私が大切にしているのは、
イメージをかたちにして
世界とつながること。

SIGMA I seriesレンズはコンパクトでシンプル、かつ上質。ただ小さくて写りが良いというだけではなく、金属の質感やシンプルなフォント使い、色を排除し工業製品ならではの美しさを追求したデザインに、しっとりとした感触の重めのトルク感、全てにおいてSIGMAの美学を感じるシリーズに仕上がっている。これほどSIGMA fpにしっくりくるレンズはIシリーズをおいて他には無いのではないかと感じられるほどの一体感。どこへでも持ち出せるスタイルとミニマルなデザインにより、必然的に使用頻度が高くなる。使用する機会が多ければ多いほど愛着も湧いて、なくてはならない1本となる。そんな「いい予感」のするレンズなのだ。

かつて弓道を習っていた際、師範から「真善美」という言葉を教わった。Iシリーズを使用していてこの言葉が自然と頭に浮かんだ。弓道における「真善美」とは、勝ち負けだけに囚われることなく、作法と精神の向上によって心身を高めていくことを意味するが、弓道のみならず「真善美」とは人間の美意識について端的に表した言葉であると思っている。これをIシリーズに置き換えるとするならば、真摯に写真に向き合い、適正価格であり、かつプロダクトとして審美的である、と言えると思う。

私の経歴は少し特異かもしれない。10代の頃アートスクールに通い美大を目指していたものの、大学では造園学を専攻し、大学卒業後入社したのは食品の専門商社。とはいえ、カメラで目の前の光景を写しとるという行為はずっと好きで、その後職を転々としながらもカメラはいつも私の側にあった。その頃から写真を撮ることは私の人生に欠かせないものであると認識していたのではないかと思う。

2011年に公募展が開催された当時、私は大阪のIT関連企業でWEBデザイナーをしていたが、様々な縁もあって2014年にフリーランスフォトグラファーとして進むことを決意した。フォトグラファーとしてはファッションや各種WEB媒体や紙媒体向けの撮影、またフリーランスフォトグラファーになる以前からファッションブランドとコラボレーションした商品を毎シーズン発表している。

当初写真は私にとって絵筆を持って描くことの替わりだった。しかしながら自分の目だけを通して見て描く絵画とは異なり、写真ではレンズという「もうひとつの目」を持つことができる。それらの目を通して見る世界はそれは楽しく、美しく、魅力に溢れていて、自分の足で進み生きる原動力となっているのかもしれない。そのような意味では私は写真を通じてようやくこの世界と繋がることができたのだと思う。

現在の私のスタイルに大きく影響を与えたのは、幼い頃から芸術に触れる機会を作ってくれた2人の伯母と、アートスクールで出会った恩師の存在に因るものが大きい。母の姉である2人の伯母のうち、長女の伯母は、自身が家元を務める煎茶道の流派を通じてその世界観と彼女の美意識を、次女である伯母にはことあるごとに絵画展や音楽に触れる機会を与えてもらった。アートスクール時代の恩師からは幅広く芸術を学び実践することと「自分だけのカラー」の大切さを学んだ。彼らなしでは今の私のスタイルは確立していなかったと強く思う。