シグブラ
第63回:青春18きっぷで海峡ブラブラ

青春18きっぷで海峡ブラブラ

August 26, 2015

再び青春18きっぷの旅に出た。今回の目的地は津軽海峡。またしてもマイルによる高飛びを使って、一挙に距離と時間をワープした。バックパックには久しぶりにSIGMA SD1 Merrillを詰め込んで。

青森駅から津軽線に乗って半島の先っぽを目指す。ガタゴトと揺れの大きい車両は乗っていて懐かしい感じがした。終着駅まで乗った客はほんの数名であった。

終着駅からはバスで岬に向かう。どこまで乗っても100円という太っ腹なバスだった。漁港や集落を越えて竜飛に辿り着く。バスを降りたとたん、名物の強い風に身体を持って行かれそうになった。

海峡を渡る風は本当に強い。カメラを構えるとレンズフードが抵抗になってなかなか構図が決まらないほどだ。雲も風にしたがって速いスピードで流れていく。光のスポットが海峡を照らす。

灯台や階段国道、青函トンネル記念館を見学し、周辺をブラブラと歩く。駐車場向かいには津軽海峡冬景色歌謡碑というモニュメントがあり、ボタンを押すとあの「津軽海峡冬景色」が大音量で再生されるようになっていた。

列車の本数が少ないのでバスに乗って駅へ。再び列車に乗り込んで、ボックスシートの窓を開け津軽の風を感じながら移動する。冷やっとした空気が心地よい。この先の駅で乗り換えて、青函トンネルを越える算段だ。

特例によって青春18きっぷでこの区間に乗車できるのは嬉しい。しかし青函トンネルは長いトンネルである。窓の外は暗いし、ケータイの電波は入らない。ひとりなのでできることといえば眠ることか、車内販売のコーヒーを啜るのみである。ウトウトしているといつのまにか海峡を渡り、北海道側の木古内駅に到着だ。北海道新幹線開業で、工事が急ピッチで進められている駅をあとに海を目指す。浜には鳥居が鎮座していた。

美しい砂浜を歩く。先ほどまで立っていた本州側を北海道から眺めた。お互いに大きな島に見えるのは同じであった。津軽と違ってこちらは風も穏やかで、やはり広々とした印象を受けた。さて慌ただしく再び列車に乗って本州に戻ろう。

というわけで再び青函トンネルを通って本州側に戻ってきた。ちょっと忙しないが短時間で津軽海峡を両サイドから眺めてみたかったので仕方ない。北海道新幹線が開業すると青春18きっぷの特例がなくなるかもしれない、ということなので、こんなブラブラもできなくなりそうだ。青森に帰る列車までまだまだ時間があったので、再び浜へ。さて、明日はどこをブラブラしようかと考えながら、眼の前の下北半島を眺めたのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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