シグブラ
第29回:青春18きっぷで春の茨城ブラブラ

青春18きっぷで春の茨城ブラブラ

April 9, 2014

使用期限が迫った青春18きっぷを握りしめ、上野駅から久しぶりに常磐線に乗り込んだ。この路線に乗るのはいつ以来だろうか。列車が田園風景の中を走るようになると周囲はものすごい嵐となった。叩きつける雨粒で、車窓から景色も見えなくなるほどである。夕方に目的地の水戸へ着く頃には雨は止み、遠くの空に虹がかかるのが見えた。

翌朝は強風が吹くもきれいに晴れ渡った。絶好のブラブラ日和である。SIGMA SD1 Merrillに24-105mm F4 DG OS HSMの組み合わせで、千波湖を一周する散策路を歩き始める。都心部の桜はすでに散り始めていたが、水戸の桜はこれからが見頃といった感じ。青空をバックにした花が美しい。

真冬並みの冷たい風の中、千波湖岸を桜を愛でながら歩く。岸辺には多くの水鳥がいるが人間を恐れない。コブハクチョウやコクチョウが散策路のすぐ脇で抱卵しているのだ。コイやヘラブナの乗っ込みも大変賑やかで、バシャバシャと飛沫を上げながら集まっている姿を確認できた。

湖を離れて中心部に向かう。線路を越えて丘に登ると水戸芸術館に着いた。このあたりまで来ると周囲にビルなどがあるので風を感じない。日向で身体を暖めながら印象的なタワーや建造物を撮影した。しばらくすると併設のレストランで厳かに結婚式が始まった。

街の中心部は週末とあって人はまばらだ。官公庁街はガランとしていてとても静かである。のんびりとゆっくりとブラブラ撮影を楽しむ。街並みや建物、看板などがとても興味深い。

三の丸庁舎ではお祭りが開催されていた。屋台や野点が軒を連ね、マーチングバンドの演奏が響いている。花見をする人も多く、街の人たちはここに集まっていたのだった。日が高くなるにつれ気温が上がり風が収まってきた。ようやく春らしい雰囲気になってきた感じだ。

名残惜しいが水戸を後にして、最後の青春18きっぷを使うべく水戸線に乗り込む。例のごとく特に行くアテはない。車窓からの景色と駅名で気になったところがあれば途中下車するつもりだ。ロングシートでウトウトしながらも、今までに訪れたことがない結城で下車した。この街は結城紬と見世蔵で有名だ。

日が傾き始めた結城の街をブラブラと歩く。蔵と商店、住居が一体となった見世蔵はどれも素敵な佇まいだ。そんな見世蔵が街のあちこちに30ほど存在している。紬資料館となっていたりギャラリーカフェになっていたりと見所が多い。

ギャラリーカフェで美味しい桑茶を頂き、再び結城の街を歩く。そろそろ日没ということろで名刹に着いた。夕日に薄く染まった桜が美しい。境内では花見を楽しむ人たちがチラホラと。自分も座り込んでしばし桜を愛でる。時折舞い散る桜の花びらを見ながら、次はどこをブラブラしようかと考えたのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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