山木 和人
SIGMA 代表取締役社長
Produce: Yoshinao Yamada, Photo: Hiroshi Iwasaki, Video: DRAWING AND MANUAL
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“fpは、出張に持っていける、
コンパクトで良いカメラが欲しいな
と思ったのが開発のきっかけです”
”社員のひとりひとりが一番能力を発揮できるような場”を
つくるのが私の仕事
山木和人です。株式会社シグマの代表取締役社長をしています。
子どもにも「どんな仕事してるの?」って聞かれるんですが、説明が難しいんですよね。言葉でいうとすれば、「社員のひとりひとりが一番能力を発揮できるような場」をつくるのが私の仕事じゃないかなと思っています。
出張に持っていける、コンパクトで良いカメラが欲しい
fpは、出張に持っていける、コンパクトで良いカメラが欲しいなと思ったのが開発のきっかけです。私の場合、週に1度は会津工場に出張しますし、大体月に1~2回は海外出張があるんですが、荷物も多いので、やっぱり出張の時に持っていく撮影機材は最小限に抑えざるを得ないんです。一方で、ただコンパクトなだけだと、それだけの用途で終わってしまいそうで、たまには大きなレンズをつけたり、いろんなアクセサリーをつけ替えられる拡張性もほしい。時や場所を選ばずに、もう少し本格的に使えると良いと思ったんですよね。基本的なフォルムはミニマムだけれど自由に拡張できるようにしたい。加えて、我々は4年くらい前から映像用のレンズビジネスにも参入しているので、静止画も動画も同じように撮れたらという着想から、最初のアイデアを社員に相談したのが始まりです。
「あ、いいな」と思ったら
パシャパシャっと撮るのがいつものパターン
「旅」といっても、私の場合、家族旅行以外はほぼ全て出張なので、スケジュールは常にものすごくタイトなんですよね。だいたい海外出張の場合は2~3か所を一度に回ることが多いので、移動の合間が貴重な撮影時間になります。ジャンルとしてはやっぱりスナップフォト、ストリートフォトのような、海外の街角とそこにいる人みたいなものを撮るのが好きですね。旅先で写真を撮るときは、ふとした瞬間にバッグからサッと取り出して撮るとか、あるいは商談が終わって、夕食までのわずかな時間にカメラ1つ肩に掛けてふらっと外に出て、「あ、いいな」と思ったらパシャパシャっと撮るのがいつものパターンです。
自分がそのとき感じたことが
表れるように撮れるといいなと思いますね
撮影するときは、なるべく、そのシーンを見たときの自分の気持ち、例えば夕焼けを見てきれいだったら夕焼けの色がこんな感じだったかなとか、そこにいる人がすごく素敵だなと思ったら、その人が風景の中で生きているとか、自分がそのとき感じたことが表れるように撮れるといいなと思いますね。他の方の写真を見るときも、やっぱり写真の向こう側にある撮り手のライフスタイルだったり、関心や興味、趣味といったものが何かしら感じられる写真はすごくいいなと思います。教科書的にきれいな写真とかよりも、もう少しパーソナルな気配が感じられるような写真が好きですね。
私の今の生活のいろいろな場面に、ごく自然にフィットしてくれる
fpについては「画質がいいな」というのを実感しています。これまで、非常に解像度が高くて立体的な描写をするFOVEONセンサーを搭載したカメラをずっと使ってきたので、今回の一般的なベイヤー式センサーでどんな画が出るのか、開発段階から興味を持っていたんですけれど、解像感だけじゃなく立体感もあって、その点でも満足しています。
でもそれ以上に、やはり気軽に持ち出せるところが一番気に入っています。商談後、それこそネクタイとジャケット着用のままホテルを出て写真を撮ったり、そのままレストランのテーブルに置いておいても違和感がないくらい、良い意味で主張しすぎないですし。私の今の生活のいろいろな場面に、ごく自然にフィットしてくれるところも、すごく満足してます。
作り手の気持ちとか、
こだわりが感じられるものを一つ一つそろえていきたい
旅道具だけでなく多分ほかの道具も同じだと思うんですが、作り手の気持ちとか、こだわりが感じられるものを一つ一つそろえていきたいとは思っていますね。私が選ぶのは使う物でも着るものでも、そんなものが多い気がします。これはやっぱり、普段から当社で、実際にものづくりに携わっている技術者や、工場で働く人たちだったりを身近に見ているので、「ものづくりっていいな」と思っているからですね。一つ一つのプロダクトを私たちも作品だと思って作っているので、同じような思いが感じられるものは、選ぶ側にとっても大事な要素だと思っています。
実際に現地の人たちとの
交流を通してお互いの理解が深められるような旅を
魅力的な旅先はたくさんあるんですけれども、私が見て感銘を受けたところは自分の家族、特に子どもたちにもいろいろ見せたいなと思います。例えばバルセロナなんかは、サグラダ・ファミリアみたいに「見るべきもの」もあれば、どこで何を食べてもおいしい食事なども魅力ですし。子どもたちが大人になる前には、アメリカのニューヨークのようにダイナミックな都市にも連れていってあげたいとも思います。あと中国や東南アジアなど、日本も一員であるアジアの仲間の人々がどんな生活をしてるかも自分の目で見る機会をつくりたいなとも思っています。いまは子どもでも日常的にネットを使うようになったぶん、自身の目と耳で世界を知る前に、いろんな「ノイズ」が入るような環境にあると思うんです。実際に現地の人たちとの交流を通してお互いの理解が深められるような旅をしてほしいですね。
想像を膨らませても到底及ばないほどの光景が忘れられません
旅というと、それこそ一番遠いところでは南アフリカも大好きです。ケープタウンは、今まで訪れたなかでも間違いなくトップ3に入るぐらいすてきな街で、アパルトヘイトのように不幸な歴史もあるんですけど、街としては本当にすてきなところでした。
あ、そうそう、中国の新疆(しんきょう)ウイグル地区のウルムチからトルファンのほうへ向けての、いわゆるシルクロードに一度行ったことがあるんです。中国出張の折に機会をいただいて赴いたんですけれども、あそこはぜひもう一度行きたいですね。ほんとにこの世のものとは思えないような景色が広がっていて、はるか昔、隊商たちがあの砂漠の中をどうやって歩いて物資を運んだのか、想像を膨らませても到底及ばないほどの光景が忘れられません。でも所々、すごくおいしいブドウやスイカが食べられるようなオアシスもあって、すごくいい経験をさせていただいたんです。あそこはぜひ家族にも見せてあげたいなと思いますね。
世の中の生きた反応を、
ストレートに理解することが大事だと思っています
これだけ「旅」が増えたのはやはり今の立場になってからですね。社長という役割をしていると、やっぱり市場との間にいろんな「膜」ができてしまうんです。いろんなフィルターを通して間接的に情報を受け取るようになりがちです。ですから基本的には、海外出張には私一人で行くようにしています。スタッフを帯同せず、現地のお取引先様とか、あるいはメディアの方と直接お会いして対話することで、当社の置かれている状況や、お客さまが今どう感じてるかといった、世の中の生きた反応を、ストレートに理解することが大事だと思っています。日本で同じことを報告として受けるのと、現地で直接聞くのでは、言葉の重みや情報の本質の伝わり方が全然違ってくる。やっぱり今私たちがどう思われてるのか、何をしなきゃいけないのか、お客さまに何ができるのかを理解するためにも直接現地に行き、現場を見ることが重要だと思うので、これからも社長としての「旅」は大事にしたいなと思っています。