シグブラ
第53回:ローカル線乗って遠州ブラブラ

ローカル線乗って遠州ブラブラ

March 25, 2015

銀座で写真展「シグブラ・キャッツ」の設営を終わらせ、東京駅から東海道線に乗り込んだ。手に「中年ブラブラきっぷ」こと青春18きっぷを握りしめて。東京駅から座ってのんびり列車旅、といきたかったが、この日開通した上野東京ラインのおかげで、なんと東京駅は始発ではなくなっているという有様。それでもなんとかロングシートに落ち着いて、ガタゴトと揺られて深夜の掛川駅で投宿した。

翌日は「中年ブラブラきっぷ」ではなく、「天浜線」こと天竜浜名湖鉄道の一日乗車券を買って掛川駅から遠州の奥地に向かう。車内はそこそこの賑わいで、ボックスシートでお弁当を拡げる観光客も見かけた。天気はやや不安定な感じだったが、まずは以前から気になっていた遠州森駅で下車することにした。

遠州森はところどころに古い街並みが残り、SIGMA dp2 Quattro を持ちブラブラと撮影散策してとても楽しいところだった。下調べをあまりしないで訪れたが、自分の勘を頼りに気になった方向に歩を進めるのがとても面白い。途中、町立歴史民俗資料館を発見していろいろな収蔵品を見学した。館長さんから紅茶を頂きながら生の情報を拝聴し、再び街を撮り歩く。

街を歩いていると様々な香りが漂ってくる。咲き始めた花のそれであったり、昼餉のそれであったり、線香のそれであったりと、視覚だけでなく五感で様々なものを感じながらブラブラと撮り歩く。

再び天浜線に乗り込み、次は天竜二俣駅で下車した。まずは駅前で腹ごしらえをしてからブラブラ開始。川を渡り城下町の風情が残る商店街を歩く。いたるところに看板建築が残っているので撮り甲斐があった。銅板仕上げかと思いきや木製であったりとレトロな雰囲気満点の建物が多い。

メインの通りを外れると蔵が目につく。老朽化しているものも多いが実際に使用されているものも多そうだ。路地をくまなく歩き回って、歴史を感じる美しい街並みを堪能した。

街並みを楽しんだあとは駅に戻って転車台見学ツアーに参加した。この駅には蒸気機関車時代に使用していた転車台がまだ残っており、それを実際に動かして見せてくれる。ガイドの先導で駅構内を歩くのだが、当時の給水塔や建物などどれも重厚でとてもフォトジェニックに感じた。

迫力の転車台での車輌入替を見ていたら雨がポツリポツリと降り出してきた。本降りにはなりそうもない気配だが、ちょうど次の列車がやってくるようなので乗り込むことにした。さて次はどこの駅で降りてブラブラしようかな、と考えながら転車台をあとにしてプラットホームに向かった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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