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私が大切にしているのは、
デザインやエルゴノミクスで
自分を表現すること

アレクサンド・スゥエット
Alexandre Souêtre

90mm F2.8 DG DN | Contemporary Special Impression

あなたが使いたいと思うものを選ぶ際に重要なことは何ですか?

自分が使うもの、接するものを選ぶときには、そのかたちと機能がどこで交わっているかを重視する傾向があります。特に写真の場合には、その機材がもたらす結果や品質を第一に考えながらも、見た目の美しさも大切にしています。

カメラやレンズなどの撮影機材は、作業時間の大半手にしていることになるので、それらは私の仕事の様式やプロセスの一部となります。私は道具が好きですが、とりわけ美しい道具が好きです。カメラは、自分自身を表現するための強力なツールであると同時に、デザインやエルゴノミクスの好みを表現するためのツールでもあります。

自分の考えを表現するための撮影機材において、必要なことは何ですか?

写真に関して言えば、その機材が自分の考えを表現するための味方になってくれると感じられるかどうか。そう感じられたものは必要不可欠なものとなります。どれだけそのカメラやレンズを信頼できるか、実際に使ってみるまで見極めるのは難しいですが、最初の数枚を撮影した時点で、機材への愛着は湧いてきます。

そのレンズで過去に撮った写真、それについて自分自身がどう感じたか、他人がどう感じたか、そしてどれだけよく被写体を捉えることができたかを基準にレンズを選んでいます。

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 400, F8, 1/1000s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 400, F8, 1/400s

SIGMAのIシリーズの新しいレンズ、特にSIGMA 90mm F2.8 DG DN|Contemporaryの印象はいかがですか?

私は45mmのようなもっと広角のレンズに惹かれる傾向がありますが、SIGMA 90mm F2.8 DG DN|Contemporaryはすぐに気に入りました。広角のレンズはシーン、場所、文脈を捉えるのに役立ちますが、90mmの焦点距離では、ものごとのディテール、よりタイトで複雑な視点、最も好きな被写体のひとつである建築物の特徴や、人物やものの隠された側面などに焦点を合わせることができました。

被写体を際立たせてくれるボケ味は、明るい場所でも開放のF2.8で撮影したくなるほどの美しさです。

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 1000, F2.8, 1/2000s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 400, F8, 1/1250s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 800, F2.8, 1/400s

クリエイティブディレクター/写真家/ディレクターとしてのキャリアについて教えてください。また、この分野で働くようになった経緯を教えてください。

プロフェッショナルとしてクリエイティブの世界に入ったきっかけは、グラフィックデザイン、特にブランディングやCIデザインの仕事に携わるようになったことです。クリエイティブ系のソフトウェア/テクノロジー開発のバックグラウンドを持つ私は、ジュニアアートディレクターとして働くようになりました。大学でマーケティングとコミュニケーションを専攻しながら、独学でデザインと写真のスキルを身に付けました。独学ゆえに失敗も多かったのですが、そのおかげで新たなスキルや経験も多く得られました。ロサンゼルスに引っ越す頃には進む道を変えたいと思うようになり、ミュージックビデオやショートフィルム、コマーシャル、ドキュメンタリーなどを手掛ける映像プロダクションのプロデューサーとして制作の仕事を始めました。やがてスケートボード・ブランドのアートディレクターに採用され、ここでクリエイティブディレクターとしてのスキルを身に着けることに。同時に写真にも夢中になり、最初は趣味として、やがて副業として真剣に追求するようになりました。やがて友人やパートナーとの出会いから、再びクリエイティブ・プロダクションの世界に戻り、今は映像作品のディレクターもするようになっています。

写真、ビデオ、デザイン、イラストレーション、そして最近では、主に私が共同オーナーを務めるブランディング/広告代理店を通じたクリエイティブ・コンサルティングという実用的なアプローチも行っています。私の内なる「こども」は、ひとつのことだけに固執するのではなく、既存の形式や領域にとらわれずに自由な創作の可能性を追求することを欲しているみたいです。写真というのは、キャリアとしてだけでなく、私の人生に芸術性や創造性をもたらしてくれる点でも、非常に重要な「私の一部」であり続けているといえます。

