瞬間を捉え、被写体とつながる
ART
24-70mm F2.8 DG DN II
Impression
by エリオット・オービン|Elliot Aubin

写真は、小さい頃から私の人生の中で重要な位置を占めてきました。私にとって、写真への深い情熱は自分探しと強く結びついています。
近年は、写真を撮られることに慣れていない人々を被写体とすることに力を入れています。被写体になることに苦手意識があった人々が、撮影をきっかけに自分自身のことをポジティブに捉えられるようになるのを見ると、私自身も大きな満足感と自信を得られています。
被写体との交流は私を人間的に豊かにしてくれますし、人間という複雑な存在に対するより良い理解にもつながります。写真家としてのキャリアをスタートさせたときは、もともとは趣味にすぎなかった写真がこのような感情をもたらしてくれるとは、想像もしていませんでした。
撮影の前のコミュニケーションはとても重要だと感じています。それが相互の信頼の基盤となるからです。たとえリモートでもその機会を持つようにしています。クライアントには、ただ1枚の写真を撮ることだけがゴールなのではなく、その人が持つ自己イメージをより良いものにする手助けをしたいのだ、と説明しています。
私がいつも被写体を自然な姿で捉えることにこだわるのは、そのためです。




SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Artを使って、私はストリートフォトという新たなジャンルにチャレンジしました。ストリートフォトは、これまでほとんど触れてこなかった分野ですが、常に興味は持っていました。なぜなら、それは写真家が独自の方法で思い出を永遠に刻む機会を提供し、自身が暮らす場所をよりよく理解する手助けをしてくれるからです。
ストリートという活気あふれる場所では、意識を研ぎ澄ますことが重要になります。すべての瞬間に、何気ないやりとりや表情、感情があふれています。ストリートは私たちが毎日を過ごす場所ですが、普段は特別な注意を向けることはありません。人々が互いに結びつき、群舞のように動き回る舞台にカメラを向けることで、その場所の本来の姿が見えてきます。







*撮影データの記載なき写真はSIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art以外のレンズで撮影されています。
長年にわたって、私は単焦点レンズを愛用してきました。写真家としてのキャリアは、信頼するSIGMA 35mm F1.4 DG DN | Artをはじめとする単焦点レンズとともに積み重ねてきたからです。単焦点レンズは使いやすく、存在感も控えめで、期待通りの高い画質を実現してくれます。これまでズームレンズを使おうと考えたことはほとんどありませんでした。ただ、依頼された仕事では必要に応じてSIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM | Artを使ったことはあり、その撮影は楽しい経験でした。そこで、この新しいレンズを使って、慣れ親しんだ環境から一歩外に踏み出し、新たな領域へ冒険に出てみようと考えたのです。
このレンズですぐに気に入った点は、使い勝手の良さ、特に軽さとコンパクトなサイズ感です。写真家にとって、これは大きな安心材料です。長時間にわたってストリートを歩き回る撮影や、依頼された撮影などの場合には、特に心強いメリットとなります。SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Artは、ズームレンズとして期待されるような高い利便性を備えるだけでなく、実用的で、素晴らしいレンズです。




パリのストリートでは、機材のことをほとんど意識せずに撮影できるのはとてもありがたいことです。周囲の環境にフォーカスし、目と耳で情報を収集し、決定的瞬間を捉える。信頼に足る機材があればこそできることです。ストリートではシャッターチャンスはすぐに過ぎ去ってしまいます。まさに瞬間の勝負です。
ストリート、特に市場でポートレートを撮影する際、テレ側の70mmで撮影するシーンが多くなりましたが、実際に撮れた写真を確認すると大満足の出来栄えでした。私が普段単焦点レンズを愛用する理由は画質の高さですが、その使い慣れた単焦点レンズにも匹敵する、期待値にとても近い、非常にシャープで解像感の高い写真でした。



もうひとつのポイントは、最短撮影距離が非常に短いということです。これは私の撮影に大きな変化をもたらしました。ズームの利便性にこの高い近接撮影能力が加わることで、このレンズの汎用性がさらに拡張されています。私はこの特長を最大限に生かして、マーケットに並ぶフルーツや野菜などの撮影では被写体にクローズアップして撮影しました。最短撮影距離の17cmまで寄っても、高精細かつシャープな画質を実現できました。
被写体に近付いてのクローズアップ撮影は、マクロレンズを使っているような感覚で、とても素晴らしい撮影ができました。




今回の撮影は私にとって非常に新鮮な体験で、これまでの固定概念から脱け出し、生まれ変わるような感覚を持ちました。この体験は写真という枠組みを超えて、より大きなインスピレーションを与えてくれたように感じます。
写真家として長い経験を持つ私ですが、このレンズは、新しいプロジェクトや新たな視点、レンズをクリエイティブに活用した新たな撮影手法の可能性を示唆してくれています。

MORE PHOTO
ABOUT
エリオット・オービン|Elliot Aubin
写真家/ビデオグラファー
独学で写真を学び、現在は様々なブランドやモデルと仕事をする、フランスの写真家。ポートレートとダンス撮影を得意とする。被写体を"真に生かす"ため、背景や光に特別な注意を払う、独自のスタイルを持つ。
愛着のある故郷ブルターニュのナントとパリの街を行き来し、2つの都市が持つものすべて、そしてそれぞれの特徴を活動の軸としている。