第147回:28mm 持って春の街をブラブラ
February 26, 2019
日が長くなり気温も上昇し始めた。いよいよ春である。明るい時間が長くなるのは、写真を撮れる時間が増えるということなのでうれしい。特に我々シグマ Foveon 機ユーザーにとっては待ちに待った季節の到来ではないだろうか。そこで SIGMA sd Quattro Hに、出たばかりの「SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art」を装着してブラブラ開始である。
クリアさこそ冬に譲るが、パワーときらめき感は春の光が圧勝だろう。あらゆるものがイキイキと見え、カラフルで躍動感あふれるように感じられる。古びた Foveon 物件ですら「撮って!」と主張しているかのように思えるのだ。暖かな光は路地の奥深くまで長い時間差し込み、今まで暗がりだった部分をも照らし出す。見過ごしていた被写体を発見する楽しみもあるし、肌寒くて足が向かなかった場所にもちょっと行ってみようかという気になるのがいい。今日は「SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art」1本なので足取りも軽快だ。午前中に二子玉川を撮影し、午後イチの打ち合わせ終了後は代官山から中目黒を経由し、三軒茶屋まで暗渠沿いにブラブラとシャッターを切った。SIGMA sd Quattro Hに装着したこのレンズの画角は約36mm相当でスナップ撮影に好適である。春の光を探してのフォトウォークに自然な画角だと感じた。写りはもちろん極上で、暖かな光線が浮かび上がらせた被写体のディテールをしっかりと写しとってくれた。これからのシーズンにオススメのレンズである。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | 晴れ |
シャッター速度: | 1/500秒 |
絞り値: | F8.0 |
焦点距離: | 28 mm |
多摩川に架かる橋脚の落書きを「SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art」で。カラフルなペイントの色再現はもちろん、壁面の細やかなテクスチャー感もリアリティさ満点に捉えてくれた。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | モノクローム |
シャッター速度: | 1/160秒 |
絞り値: | F8.0 |
焦点距離: | 28 mm |
代官山から坂を下って中目黒へ。そこからは東急東横線のガードに沿ってブラブラと。午後の暖かな日射しは眠気を誘う。ノラネコのように道ばたで眠りたくなる。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | オート |
シャッター速度: | 1/125秒 |
絞り値: | F6.3 |
焦点距離: | 28 mm |
ガード下にはさまざまな店舗が並んでいる。コーヒーショップ、インテリアの店、そして酒場など。ブラブラとのんびり春の光を探して SIGMA sd Quattro H を向ける。Foveon センサーのキャプチャー能力は素晴らしい。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | オート |
シャッター速度: | 1/160秒 |
絞り値: | F8.0 |
焦点距離: | 28 mm |
ガード下を離れ暗渠沿いを歩く。脇には懐かしいホンダのオフロードバイクが鎮座していた。色褪せたタンク、剥げたスプロケットカバー、テープの跡が残るシート、時代を感じる注意書きのエアクリーナーカバーなど Foveon 物件っぷりが堪らなかった。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | オート |
シャッター速度: | 1/125秒 |
絞り値: | F2.8 |
焦点距離: | 28 mm |
暗渠上の公園をブラブラと歩いて行くとほどなく三軒茶屋だ。下校する学生たちに混じって駅方面に歩を進める。するとちょっとしたアーケードにこれまた懐かしい「インベーダーゲーム」の文字を発見。経年変化の具合が実に素晴らしい Foveon 物件っぷり!怪しまれながら(笑)その様子をキャプチャーした。さすがに店はもうやっていないようだった。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | オート |
シャッター速度: | 1/320秒 |
絞り値: | F1.4 |
焦点距離: | 28 mm |
国道246号線を渡って「三軒茶屋デルタゾーン」へ。世田谷通りとの間にあるこのエリアは、仲見世商店街など昔懐かしい昭和の雰囲気が色濃く残るところである。狭い路地を挟んで飲食店などが建ち並び、とてもフォトジェニックなので以前もシグブラで取り上げた。飲みにたまに訪れるのだがそろそろこの姿も見納めかもしれない。そう、再開発の計画が進んでいるようなのだ。軒先の「駐輪禁止」の札を絞り開放で。ちょっともの悲しい色合いがいい感じ。
カメラ: | SIGMA sd Quattro H |
レンズ: | SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art |
露出モード: | A-絞り優先オート |
ISO感度: | 100 |
ホワイトバランス: | オート |
シャッター速度: | 1/60秒 |
絞り値: | F2.0 |
焦点距離: | 28 mm |
江戸時代中頃、大山道との分かれ道に3軒の茶屋があったことから「三軒茶屋」となったこのエリア。デルタゾーンの仲見世商店街だけでなく、すずらん通りなども再開発予定とのこと。いい雰囲気がなくなってしまう前に Foveon 物件を数多く撮って遺したいものである。まだ明るくて一杯やるには早いので、もう一回りブラブラ撮影して帰ることにしましょうか。暖かいしね。
プロフィール
三井 公一
1966年神奈川県生まれ。
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービーなどで活躍中。
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影、その作品が世界からも注目されているiPhonegrapherでもある。
2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。
公式サイトはhttp://www.sasurau.com/
ツイッターは@sasurau