前回のフィールドテストは、ニューヨークというエキサイティングな街を、いわゆるストリートスナップのアプローチでテストしてみました。21mmという超広角レンズであっても、ディストーションを極限まで抑え込むことで、あたかも標準域のレンズで捉えたような自然な描写が得られること、そして思いのままに振り回しても違和感のない写りが得られることを確認できました。すると次に思い浮かぶのは「風景撮影」です。今回は古代より自然と寄り添うように生きてきた、日本の原風景をスラッシュしてみたいと思います。
21mm。純粋な自然風景を捉えるには、少々持て余す画角です。しかし、高い性能を持つレンズとセンサーが細部まで解像し、Foveonセンサーのもう一つの特長である階調、および色再現とあいまって、例えるなら中判フィルムで撮影したような精細な結果を得ることができます。この広い画角がピタリとはまる風景はそう多くはありませんが、敢えてそういうシーンを探し、トライしたくなる面白さがあります。急峻で足元のぬかるむ現場。それでも軽量なボディと旅行用三脚の組み合わせが撮影者の負担を軽減し、撮影そのものに集中することができる。この「撮影への集中」こそがdpシリーズの最大の特長であり、dp0 Quattroでしか得られない世界です。
森の中の2カットを除いて、あとは手持ちでの撮影です。いずれも早朝で光量に乏しく、ほぼ絞り開放での撮影となりました。いつもなら撮影にためらいを感じるシチュエーションですが、レンズ性能の高さがシャッターを押す勇気を与えてくれます。このことは一番下のカットのように、画面内に人の営みを写し込むような、スナップ寄りの撮影においても威力を発揮すると思います。人物が浮き立つ圧倒的な解像力と線の細いナチュラルな結像、そして21mmの包み込むような画角が、撮影者の視点、視野、視座を写し込んでくれます。さて、次は何を撮ろうか。dp0 Quattroのフィールドテストは続きます。