シグブラ
第96回:新春の伊豆をブラブラ

新春の伊豆をブラブラ

January 18, 2017

年越しを銀座のど真ん中で迎えたせいか、ちょっと都心を離れてブラブラしたくなった。思い立ってまだひと気の少ない小田急線に乗り小田原を目指す。その先はJRに乗り換えて伊豆方面に向かってみよう。バックパックには新しい相棒、SIGMA sd Quattro Hを詰め込んであるのだ。

小田原と熱海で乗り換えをし、やってきたのは伊豆半島の付け根の海。駅から坂を下りて浜に出ると、暖かく穏やかな伊豆独特の空気に包まれた。都内も暖かだったがこちらはさらに気温が高く、海流の影響を肌で感じた。

海沿いの道を南下する。聞こえるのは波の音と鳥の声だけ。波打ち際ではカラスが何かをついばんでいた。SIGMA sd Quattro H で写真を撮りながらブラブラと歩く。APS-H とやや広くなった視野を確かめるように。

正月の海は思いの他、人出が多い。防波堤で竿を出す人、浜辺でイヌと散歩をする人など、例年より短い正月休みを楽しんでいる。家族水入らずで凧揚げをしている人たちもいた。この時期ならではの光景だ。

今回持参した交換レンズは3本。超ワイドズームの12-24mm F4 DG HSM、24-105mm F4 DG OS HSM、そして85mm F1.4 DG HSMのアートラインレンズだ。画角をかせぐズームと明るい中望遠単焦点の組み合わせはとても使いやすい。

SIGMA 12-24mm F4 DG HSM | Art は SIGMA sd Quattro H との組み合わせると、35mm版換算約15.6mmからスタートの超ワイドズームになる。拡がりを表現したいシーンや狭い場所での撮影に威力を発揮するので手放せない。

またSIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art の場合もより実焦点距離に近くなり、美しい大きなボケ味が楽しめるのが嬉しい。立体的な遠近感と自然でキレイなボケはついつい絞りを開けて使いたくなってしまう。

レンズ交換を繰り返しながら約10キロほど海沿いを歩いていると日が傾いてきた。暖かい伊豆でもさすがに太陽の力が弱くなってくると冷え込んでくる。連動するように絞りが開け放たれるようになってくる。

風が出てきた。漁港でSIGMA sd Quattro Hのファインダーをのぞいていると、遠くでギシギシと金属が軋む音が聞こえてきた。何の音だろうと探してみると、軒に提げられたワイヤー製のカゴであった。その向こうでは今年初の漁に向けて準備をしている漁師の姿があった。

海沿いから街へと足を向ける。人が少なくとても静かだ。開いている店はもちろん少ない。駅前で何か食べようと思っていたが、それはどうやら難しそうだ。気がついたら今日はなにも食べていなかった。

駅までの途中にやっている店を発見した。干物屋である。残念ながら今すぐ食べられるものではないが、いくつかの干物を買い求めることにした。包んでもらった干物をバックパックにしまうと、SIGMA sd Quattro Hを入れる場所がなくなった。仕方がない、カメラは肩から提げたまま帰ることにしよう。今年はこのカメラと様々なところをブラブラするのが楽しみだ、と思いながらホームで電車を待つのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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