85mm F1.4 DG DN | Art Impression
実写ギャラリー & 解説
ミラーレスカメラ専用に新設計された85mm F1.4 DG DN | Artは、ショートフランジバックの利点を最大限に活かし、Artの名にふさわしいクラス最高の描写性能を実現しました。同時に大幅な小型化にも成功し、従来の85mm F1.4では考えられなかった高い携行性を獲得しています。マウントはLマウントとソニー Eマウントをご用意。ここでは実際に撮影した作例や画質検証とともに、使用感や機能についても詳しくご紹介いたします。
実写ギャラリー
「ポートレートレンズ」とも称される85mm F1.4の根幹をなすのが、開放絞りのボケ味と合焦部分の解像力です。本レンズのボケの特長は高い透明感にあります。色収差を徹底的に抑制したことで、合焦部との落差が際立つ、濁りのないボケが得られます。また、前後ともに柔らかみがあり、全体として優美なボケ味を実現しています。合焦部は開放から極めてシャープで、豊かなボケと相まって立体感をリアルに演出。周辺減光も開放から視認できないレベルで、より自由な構図で撮影できます。瞳AFにも対応し、テンポのよい撮影が可能。コンパクトな鏡胴を活かして、スタジオでの本格的撮影はもちろんのこと、野外でのスナップ的なポートレート撮影にも好適です。
齋藤里菜(さいとうりな)
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業。
ソリスト、アンサンブルピアニストとして国内外で演奏活動をしながら、同大学院音楽研究科修士課程に在籍し、更なる研鑽を積んでいる。
女性をスタジオで撮る行為がポートレート撮影なら、身近な人を生活の場で撮る行為もまた、れっきとしたポートレート撮影です。F2.8まで絞っていますが、はにかんだ顔に浮かぶ皺まで克明に再現されています。また、11枚の絞り羽根を採用したことで、絞った状態でも前後共に柔らかなボケが保たれています。
85mmという焦点距離は、大切な要素を強調しやすい画角を提供します。風景やスナップなどにおいても、撮り手が印象的に感じた要素のみを抽出することで、その印象そのものを如実に表現することができます。開放から画面の隅々まで行き渡る高い解像力と美しいボケで、ズームレンズでは味わえない空気感を与えてくれるでしょう。歪曲収差も良好に補正されています。
レンズ構成、画質検証
- SLDガラス
- 非球面レンズ
85mm F1.4 DG DN | Art
(L-Mount / Sony E-mount)
- SLDガラス
- 非球面レンズ
85mm F1.4 DG HSM | Art
(SIGMA SA Mount / Nikon F Mount / Canon EF Mount / Sony E-mount / L-Mount)
ミラーレス専用に設計された本レンズは、ショートフランジバックの特性を活かした、85mmとしては他に類を見ないレンズ構成を採用しています。一眼レフ用レンズ由来の85mm F1.4 DG HSM | Artともまったく異なる構成で、低分散レンズはSLDガラスを5枚使用しています。軸上色収差など光学的にしか補正し得ない収差を抑制しながら、周辺光量の低下や歪曲収差などはカメラ内補正で対応することで、高性能化と小型化を両立させています。以下、本レンズの色収差、サジタルコマフレア、ボケ量、玉ボケの形状について、他のレンズと比較検証しました。
1: 色収差(倍率色収差、軸上色収差)
※赤枠部分を拡大。いずれも開放で撮影。
85mm F1.4 DG HSM | Artとの比較です。両レンズとも色収差が効果的に抑制されており、色のにじみによる解像感の損失も認められません。しかしながら、より仔細に見てみると、若干の差ではありますが本レンズの方がより高いレベルで補正されていることが分かります。
2: サジタルコマフレア
※赤枠部分を拡大。いずれも開放で撮影。
同じく85mm F1.4 DG HSM | Artとの比較です。一般的に大口径レンズではサジタルコマフレアが発生しやすいとされていますが、本レンズは僅差ながら光源をより端正に描写しており、色収差もより効果的に補正されています。
3: ボケ量
※いずれも開放で撮影。
ボケの量は85mm F1.4の生命線とも言える要素です。開放F1.8の85mmレンズと比べても、F1.4がもたらすボケの量は圧倒的。色収差を徹底的に抑制したことで画面全体のヌケが向上し、ボケ自体にも透明感があります。口径食も良好に補正され、周辺光量の低下も抑制されています。
4: 玉ボケ
玉ボケの形状も85mmにおける重要な要素です。本レンズは真円の玉ボケが得られるエリアがF1.8のレンズより格段に広くなっています。これは、被写界深度を浅く保ったまま広範囲で美しい玉ボケを得られることを意味しています。一般的に玉ボケの形状は絞るに従って真円に近づく傾向がありますが、一方でボケのサイズは縮小され立体感も弱まってしまいます。本レンズは、そうしたジレンマを大幅に低減。より自由な表現が可能になりました。
解説
同マウントの85mm F1.4 DG HSM | Artと並べると、本レンズのコンパクトさが際立ちます。一般的な85mm F1.8レンズにも匹敵するサイズで、あらゆるミッションにかつてない機動性をもたらします。
コンパクトなミラーレスカメラと組み合わせてのバランスも良好です。
AFLボタンには任意の機能を割り当てることができます。絞りリングも搭載し、様々な撮影スタイルに対応。絞りリングクリックスイッチを「ON」「OFF」にすることで、「クリック」「デクリック」の切り替えも行えます。反対側には絞りロックスイッチも備わっており、「Aの位置で固定」「A以外のポジションを自由選択」を切り替えることも可能です。また、フードにはロック機構を採用し、確実な着脱を可能にしています。
描写力と携帯性を両立させた、新世代のミラーレス専用85mm F1.4。
F1.4ならではの甘美なボケ味、開放から極めてシャープな合焦面。クラス最高の描写力は、「究極のポートレートレンズ」として開発された85mm F1.4 DG HSM | Art の基準を刷新する仕上がりです。高い光学技術とカメラ内補正を駆使することで、その高い描写力を85mm F1.8クラスの小型軽量サイズで実現したことが、85mm F1.4 DG DN | Artの最大のメリットです。AFLボタンや絞りリングなどを搭載することで高い操作性を実現し、防塵防滴設計としたことで悪条件でも安心して撮影することが出来ます。ポートレートのみならず様々なシーンに、これまでにないフレキシビリティーと喜びを提供してくれるでしょう。