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私が大切にしているのは、
誰も気づかない魔法の瞬間を写すこと

CONTEMPORARY
50mm F2 DG DN
Special Impression

by ダミアン・デモルダー|Damien Demolder

私は、自分の写真は人生を映し出していると思いたいんです。私自身の人生というだけでなく、私が出会う人々、私が行く先々にある様々な人生模様を映し出すものであってほしいのです。もちろん起こることの全てを撮影したいわけではありません。そのほとんどはさほど面白いものではないからです。

私が撮るのは、他の人が見ていたとしてもあまり意識を向けないようなものです。誰もが経験したことのあるシチュエーション、ごく平凡な日常から一歩踏み込んで表現するのが面白いんです。ふつうの人が気づかないような魔法を見せたいんです。

ご使用の撮影機材を教えてください。またフォトグラファーとしての自己紹介をお願いいたします。

私は小さなカメラと小さなレンズが大好きです。コンパクトで軽量な組み合わせは、、一日中持ち歩くことができ、大がかりな機材では行けない場所にも行けるし、シーンに違和感なくなじめるからです。私は自分の機材をシンプルに保つのが好きで、自分で撮る写真の約90%は標準レンズで撮影しています。標準という画角が好きなんです。この画角は、集中できるし、自然な感じがするから。私は人生をありのままに撮りたいし、見る人に被写体とすぐにつながってほしいので、ドラマや誇張、視覚的な邪魔をしないレンズは本当に助かります。また、フルサイズセンサーに搭載された50mmの画角は、35mmカメラに2インチレンズが標準装備されていた頃の歴史を静かに彷彿とさせる「クラシック」な雰囲気がありますね。

SIGMA Iシリーズの新製品「50mm F2 DG DN | Contemporary」の印象をお聞かせください。

IシリーズのSIGMA 50mm F2 DG DN|Contemporaryレンズの感触がとても好きで、コンパクトなサイズなので、今回使用したLUMIX S5IIとの相性は抜群です。バランスもよく、いい感じです。このレンズはよくできたレンズで、金属製の鏡筒は長期間の使用にも耐えることができます。私は自分の道具をとても大切にしていますが、使用頻度が高いので、「マイレージ」に対応できる道具を選んでいます。このレンズは長く使えそうな気がします。

さまざまなレンズが使えるので、使用するレンズにはこだわりがあります。シャープなレンズが好きなのは皆同じですが、どの絞りでも、画面の隅々までシャープであることが好きです。私は被写体を隅に置くことが多いので、その点は重要です。建築物を撮ることが多いので、歪みがないことも重要です。コントラストの強いエッジに出てくるフリンジ、例えば明るい空を背景に撮影した枝の縁に現れるパープルフリンジなどは大嫌いです。そんなレンズは何度も使いたくありません。しかし、このIシリーズのレンズは、絞りを開放にしても、フレーム全体に素晴らしいディテールがあり、きれいに補正された画像を提供してくれます。

*撮影データの記載なき写真はSIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary以外のレンズで撮影されています。

フォトグラファーとしてのご自身のご経験についてお聞かせください。どのような経緯でこの分野で働くようになったのでしょうか。

10代の頃から写真を撮っていましたが、初めてカメラを手にしたとき、すぐに写真の魅力に憑りつかれました。機材もずっと好きで、カメラやレンズの違いでイメージの表現が変わることに魅力を感じてきました。ミュージシャンになるつもりでしたが、学校では美術の勉強に切り替え、大学に行くまで独学で写真について学びました。その後、クルーズ船のカメラマンとして各地を巡り、広告写真の仕事を経て、写真ジャーナリストになりました。

あなたの人生やキャリアにおいて、写真はどのような役割を担っていますか?どのようにしてインスピレーションを得るのですか?写真と人生におけるあなたの情熱は何ですか?

私は25年間、カメラやレンズのレビュー、写真家へのインタビュー、写真を撮ることについての執筆を続けています。レビューのために写真を撮るときは、それぞれの画像が技術的な目的を果たし、技術的なルールに従わなければならないことを意識する必要があります。自分のために撮影する場合は、感情や雰囲気を伝えることを優先しますが、カメラやレンズに自分の考えを表現させるためには、やはり技術的な器用さが不可欠です。

私の頭の中身ときたら、撮りたいもののイメージと、そこらじゅうで何が撮れるのかを見つけようとすることでつねに一杯なのです。何をみても、いつでも、脳内ではどう撮ろうかということばかり考えていて、光の当たり具合や、背景の美しさに気を取られて、相手の話がまともに聞こえていないこともあるのです。

気取っているようですが、私にインスピレーションを与えてくれるのは光です。暗い場所に明るい部分があったり、低い角度から光が差し込んで長い影ができたりするのが好きです。明るい部分と日陰の部分の違い、色の組み合わせ方、柔らかい光と硬い光がどのように面白い雰囲気を作り出すか、といったコントラストを見ることができます。私は毎日、写真について考えています。

自分のスタイルはどのように作っていますか?自分のスタイルを模索している人たちに、何か提案はありますか?

私は長い間、自分にはスタイルがない、自分の写真であることを示すものがない、と悩んでいました。自分にはスタイルがあるほど面白みがないのではと不安だったのです。でも、悩むのをやめて、自分の興味のある写真を撮ること、自分がワクワクするような写真を撮ることに集中したら、スタイルができあがったんです。影、シルエット、強い色、面白いコントラスト、建築のスケール感といった要素が、私の心を躍らせることを発見したのです。長い間、同じことを考えながら撮影していると、写真に共通のテーマが生まれ、それを他の人が認識するようになります。「この写真はあなたが撮ったんだね、典型的な "あなた" の写真だね」と言われるようになるのです。そうなれば、あとはありきたりな写真になって飽きられるのを心配するだけです。定期的に小さな変化を与えることで、新鮮さを保つことができます。

なぜIシリーズがあなたにぴったりなのか、そして、この新しいレンズの使用感を表現するために、どのような3つの言葉を選びますか?

このIシリーズは、コンパクトで目立たず、美しく作られている、使うのが楽しくなるようなレンズです。丁寧に作られた金属パーツの感触、金属製のレンズキャップの質感、そして絞りの繊細な音は、シャッターを切る前から私に確信をもたらしてくれます。このレンズを前にすると、一流の画像が得られることは、ほとんどオマケのようなものに感じられるほどです。

ABOUT

ダミアン・デモルダー

フリーランスのジャーナリスト、写真家、映画監督

写真家、映画監督、ジャーナリスト、写真機材の専門家、講演者、審査員、教育者。1997年から写真出版に携わり、そのうち15年間はアマチュア写真家誌の編集長を担当。DP Review誌、Amateur Photographer誌をはじめ、英国内外の雑誌、ウェブサイト、新聞に定期的に執筆している。

ダミアンは、ソニーワールドフォトアワード、UKランドスケープフォトグラファーオブザイヤー、ハッセルブラッドマスターズ、ブリティッシュ フォトグラフィーアワード、アマチュアフォトグラファーオブザイヤーなど多くの写真コンテストの審査員を務めています。