シグブラ
第30回:新しい50ミリで三崎周辺ブラブラ

新しい50ミリで三崎周辺ブラブラ

April 24, 2014

何となく電車に長い時間乗りたくなって、当初考えていた目的地を通り過ぎ終着駅までやってきた。朝から何も食べていなかったので、駅前でソバでも食べようかと思ったが、ロータリーに停まっているバスが発車しそうな気配だったので勢いで乗り込む。いつもの通り景色が気になったところで下車することにしよう。シートに下ろしたバックパックからSIGMA 50mm F1.4 DG HSMを装着したSIGMA SD1 Merrillを取り出す。今日はこのレンズ一本だけだ。

城ヶ島大橋を渡った先でバスを降りて歩き始める。彼方此方と路地を撮影しながら港に出た。岸壁に座り込むとネコが寄ってきた。しばらくの間、ネコを撫でながら港の風景を眺める。

平日とあって観光客もまばらで、僅かに開いている食堂も暇そうにしている。歩いていて目に付くのはネコたちばかり。島はまるで時間が止まったかのように長閑である。

そんな島の風景を新しいレンズで楽しみながら撮影した。島をグルッと歩き回って、帰りは歩いて橋を渡ることに。途中、ウミウが営巣している断崖に立ち寄る。春の海風が壁のような圧力で押し寄せる崖っぷちに、多くのウミウが羽を休めているのが確認できた。遠くには東京湾を出入りする船が行き交う。

大型の船が下を航行できる高さがある橋はとても眺めがいい。この日は薄曇りで視界が遠くまで効かなかったのが残念である。冬の快晴の日ならば富士山も美しく見えるに違いない。

橋を渡って三崎港に降り立つ。こちらはマグロ目当ての観光客がいて僅かながら賑わっている様子であった。自分も空腹だったが、マグロは予算オーバーなので我慢をして撮影を続ける。カメラのバッテリーインジケーターも残量が少ないことを知らせていた。

三崎の街は昔ながらの商店と、新しくできた小洒落た店のバランスがとてもいい感じだ。通りを歩いていてもそれらが目の前に現れるタイミングが心地よい。また海による独特の湿度感が、風景をしっとりと見せてくれるのが魅力的である。

路地をくまなく撮影していると日も暮れてきた。撮影後に行こうと思っていた店はどうやらお休みらしい。残念!空腹のまま島を後にするバスを待つ。「次はどこをブラブラしようかなあ」と考えているとグーッとお腹が鳴って、乗るバスがちょうどやってきたところであった。

三井 公一

プロフィール

三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau

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