

SIGMA fp Impression 02
Timur Civan
撮影監督
3週間の撮影期間中はほぼ常に、SIGMA fpとSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryのコンパクトな組み合わせを持ち歩いていた。「自分にとって最も良いカメラは、常に自分と一緒にいるカメラだ」という言葉があるが、fpは常に私の手の中か傍らにあった。
個人的にfpは完璧なポートレートカメラだと感じている。起動の速さ、優れた低照度環境での撮影性能、SIGMA 45mm F2.8 DG DN|Contemporaryとのコンパクトな組み合わせ。それらの機能やサイズ感が「捉えるべき瞬間」を逃さない。
スマートフォンでの撮影とは違い、フルサイズ画質を持つこのfpには表現力の幅がある。古い友人との再会や、新しい友人との出会い、休暇中の美しい瞬間や、完璧な日の出に巡り合ったとき、いつでも傍らのfpは準備ができていた。

この小さく頑丈な箱が特化しているのは静止画撮影だけではない。
カメラに2TBの小さなSSDを接続すれば、映画品質の12bit RAWデータ収録を90分以上行うことができた。このポケットサイズのシステムさえあれば、新しく見つけ出した風景から即興のポートレートまですべて収録できる。まさに"ポケッタブル"なラージフォーマットだ。
スタジオでのモデル撮影ではfpのさらなる可能性を感じた。PLマウントコンバーター、ドリー、モニター、フォローフォーカス、そしてSIGMAのシネレンズ「FF Art Prime」を装着したが、プロ用機材よりもはるかにレベルの高い機材で収録している気分だった。
驚かされたのはフルサイズセンサーがもたらすfpの描写力だ。ビスタビジョンサイズのセンサーや、ラージフォーマットセンサーを搭載した、はるかに大きく高価なカメラシステムで収録しているときでも、これほどの画の立体感は得られなかった。
スペック的にはfpと近いフルサイズのカメラシステムもあるが、現時点で私が知っているどのシステムも、fpほどの高品質のRAWデータは収録できない。fpならどんな収録にも対応でき、少しカラコレを加えればプロレベルの映像に仕上がるという確かな手ごたえがあった。また、撮影現場の状況によってはシステム自体を目立たないようにすることも重要になるが、その点でも慎ましいfpは最適だ。
CinemaDNGの編集は、私が普段使用しているDavinci Resolveで簡単に行える。 古いノートパソコンでも簡単に4K RAWをリアルタイム再生することができた。 記録先のSSDからすぐに編集でき、カラーグレーディングも容易に行える。 完成した作品は、ワークフローの簡便さから考えればちょっと出来すぎとも言える仕上がりだった。

ここまで褒めるとfpは完璧なのかと言われてしまいそうだが、もちろん完璧なカメラなんてない。 しかし、fpひとつ持っているだけで、大きなミラーレスカメラとさらに大きなシネマカメラのふたつを常に持ち歩いているかのような感覚は確かにあった。誰しもこんな気持ちに覚えがあるのではないだろうか。 外で何か素晴らしいものを見たときに「ちゃんと撮れるあっちのカメラを持ってくるんだった」と少し後悔する気持ちを。とにかく、fpはそれにきちんと応えてくれる。
fpは便利だ。その一言に尽きる。CineモードでもStillモードでも、日常にある何か些細なことすらクリエーションに活かせる力強さがある。実際大きな一眼レフやミラーレスカメラを常に持ち運ぶのは実用的ではないし、ましてやRAWが撮れるシネマカメラを毎日持ち歩くのは論外だった。だがfpならそれができる。スマートフォンが常に手元でそれなりの写真や動画を撮れるのと同じくらいの感覚で、fpは私がどこにいても本当に美しい高品質の画像や映像を撮ることを可能にしてくれた。

SIGMA fp + SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporary, F2.8, ISO250, 1/500s