68MB
東京まで259mi, 414kmと書かれてあり、ここが「マッシュ・サイト」だと知らないとわけが分からなくなるサインは最近つくられたように見える。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:63mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 3136×4704 | ファイルサイズ:10.11MB
撮影終了直後、山火事でほとんどの物が焼けてしまったが、錆びて朽ちかけたジープはその残りだろう。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 30mm F1.4 DC HSM A013 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F5.6 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:16.43MB
救急車として撮影に使われた車。太陽の光に反射するその錆び具合は、ひとつの作品を見ているように思えた。
使用機材:SIGMA DP3 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/320 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:50mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 3136×4704 | ファイルサイズ:13.66MB
救急車の運転席部分を後から撮影。大光量フラッシュ(EF-610 DG SUPER)を発光。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/200 秒 | 絞り値:F9.0 | 焦点距離:39mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:10.38MB
バタバタと音を立てて発着するヘリコプターを思いだすヘリポート後方の丘に登り、「マッシュ・サイト」を見渡す。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:14.50MB
ビニールカバーに保護された「M*A*S*H」の写真。尖った小さな岩山が特徴の背景は、数々のシーンに登場したので、この景色が記憶に残っている人も多いはずだ。
使用機材:SIGMA DP1 Merrill | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F16 | 焦点距離:19mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:12.59MB
「マッシュ・サイト」からの帰り道、行きにも立ち寄ったセンチュリー・レイク・ダムの東岸に立ち寄った後、道を間違えて小高い山を登るトレイル(Lookout Trail)に入り2kmほど余分に歩いた。炎天下にアップダウンの多いトレイルは結構きつかったが、思いがけずダムでせき止められたセンチュリー・レイクとその周辺が見渡せ、行きのトレイルではどこを歩いているのかよく分からなかったマリブ・クリーク・キャニオンの地形が良く理解できた。
センチュリー・レイク・ダムの東岸は行きに来た南岸とは違い、湖面は暗くてコンクリートのダムと岩が太陽の光を浴び、ダムの向こうの岩影に白いものが動いた。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:18mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:11.45MB
岩影に見えた白いものは、ロッククライマーのヘルメットだった。オールインワンレンズで、クライマーと周辺の状況が分かるよう焦点距離を決めて切りとった。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM C014 | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/250 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:46mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:14.39MB
間違えて歩いたトレイル(Lookout Trail)からは、センチュリー・レイク・ダムと周辺の地形がよく分かった。
使用機材:SIGMA dp2 Quattro | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/125 秒 | 絞り値:F8.0 | 焦点距離:30mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 5424×3616 | ファイルサイズ:25.22MB
トレイルのスタート地点に近い丘陵地には一本のオーク・ツリーがポツンと立ちとても絵になる風景で、多くの映画やテレビドラマがここで撮られたことに納得。
使用機材:SIGMA SD1 Merrill + SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM | 露出モード:M-マニュアル露出 | ISO感度:100 | ホワイトバランス:晴れ | シャッター速度:1/160 秒 | 絞り値:F11 | 焦点距離:8mm
ファイル形式:JPEG | 画像サイズ: 4704×3136 | ファイルサイズ:12.95MB
映画を観る機会はなくテレビドラマの方も多くは観なかったが、「M*A*S*H」のテレビドラマのテーマソング(Suicide is Painless)には歌がなく、どことなく寂しげな曲として記憶に残っていた。帰りのトレイルを歩いているとテーマソングがどこからともなく聞こえてきて、数日間は頭から離れなかった。出会う光景のすべてが新鮮に見えた渡米して間もない頃の思い出も同時に蘇り、過ぎ去った時間への憧憬に浸った一日だった。
※ このページに掲載された作品は、RAWデータ(X3F)を「SIGMA Photo Pro」で現像処理をしたものです。
一部、現像後にゴミ取りのためにレタッチソフトウェアを使用した画像もございます。