光と影の融合

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art Impression

インプレッション

シャオ・ティン・ウー(ティナ)|Xiao Ting Wu (Tina)

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 100, F1.2, 1/200s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | ArtはF値1.2という明るさが特長で、ポートレート撮影ではより効果的なボケ味を実現し、光量の少ない環境下でも扱いやすいレンズです。非常に明るいレンズであるにもかかわらず軽量かつコンパクトなため、長時間にわたる撮影でも難なく持ち運びができます。レンズボディには絞りリングが搭載され、クリックのON/OFFを切り換えられるので、より利便性が向上しています。画質も素晴らしく、フローティングフォーカスによりクローズアップ撮影でも高い解像度をキープするなど、私の撮影プロセスにおいて必要不可欠なレンズとなりました。

*撮影データの記載なき写真はSIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art以外のレンズで撮影されています。

カメラやレンズの技術的な進歩は、あなたの写真撮影に新たな視点を提供していますか?

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | ArtのF1.2という明るさは、クリエイティブな自由度を格段に高めてくれます。その卓越した明るさのおかげで、光量の少ない撮影環境でも難なく扱えますし、背景をソフトかつアーティスティックにぼかした表現も可能です。要素の多い背景であっても、被写体をくっきりと目立たせるような作品を生み出せます。モデルの目や顔にピントを合わせる場合には、レンズの明るさを生かして被写体の奥深くにまで切り込み、繊細な表情や感情をこまやかに捉えることで、ドラマチックで謎めいた作品になります。私の作品をご覧になればおわかりいただけると思いますが、私は被写体の手前にエレメントを配置して撮影するのが好きで、ランプや柱、鉢植えの植物や花束などを前景に置くことがよくあります。私の撮影では、モデルに極端な体の動きや表情をさせることはありません。レンズの明るさを生かしつつ、構図の力でユニークな視覚効果を生み出し、作品に豊かな物語性や深みを持たせることが重要なのです。

光量の少ない撮影環境ではレンズそのものの画質が非常に重要になりますし、ピント合わせもより難しくなることがあります。SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artは、開放でも素晴らしい性能を発揮し、クリアで高精細に撮影できます。一般的に光量が少ない環境では明暗差が大きくなり、手持ちでの「ピクセルシフトマルチ撮影」も難しくなります。現像での調整余地を残すためにも、白飛びを抑えつつ、暗部のディテールをしっかりと捉える必要がありますが、私が撮影した写真を見れば、このレンズがその役割を果たしていることがよくわかります。どれも豊かなディテールと質感を備え、生き生きとしていて鮮やかです。極端に光量の少ない環境下で、シャッタースピードは1/60秒くらいに抑えつつも、レンズの画質の高さと高速なオートフォーカスによってすべて手持ちで撮影することができました。その結果、美しい表情や動きを捉えた、シャープで重厚なイメージを生み出すことができました。

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 200, F1.2, 1/50s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 320, F1.2, 1/50s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 160, F1.2, 1/60s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 4000, F1.2, 1/60s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 640, F1.2, 1/60s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 800, F1.2, 1/160s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artは、今回の撮影プロジェクトにおいてどのような力を発揮しましたか?

今回のプロジェクトでは、中国の伝統建築や室内装飾を背景に、中国の伝統衣装を纏ったウクライナ人モデルのポートレート撮影を試みました。こうした仕掛けにより、モデルと背景とが互いに溶け合いながらもコントラストを生み出すという、ユニークな構図が実現しました。すべて手持ちでの撮影でしたが、このレンズならではの特長と性能のおかげで、独特で美しい瞬間を数多く捉えられました。

同様のスペックのレンズの中でも、SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artは最も軽量な部類に入ります。そのため、長時間にわたる手持ち撮影でも手が疲れることはありませんでした。低速のシャッタースピードで、ブレないようにカメラをしっかり固定する必要があるような場合には、レンズの軽さがもたらす恩恵は特に大きくなります。優れた安定性と柔軟性を備えているため、屋内・屋外を問わず、構図や画角をより流動的に調整でき、ベストな瞬間を逃さずに撮影できるのです。

風景を取り入れた撮影では、非常に自然でスムースな玉ボケ、そしてピントの合った部分からアウトフォーカス部に続くなめらかで溶け込むようなボケ味が見て取れます。ハイライトを大幅に抑制したり、シャープをかけたりと、現像で様々な調整を試してみましたが、美しいボケ味はそのまま残すことができました。結果として、SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Artは夜間のポートレート撮影において卓越した表現力と性能を発揮しました。焦点距離、明るさ、高画質、そして軽量設計により、光量の少ない環境でも私の好みの雰囲気やスタイルで撮影できました。

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 160, F1.2, 1/100s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 400, F1.2, 1/60s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 320, F1.2, 1/60s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 100, F1.2, 1/100s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 800, F1.2, 1/20s

あなたの人生や仕事において、写真はなぜ重要なのですか?

