シグブラ
第121回:雪が積もった多摩川ブラブラ

第121回:雪が積もった多摩川ブラブラ

January 31, 2018

東京に雪が降った。久しぶりに20センチほど積もった。翌朝、その雪を踏みしめて多摩川へと歩く。肩には SIGMA sd Quattro、背中には SGV レンズを入れたバックパックを背負って。
土手までの道のりはなかなか大変である。きれいに雪かきされた部分はいいが、そうでないところは滑って転倒しないように注意が必要だからだ。幸い交通量は皆無に近く、空から降ってきた冷たく白いものを足裏に感じながら、ブラブラと多摩川に辿りついた。
土手に登ると白い光景が目に飛び込んだ。ここにはサッカーや野球、ラグビーのグラウンドがあるのだが、全面ほぼ雪に覆われていてゴールやスコアボードを見なければ、何が雪の下にあるかわからないくらいである。近所の人が朝一番に遊びに来たのか、無数につけられた足跡が地表の存在を教えてくれていた。
ブラブラと撮り歩いていると意外なほど暖かいことに気付いた。天気も非常によく風もない。そしてとても静かであった。雪はさまざまな音を吸収するが、SIGMA sd Quattro のシャッター音がいつもより大きく聞こえるほどの静寂だ。遠くに見える東名高速道路も通行規制の影響でクルマが1台も走ってない。周囲の交通量が激減すると、大晦日と正月のような静けさが再び味わえるのだ。川面まで行くと多摩川の流れる音が心地よかった。ふだんは気付かない音をしばし楽しんだ。
予報によると近々ふたたび雪が降るらしい。また「雪ブラ」するのも一興かもしれない。

野球場も雪に覆われていた。近所の子どもが朝イチで遊びに来たのだろうか、足跡がグラウンド中にたくさんつけられていた。

草むらに残された雪。これも Foveon 物件である。ふんわりとサクサクの中間と思われる雪の固さを、SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art はうまく捉えてくれた。

多摩川では雪の寒さも関係なくサギが食事の真っ最中であった。何回も頭を川に突っ込みながら、ときおり小魚やエビを捕食していた。軽量でコンパクトな SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary は携行しやすく写りもいいので、アウトドアフィールドでは手放せない。

近くにある浄水場と多摩川を結ぶ一角は、取水施設があるため立ち入りが制限されている。なのでこの周囲だけは運動施設が設けられていない。夏は草が生い茂るが、今は雪が枯れ草に積もっているだけだ。

ところどころに何種類もの動物の足跡があった。イヌやネコではない、もっと小さいものや軽そうな生き物の足跡だ。一体何なのかとても気になった。

国道246号線下まで来ると頭上に月がよく見えた。SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary で確認すると、空気の揺らぎの向こうにクレーターが浮かび上がった。地表が暖まって水蒸気が上昇しているのだろう。

小田急小田原線から東急田園都市線間の多摩川は撮影スポットが多く点在するので、土手沿いをブラブラと歩いて気になるエリアを撮影してみると実に楽しい。撮影対象も豊富で、モデルを連れてのポートレート撮影にももってこいである。いい店もたくさんあるので食事やお酒も楽しめるし、写真関連の店をのぞいてみるのもいいだろう。

ブラブラと撮り歩いていると日が傾いてきた。さすがに周囲にこれほど雪があると身体が冷える。いつものカワセミスポットに立ち寄って帰るとしよう。この冬はとても冷えるが、春までにあと何回雪が降るのだろうか。日は着実に延びてきているので、シグマのカメラで楽しめる時間が増えてきているのがうれしい。さて次はどこをブラブラしようか。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク

シグブラフォトウォーク
Page Top