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/320s

あなたの生活やキャリアの中で、写真はどのような役割を果たしていますか

私の職業人生の半分は写真に費やしていると言っていいと思いますが、プライベートではそれ以上に大きな役割を果たしてくれていますね。写真というのは、ある意味で多くの制約を受ける表現方法なのですが、これほど雄弁に力強く作用するものもないと思っています。一枚の写真が他のだれかの心を捉えるのに十分な力を持っていて、私はいつもそうした営みに興味をひかれるのです。写真家としては自分自身はずっとアマチュアであると考えていますが、写真を撮り続けてきたことがプロのクリエイターとしての可能性やレベルを高めることに繋がっています。クリエイティブ・ディレクターとして、写真はブランドのストーリーを語る上で非常に役立つだけでなく、現実的な制約の中で遊ぶことの楽しさを感じさせてくれるのです。自分のための撮影は自由で刺激的ですが、クライアントのために「ストーリーテリング」の手法として写真を駆使することで、より効果的で豊かな伝え方が実現できます。目に見えないはずの価値観やテーマを可視化して共有資産に変換することは、クリエイティブディレクションやデザイン、ブランディングという仕事の醍醐味と言えますね。それと同じように、アイデア、感情、価値観を写真によって可視化する楽しさもあります。あらゆるクリエイティブ・ツールは相互に刺激し影響し合うものです。写真もまたグラフィックや映像の世界でそのように作用しており、私はそこに魅了されているのです。

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/6000s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/4000s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/320s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary, SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/6000s

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 160, F2.8, 1/5000s

自分のスタイルを作るには?

あまり深くは考えないですね。自分の「スタイル」を認識するまでには数年かかりましたし、たぶん今もなお精練は続いています。試行錯誤を重ねるなかで、自分は「ストーリーテラー」には向いていないことはわかったのです。たとえばあるクリエイターのように、写真によってストーリーを伝えたり、スリリングな決定的瞬間を捉えるような技術は持っていないし、メディアに関する幅広い技術的な知識もない。そのぶん自然と「自分らしいスタイル」がわかるようになったのかもしれません。私の場合、光とテクスチャーの微妙な効果に焦点を当てることで、理屈っぽく意味深長になりすぎることなく、ただその瞬間を捉えることを大事にしています。つまり、自分のプロセスや機材、方向性を意識して作り込みすぎない方が、自分らしい自然なスタイルで撮れる可能性が高いのです。私は北欧や日本の美意識に惹かれるのですが、そういう柔和な、時として暗喩的な図像が好きです。そういったインスピレーションを自分のスタイルに反映させています。私の作風をひとことでいうなら、デザインやブランディングと似たようなアプローチを通して「どうすればより多くのことをより端的に伝えることができるだろうか」ということでしょうか。ミニマルな美学という私の志向と通じる部分といえそうです。

SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary,
SIGMA fp L, ISO 800, F8, 1/1250s

なぜIシリーズはあなたにぴったりなのか、そしてIシリーズのその体験を表現するにはどのような言葉を選びますか?

Iシリーズは、エレガントで、プロフェッショナルで、用途を制限せずに使えるレンズだと思います。
私にとってエレガンスは重要な要素です。特に日常的に扱うものは、目に美しく、洗練されているものであってほしいのです。

プロフェッショナルというのは、必ずしも明確に定義できるような性質のものではありませんが、私がIシリーズをそう感じる理由は、特徴や機能が直感的に理解できるよう、そして使い手が自分好みに使いこなせるように細部まで完成度高く作りこまれているからです。考え抜かれた仕様と優れたビルドクオリティは、プロとしての成果を上げるうえで信頼に足るものです。

被写体への意識を常に切り替えながら撮影する場合、レンズは汎用性の高さが重要なポイントになります。SIGMA 45mm F2.8 DG DN|ContemporarySIGMA 65mm F2 DG DN|Contemporaryの2本で、ほぼ全ての被写体に必要な焦点距離をカバーすることができました。今回、SIGMA 90mm F2.8 DG DN|Contemporaryが加わったことで、はじめて必要性に気付けたような被写体への向き合い方にも出会うことができました。SIGMA 90mm F2.8 DG DN|Contemporaryの汎用性は、同じ被写体にも異なる視点を与えてくれます。人物や建築物を好んで撮影するのですが、90mmによって、より精密に、被写体の全体像から細かい部分へ、今までとは違った見方、撮り方ができるようになりました。

※ 撮影データの記載なき写真は90mm F2.8 DG DN | Contemporary以外のレンズで撮影されています。

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