シグブラ
第45回:初冬の北九州と山口ブラブラ

初冬の北九州と山口ブラブラ

November 27, 2014

久しぶりに山口県に行った。ポッカリと時間が空いて、飛行機のマイレージが貯まっていたので発作的に便を予約したのだ。いつも通り急な旅なので下調べはなし。カメラはSIGMA dp1 Quattro、dp2 Quattroとスマートフォンだけ。快晴の本州を眼下に本州を縦断して山口宇部空港に降り立った。

昼過ぎに空港に到着し、高速バスで下関に向かった。久しぶりの街はすっかりとキレイになってしまい、面影を探すのに苦労したほどだ。ブラブラしたものの、宿のチェックインまでは時間があったので下関駅から電車に乗って九州側の門司港に向かう。こちらもすっかり観光地化されてキレイになってしまっていた。見違えた港を日没までブラブラと散策し、夕景を愉しんでから対岸の本州に船で渡った。

翌日は丸一日時間があるので遠出をすることに。朝イチでレンタカーを借りて、海を左に見ながら海岸線を走る。本州最西端の毘沙ノ鼻に立ち寄り、美しい橋で有名な角島に向かう。蒼い空と澄んだ海、そして優美な角島大橋が出迎えてくれた。レンタカーの窓を全開にして、爽快感を味わいながら橋を渡った。ここは本当に走っていて気持ちがいい!島内ではトレイルを歩いてダルマギクの群生を楽しんだ。

島を出てからはアテもなく海岸線を走る。長門市を過ぎた頃にレンタカーの返却時間が気になってきたのでステアリングを内陸に切った。カントリーロードやワインディングロードのドライブを堪能していると、美祢市付近でどこまでも真っ直ぐに伸びる怪しい道路と橋のようなものを発見した。どうやら目の前にそびえ立つ煙突が関係しているようだ。その煙突は大きなセメント工場だった。

その工場の周りは昔懐かしい感じの工場城下町が拡がっていた。その赴きに抗えずレンタカーを停めてブラブラと撮り歩く。ノスタルジックというかなんというか、実にとてもいい雰囲気である。

使われなくなった旧い郵便局や、営業しているか分からない商店など、遠くになりつつある昭和の時代に戻ってしまったような印象を受けた。振りかえると工場の巨大な煙突からユラリと煙が立ち上っていた。

工場から山を越え、真っ直ぐと伸びている橋はセメントを運ぶベルトコンベアーであった。なんとここ美祢市から日本海の港まで繋がっているという。またこの反対側には周防灘の港までセメント会社の私道が通っているというのだ。その長さは約30キロで日本最長の私道らしい。私道のためナンバープレートも不要で、超大型の車両でセメント関連製品を運搬しているとのこと。偶然だったがとてもスケールの大きいものを見られて嬉しかった。

初冬の日没は早い。小さな無人駅で鉄道を撮影してから帰路を急ぐ。谷間のワインディングロードを走っていると、先ほど撮影した鉄道がのんびりと走っているのが見えた。そういえばそろそろ青春18きっぷのシーズンだな、と思い出し、今シーズンはどこをブラブラしようかと考えながら下関へ向かった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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