シグブラ
第44回:晩秋の磐梯ブラブラ

晩秋の磐梯ブラブラ

November 12, 2014

東北新幹線で雨降りの東京を抜け出し磐梯町に着くと、空はとても美しく晴れ渡っていた。前夜に急遽決まったこの小旅行は、磐梯と会津を駆け足で巡って撮影するというものである。SIGMA dp1 Quattro を持ち、まず磐梯町のシグマ工場に赴くと、今シーズン初めて体感する冬の空気が出迎えてくれた。

澄んだ空気の中に建つ工場はとてもクリーンで静かだ。増築中の建物内では黙々とレンズの研磨や測定などが行われている。構えているこの SIGMA dp1 Quattro がここで誕生したかと思うと実に感慨深い。

工場を早足で見学した後は、喜多方市雄国にある会津電力の雄国発電所を訪問した。美しい盆地を見下ろす高台にあるメガソーラー発電所は、遠くに飯豊の山を望みながら電力を産み出していた。ここの眺めは実に雄大で、いつまでも景色を見ていたくなるような場所であった。

その後、秋を通り越してすっかり冬モードに突入した裏磐梯エリアに足を延ばした。喜多方から峠を越えて桧原湖を目指す。空は雲に覆われ、高度を稼ぐごとに気温が低下していく。ジャケットのジッパーを首元まで上げて、誰もいない湖畔を散策した。

ときおり日が差すと美しい光景が目の前に拡がる。聞こえるのは風が木々の枝を揺らす音だけ。紅葉シーズンが終わって、スノーシーズンまでのつかの間の静かな時間だ。雲がゆっくりと空を滑っていく。

歩く人が全くいない整備された散策道。「熊注意」の標識が目を引く。この辺りは11月末に一度雪が降り、そして消え、その後本格的に白い世界になるという。この景色もあと数週間限りか。

桧原湖の湖畔まで降りてみる。対岸には磐梯山の姿が見える。このアングルからの眺めは見慣れない。後ろ姿の磐梯山はちょっと変な感じだ。山肌には少し白いものが見えた。

日も傾き気温もさらに下がってきた。猪苗代湖経由で戻ることにしよう。明日は会津の奥地まで行かなければならない。そういえばまだ真っ白になったこのエリアを訪れたことはない。「いずれブラブラと撮影に来るのもいいな」、と遠くに見える布引山の風力発電風車を見ながら思った。もう冬はすぐそこである。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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