シグブラ
第105回:初夏の小田原ブラブラ

初夏の小田原ブラブラ

May 31, 2017

SIGMA sd Quattro H に高倍率ズームレンズを付けて小田原に向かう。いつもはロマンスカーで行くのだが、今回はダイヤが合わず急行に乗ってのんびりとだ。車窓から青々としてきた丹沢の山並みを見ていると、やがて雲を従えた富士が眼に入ってくる。いい眺めだ。列車が大きくカーブをして、箱根の山々が近くなってくると小田原だ。外国人で賑わう駅を抜けて抹香町方面に歩き出した。ふだんは小田原城方向から歩くことが多いが、今日は何となく反対のルートにしてみた。ちょっと気分を変えていつもの街を歩くのも悪くないだろう。 このブラブラでチョイスしたレンズはSIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporary。APS-C対応のオールマイティーな高倍率ズームレンズだ。これをSIGMA sd Quattro Hに装着して使うのである。自動的にクロップされるので画角はSIGMA sd Quattro相当になる。今回は海岸線を歩く予定だったので、レンズ交換を避けるためこのレンズを選んでみたのだ。画質はプライムレンズに一歩譲るが、16.6倍のズーム比を誇るのでレンズ交換時のダストや飛沫の混入を避けられる。何といっても小型軽量でフットワークを活かせるのが心強い。これからの行楽シーズンにもってこいのレンズと言えるだろう。これに明るい勝負用のプライムレンズを加えれば撮影が大いに楽しくなるはずである。

小田原駅から大雄山線・緑町方面に歩く。いわゆる現在の歓楽街だが、なかなかノスタルジックな物件が多く建ち並んでいるので興味深い。まだ日が高いので艶やかな感じはない。ククッとズームリングを繰りフレーミングをしてシャッターを切った。

SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporaryは引いてよし寄ってよしの万能ズームレンズだ。テレ端を使えば背景をぼかすことも可能だし、遠近感を圧縮した絵を撮ることもできる。気温が上がったこの日は遠景が滲んで見えた。

抹香町をブラブラと散策したあと国道を横断する。交差点にあったダイビングショップのペイントが空に映えていたのでレンズを向けた。壁面のディテールと、FOVクラシックブルーがいい感じである。高倍率ズームレンズは眼に入ったものを、瞬時に意図したフレーミングで撮影できるのが強みだ。

海側に渡ると干物を売る店や練り物を作る店が増えてきた。さすが小田原である。中には日本酒と蒲鉾を試せる店もあったりでブラブラが俄然楽しくなってくる。そんな街角には懐かしい石造りの流し台があちこちに存在するのである。”Foveon物件”の硬質感を強調するように切り取った。

西湘バイパスをくぐって海辺に出るスロープのところに、小田原が産んだ作家・川崎長太郎の小屋跡碑が建っている。彼が執筆活動を行った小屋がこの付近にあったのだ。碑には代表作「抹香町」の一部が刻まれている。SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporaryはマクロレンズのように被写体に迫れるのも魅力だ。

海岸線に出た。海風の圧と波音が身を包む。ややひんやりとした空気が、日に晒された身体に心地よい。海を見ると気の早い若者が泳いでいた。相模灘の大きめの波に飛び込んでは勢いよく押し返されている。きっとまだ水は冷たいだろう。

SIGMA sd Quattro H と SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporaryの組み合わせも悪くない。気軽にブラブラと高倍率を活かしてスナップ撮影できるからだ。チョイスしたレンズによってAPS-HとAPS-Cという2つの画角を使用できるのは、SIGMA sd Quattro Hの大きなアドバンテージと言える。iPhoneで海を撮影している女子高生をテレ端で狙ったがクロップモードなので450mm相当の画角となる。

海岸線で出会った人々を撮影させてもらったあと、ブラブラと小田原城へと向かう。日もだいぶ傾いてきてやや気温も低くなってきた。SIGMA 18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM | Contemporaryは手ブレ補正機能を搭載しているので、テレ側はもちろん暗い場所でも安心して使えるレンズとなっている。活動時間が長くなるこれからのシーズンには欠かせない高倍率ズームレンズだろう。カメラバッグにあるだけで奥深いブラブラが楽しめるレンズだと思う。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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