軽量レンズで挑むプリンスエドワード島の撮影
CONTEMPORARY
10-18mm F2.8 DC DN for Canon RF Mount
Impression
by デイヴ・ブローシャ|Dave Brosha
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私はカナダの風光明媚なプリンスエドワード島を拠点とする、多彩なジャンルを手がけるフォトグラファー、著述家、そしてアーティストです。人里離れた場所や冒険の舞台のようなロケーションで、コマーシャルやエディトリアルの撮影を数多く手がけてきました。そうした状況でベストショットを撮影するには、多くの場合、身軽で軽快に行動できること、そして様々な状況に対応できることが必要だと、これまでの経験でわかってきました。私の撮影では、ほとんどの場合、重い機材は足を引っ張るマイナスの要素でしかありません。物理的に「自由」であればあるほど、私の創造性もより輝くのです。
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*撮影データの記載なき写真はSIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary以外のレンズで撮影されています。
今回、新製品のSIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | ContemporaryキヤノンRFマウント用を試すことになり、私は大いに興味を掻き立てられました。特筆すべきは、APS-Cセンサー搭載カメラ用の超広角ズームレンズとしては世界最小・最軽量※という点です。私は、撮影の内容に合わせて、様々なフルサイズカメラやAPS-Cセンサーカメラを使用していますが、これまで体験したことのない軽さでの撮影を可能にするこの新しいレンズには大きな魅力を感じました。
※AF対応、APS-Cミラーレスカメラ用、F2.8通しのズームレンズとして(2023年10月現在 当社調べ)。
この新しいレンズの能力や特徴を存分に試すにはどんな撮影テーマが相応しいか考えた結果、観光写真のプロジェクトという設定で、今暮らしているこのプリンスエドワード島をテーマに据えようと決めました。私は、国内外を問わず、観光やロケーション写真の撮影を手がけてきました。そうしたプロジェクトでは、幅広い被写体を撮影する能力が必要になります。風景からポートレート、アドベンチャーの瞬間や長時間露光、低光量下の撮影まで、あらゆる場面が訪れます。このレンズは、そのような多様で多彩な撮影に最適なレンズのように思われました。
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夏のプリンスエドワード島は夢のように美しい場所です。赤い岩の海岸線、ビーチ、灯台、漁村、静かな島の暮らし──魅力あふれる海辺の風景の要素がすべて揃っているのです。まさに多機能な広角レンズにうってつけのロケーションです。
早速届いたレンズのパッケージを開けて、Canon EOS R7に装着してみましたが、まず驚かされたのはその軽さでした。私はフォトグラファーとして20年近いキャリアがありますが、今回の組み合わせは、Canonのカメラを使用したセットアップとしてはこれまでにない驚異的な軽さでした。これは大きな利点です。というのも、今回の撮影プランでは、様々な地形のエリアをたくさん歩き回るつもりだったからです。依頼を受けて行う撮影プロジェクトでは、写真だけでなく動画もよく撮影します。これは、私が運営している写真コミュニティで撮影の舞台裏や撮影テクニックを紹介するためなのですが、このセットアップの軽さは動画撮影においても大きな魅力です。
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今回の撮影では、このレンズのアーティスティックな性能を試してみたいと考えました。そこで、絞りを開放F値2.8付近に設定して意図的に「芸術的」な美しさを撮影したり、F値22付近に設定してより深い被写界深度とより広い焦点範囲でどれだけシャープな画が得られるか、光芒がどのようにクリエイティブな効果をもたらすかのテストも行いました。カメラの液晶スクリーンやファインダーを通して見る画は、素晴らしいものでしたが、それをコンピューター上で確認する、本当のテストはまだこれからです。撮影現場では素晴らしいと思えた画でも、モニター上で大きく拡大表示してみたら、重要な箇所のシャープネスが甘いことが判明し少しがっかりさせられた、というような経験はフォトグラファーにはよくあることです。
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今回、SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryで撮影した作品をPCで確認した時の感想は、「素晴らしい」の一言では片付けられないようなものでした。私は仕事では単焦点レンズを使うことが多いのですが、このコンパクトでありながら強力なズームレンズは、全ての焦点距離で、卓越したシャープネスと画質の高さを実現しており、あらゆる焦点距離で高い能力を発揮することはすぐにわかりました。開放付近のやわらかなボケ感も、F値を22近くまで絞り込んだ場合のドラマチックな光芒も、深い被写界深度では画面全体をくっきりとシャープに捉える能力も、どれもとても気に入りました。
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私はビジュアルでストーリーを紡ぎ出すことを好むタイプのフォトグラファーです。そして、そんな私の狙いを脇役として支えてくれる撮影機材を必要としています──撮影機材そのものがストーリーになる必要はありません。求めているのは、目立たず、控えめで、それでいて高品質で、技術的にも優れた機材です。信頼できる機材が手元にあれば、ストーリーも自然とスムーズに湧き出してきます。SIGMAの機材に対しては、キャリアの最初期からずっと、撮影を支えてくれる存在として厚い信頼を寄せてきました。コンパクトながら強力な今回のレンズも、そうした信頼関係に新たな1ページを刻んでくれることは間違いありません。私は喜んでこのレンズを私のカメラバッグに迎え入れたいと思います。
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ABOUT
デイヴ・ブローシャ|Dave Brosha
フォトグラファー、著述家、ビジュアル・ストーリーテラー
フォトグラファー、夢想家、著述家、探検家、また美と光を探究する表現者として、多彩な創作活動を展開。極限的な自然の純粋な美しさから人間性の真髄に至るまで、あらゆる存在の本質を捉えることに情熱を注ぐ。特に写真を通じたストーリーテリングに重きを置き、既成概念からの逸脱を試みている。
人生のほとんどをカナダ北部で過ごし、この地域の姿を記録して世界に発信することに力を入れている。カナダ以外ではアジアにも在住経験があり、カナダ国内はもちろん、世界各地の様々な場所を訪れた経験を持つ。現在はカナダ東部に位置するプリンスエドワード島を拠点とする。
SIGMAのカナダ代理店であるGentec International公認「SIGMAプロ・フォトグラファー」、王立カナダ地理学会(RCGS)会員、「カナディアン・ジオグラフィック」誌アンバサダー、「OFFBEAT Photo Community」共同創設者。また、これまでに4冊の著作を出版している(『Northern Light』『Southern Light』『Tones of Grace』『The Art of Misadventure』)。