シグブラ
第31回:レトロの街・青梅ブラブラ

レトロの街・青梅ブラブラ

May 14, 2014

奥多摩に行こうか立川に行こうか決めずに電車に乗り込む。動き出した電車の中を何気なく眺めていると、乗客は寝ているかスマートフォンをいじっているかのどちらかだった。ほどなく立川に到着して駅ナカで食事を摂る。ふと「最近青梅に行ってないな」と思いだし、ようやく本日の目的地ができたのだった。

久しぶりに青梅駅に降り立つ。平日なのでほとんど乗降客がいない。この駅のホームや通路では名物のレトロな映画看板が出迎えてくれる。数本見たことのある作品があったが、ほとんどはタイトルしか知らない古い映画ばかりだ。

駅前ロータリーに出て、街道の一本裏手の道を東に歩き始める。時折吹く強風が商店街の看板を大きく揺らす。都心部からちょっと離れただけだが、空気がヒンヤリとしていて清々しさを感じた。

青梅というとレトロな映画看板が有名だが路地を巡るのも楽しい。時間の流れと人々の暮らしぶりを感じさせる風景が其処此処に点在してるからだ。

駅前の観光案内所でもらった案内図を手にあちこちをブラブラする。そこに紹介されているスポットも面白いが、その途中に存在する何気ない街の表情も被写体としてとても気になった。

多摩川方面に開けた高台から南を見る。街を歩いている人はほとんどいない。低い雲が速い速度で流れていき、パラパラと雨を降らせていく。どうやらひと雨来そうな雰囲気だ。

再び駅前方向に戻る。ここでようやく観光をしてるシニア世代のグループとすれ違った。映画看板の前で語り合っている様子を見ると、昔見た作品なのだろうか、と思う。

駅前を走る青梅街道は旧い道だけあって、昔ながらの住居や蔵が多く残っている。開放されている旧家にお邪魔して様々な話を聞いた。「昨年まで隣や裏も旧い家だったんですよ」と言う。漆喰に水が入って建物が弱くなってしまい、危険なので取り壊してしまうケースが多いという。この家を出て裏手に回ると、ポツンと空き地の真ん中に存在しているのが確認できた。

その後もブラブラと街を撮影散策していると、雨が降り出したのでカフェに飛び込んだ。が、コーヒーを飲み始める頃には日が差し、向かいにあるスーパーからの反射光が店内に鋭く飛び込んできた。「あのスーパーもそろそろ閉店しちゃうんですよ」と女主人が話す。この先どうなっちゃうんですかねえ、などと世間話をしながらコーヒーを飲み干す。代金を払って青梅駅に向かいつつ、次のブラブラのことを考えたのであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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