シグブラ
第142回:“ゴーストタウン渋谷をブラブラ

第142回:ゴーストタウン渋谷をブラブラ

December 5, 2018

東京・渋谷駅周辺を SIGMA dp0 Quattro を持って歩いた。駅南側にある桜丘町の一部が、再開発事業でまるでゴーストタウンのようになっているからである。新しくビルが建設されるエリアはほぼ立ち退きも完了し、無人の建物だけが残されているのだ。昔この近所に住み、小中学校に通っていた自分としてはなかなかシュールな光景が広がっていた。ほとんど人がいない街は落書きで溢れ、店のショーウィンドーは覆いで目隠しをされている。駅前なのに荒廃している感じが興味深く、街はまさにFoveon物件だらけであった。よく通った定食屋や釣具店、ディスカウントショップや立ち飲み屋ももうない。昔を思い出しながら全ての路地を歩いて、今しか撮れないシーンを Foveon Quattro センサーに収めたのであった。

バスで渋谷駅に降り立つ。まず国道246号線を挟んで桜丘町に対面するエリアを歩く。以前やっていた会社のオフィスがここにあったがすでに建物は存在しなかった。

けたたましい笛の音が響くと、頭上のクレーンが建設資材の上げ下ろしを始めた。SIGMA dp0 Quattro はクールにその様子を写し出す。今回は FOVクラシックブルーで現像処理をした。

歩道橋を渡って桜丘町側に。山手線に近い区画に下りると取り壊しを待つばかりの建物が並んでいる。入り口や窓には「ネズミ・害虫駆除実施中」の貼り紙がしてあった。

年を越すとクルマで通れなくなる部分もできるようだ。背中に感じる午後の日射しが暖かい。この近くの地下にあった立ち飲み屋にはお世話になったものである。

スポーツショップが入っていたビルは落書きだらけになっていた。渋谷というよりはどこか遠い国の街角のような雰囲気を感じる。

JR のホームに向かって掲出されていた看板もご覧のような有様である。SIGMA dp0 Quattro はその荒れたディテールを克明に捉えてくれる。

崖の上に登る。子供の頃ここは「エピキュラス」という音楽関係の建物だった。その昔はボウリング場だったらしいが、今は取り壊しを待つばかりである。

崖の下をのぞき込む。こんな瓦屋根の建物が現存していることに驚いた。向こう側には JR のホームがチラッと確認できる。SIGMA Photo Pro でモノクロームに仕上げ重厚感を出した。

線路を越えて再開発が終了しつつあるエリアにブラブラと。渋谷川に沿って「渋谷ストリーム」という施設ができて、今までなかった人の流れが生まれつつあった。まさに街は生き物である。国道246号線は首都高速と JR のガードの下で薄暗いままだ。新しい高層ビルができるとさらに暗くなるのだろうか。変貌する街を撮りにまたブラブラしに来ることにしよう。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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