多くの写真家にとって、写真という旅は情熱や興味が出発点となっています。美しい風景に心奪われた体験だったり、ポートレートを通じて自己を表現したいという思いだったり、あるいははかない瞬間を捉えたいという願いだったりと、動機は様々です。写真は、私たちが見て感じた世界を記録し、表現し、そして共有するためのひとつの手段です。すべての写真家が、自分だけのユニークなビジュアルスタイルや表現を持っています。それは、構図や光、色彩によって感情を伝達する、ひとつの純粋な芸術のかたちとも言えるでしょう。写真はまた、世界の美しさや複雑さを探究し解き明かすための手段でもあります。以前は旅行や日常の写真を撮ることが主だったので、私の写真への愛は個人的な情熱と強く結びついていました。しかし今は、写真は私の表現や創造のツールとなっています。写真家として、美しい作品を生み出すだけにとどまらず、写真を通じてメッセージや思想を伝えることができたなら、そして人々の行動にポジティブな影響を与えることができたなら、その重要性はとてつもなく大きなものになるでしょう。だから私は写真を通じて、環境保護や女性問題といったテーマに関わりを持ち、議論に貢献したいと思っているのです。

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 160, F1.2, 1/50s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 250, F1.2, 1/100s

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art, SONY α7R III, ISO 160, F1.2, 1/60s

写真作品のインスピレーションはどこから生まれていますか?

私のインスピレーションは、人生そのものです。個人的なストーリーであれ、社会的な出来事であれ、誰かとの対話や、絵画、あるいは些細な瞬間であれ、すべてがインスピレーションの源となります。例えば、環境問題をテーマとした《Reshape》というプロジェクトが生まれたのは、子どもと一緒にビーチで遊んでいる時にプラスチックの袋が海に浮かんでいるのを見たことがきっかけでした。


あなたにとって写真とは?

写真は私の人生に必要不可欠なものです。収入源としても、また活力や向上心、モチベーションの源としても。様々なカテゴリーや手法を探究していくなかで、私は写真を通じて、より広く、より複雑で多様な、そしてよりエキサイティングな世界を体験できています。

写真を志す人に何かアドバイスはありますか?

写真を職業にしたいのであれば、まずは時間や労力、好み、長所などを秤にかけて方向性を決めるとよいでしょう。その次に間違いなく重要なのは、写真の基礎を学ぶことです。写真の基本原理や機材、撮影テクニック、露出やフォーカス、構図、その他の基礎的な知識をマスターすること、LightroomやPhotoshopといった画像処理ソフトウェアを使って画質や表現に磨きをかける方法、などです。そこから先は、実践を積み重ね、自分だけのスタイルを見つけ出すのです。他の写真家の作品を見たり、写真関連の本や雑誌を読んだり、写真展や写真のギャラリーを訪れたりといったことも、すべてがインスピレーションにつながります。それと同時に、心をオープンにして、日常生活の中から創造のインスピレーションや材料を見出していくことも大切です。仲間の写真愛好家たちとの交流を深め、写真コミュニティに参加し、他の人々と経験を共有し、互いに教え学び、励まし合うこと。趣味で写真を撮るアマチュア写真家なら、観察し、探究し、そして楽しむことです。自宅の庭に咲いた花でも、海でも、とにかくどんどん撮りましょう!



人生において、あるいはもっと広い意味において、あなたの今の課題は何ですか?

もし課題があるとしたら、それはおそらく、やりたいことが多すぎて途方に暮れてしまうことがある、ということだと思います。

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シャオ・ティン・ウー(ティナ)|Xiao Ting Wu (Tina)

シャオ・ティン・ウー(ティナ)|Xiao Ting Wu (Tina)

ポートレート・フォトグラファー

SIGMA (China) 協力写真家
上海芸術写真協会ポートレート部会長
駐上海米国総領事館「Space 33」にて開催された気候変動をテーマとする展覧会に招聘アーティストとして参加

ボストン大学で数学の学士号を取得した後、シドニー大学で社会福祉学の修士号を取得。新生児や妊婦、家族などの写真を撮るようになったことがきっかけで、写真家としての活動を開始。シドニーでポートレート専門の写真スタジオを開き成功を収めるとともに、様々な国際的な賞を受賞。2020年に中国に帰国し、女性や環境に関するテーマとポートレート写真とを融合させ、NGOや企業、研究者らとのコラボレーションを通じて写真と人道問題との接点を追究している。油彩画のテクニックと現代的な表現を高度なスキルで一体化し、古典的な芸術様式を通じて前衛的なコンセプトを伝える。その作品は、上海当代芸術館、M50、駐上海米国総領事館、上海国際写真芸術展など、様々な権威ある芸術施設で展示されている。

主な受賞歴:
WPPIコンペティションで金賞および銀賞を受賞
RISE Internationalで銀賞を受賞
IPA International Photography Awardsのポートレート部門で第3位

展覧会:
2021年3月:女性の成長に関するレクチャーと展示「Her Choice」(上海当代芸術館)
2022年1月:初の写真個展「Reshape」(環境問題をテーマとしたM50のシリーズ展示)
2022年9月:気候変動をテーマとした美術展「Symbiosis」(駐上海米国総領事館Space 33)に招聘アーティストとして参加
2022年11月:「上海国際写真芸術展」に参加

使用機材

スチルレンズ