檜枝岐村 / Hinoemata-mura

押本龍一「私の出会う光景」|第354回

押本龍一「私の出会う光景」

October 30, 2024

紅葉には少し早かったが、気持ちのいい秋晴れだった。福島県南西部に位置する檜枝岐村(ひのえまたむら)にあるミニ尾瀬公園から、約10km南西に聳える標高標高2,356mの燧ヶ岳(ひうちがたけ)が鮮明に見えた。南会津郡に属するこの村の中心部は、会津駒ヶ岳、燧ヶ岳、帝釈山等の山々に囲まれた谷を流れる檜枝岐川と川沿いを走る国道352号沿いの標高920mから1000mにある。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 17mm F4 DG DN | Contemporary

2000年の秋、福島県南会津郡西部の一部を散策した。その際、豊かな自然と興味深い歴史や文化もある地域なので、目的地を絞り連泊でのんびりと再訪問したいと思った。そして、この時は足を伸ばせなかった檜枝岐村へ、10月中旬の3連休に行くことが出来た。村へ向かった連休初日は東北自動車道を走る車が多く、宇都宮ICで高速道路から出て日光経由で下道をのんびりと走り、宿泊先のキャンプ場に午後2時半に到着した。チェックインを済ませ、地元の温泉に浸かり犬と少し散歩すると、山々に囲まれた村は暗くなった。予約したコテージの中にペットは入れられないので、夕食後、愛犬を車に入れ私も早めに就寝した。到着した日の午後は一雨来そうな空だったが、翌朝は快晴になった。

村内に残る板倉を移築した板倉群。壁土の採れない檜枝岐では倉も木造だったため、火災から護るため宅地から離れた畑などに建てられた。

【使用機材】 fp L , 17mm F4 DG DN | Contemporary

檜枝岐村で一番見たかった檜枝岐歌舞伎の上演場所となる鎮守神社の境内にある檜枝岐の舞台は、伐採作業中で重機が置かれ、境内は立ち入り禁止だった。檜枝岐歌舞伎は、江戸時代中頃にお伊勢参りの道中で観た歌舞伎を村人が持ち帰って広めたのがはじまりとされ、明治26年の火災後、現存の舞台は明治30年頃に再建されたものだ。昭和51年に国の重要有形民俗文化財に指定されている村の顔とも言える場所なので非常に残念だったが、村の中心地には他にも興味深い場所が沢山あった。

檜枝岐の舞台へ向かう前に車を停めた小さな駐車場から鳥居が見え近寄ってみると、幅の狭い苔生した石段が続いていた。石段の上は山の斜面に鎮守する愛宕神社が鎮座する。

【使用機材】 fp L , 17mm F4 DG DN | Contemporary

石段下の看板によると、御愛宕様は村を守る神として村人の尊崇が高く、亨保20年(17353月の建立で石段は108と書かれている。

【使用機材】 fp L , 17mm F4 DG DN | Contemporary

立ち入り禁止だった檜枝岐歌舞伎の舞台と鎮守神社への参道途中にある「橋場のばんば」と呼ばれるお婆さんの石仏は、子どもを水難から守る水神様として祀られたものだが、錆びたハサミをお供えすると「縁結び」、切れるハサミをお供えすると「縁切り」をお願いする場所でもある。

【使用機材】 fp L , 17mm F4 DG DN | Contemporary

国道352号沿いにあってよく目立っていた六地蔵は、凶作の年に間引きされた赤ん坊の霊と母親の嘆きを供養した地蔵で、季節に合わせた衣装が着せられる。その周辺には、釘を使わない奈良正倉院と同じ造りのセイロウ造り板倉や石碑、石仏群等が残され、村の開拓時代を感じるエリアだ。

【使用機材】 fp L , 24mm F2 DG DN | Contemporary

六地蔵の周辺には開拓者の墓や石仏群等があり、明治中頃まではここより北に住居はなく、この付近は倉や墓石が並ぶ村外れだった。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

村を通り抜ける国道352号沿いから離れて檜枝岐川の東へ行くと田畑が広がり、観光客を見ない静かな里山の風景があった。

稲刈後の田んぼへ三角にワラをたてて干す「ワラの三角帽子」が並んでいた。ワラは主に来年の畑の肥料にするようだ。

【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary

あぜ道に立つ小さな地蔵の周りにはコスモスが沢山咲いていた。花が透過光で美しく見え、逆光気味になるアングルから撮影。

【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary

アザミに蝶や蜂が集まっていた。紅葉には少し早かったが、花は元気よく咲いていた。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

2日目の夜も早く寝て、翌朝は6時から営業している温泉に浸かった後、尾瀬の入り口の七入まで南下した。

檜枝岐から数えて七つ目の沢なのでこの名がついた尾瀬の入り口である七入。この朝も燧ヶ岳がきれいに見えた。この日の朝は数台だったが、七入駐車場は大型車両の駐車やこの先の御池駐車場が満車となった場合にはシャトルバスの発着場としても使用される。

【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary

帰る日、檜枝岐村から北上して南会津町に入ってすぐに現れる屏風岩に立ち寄った。4年前10月下旬は紅葉がきれいだったが、紅葉には早く誰もいない伊南川(檜枝岐の下流)沿いの遊歩道を愛犬と歩いた。

4年前には歩かなかった遊歩道からカメラを三脚に固定し、伊南川の急流をスローシャッターで撮影。

【使用機材】 fp L , 24mm F2 DG DN | Contemporary

4年前、北から南下して屏風岩まで来たが、そこからすぐの檜枝岐村には行けなかったので、4年越しの想いが叶った旅となった。今回立ち入り禁止だった檜枝岐の舞台は、5月の「愛宕神祭礼奉納歌舞伎」、8月の「鎮守神祭礼奉納歌舞伎」、9月「歌舞伎の夕べ」と年3回の公演がある。その何れかの時季に訪問し歌舞伎を観て、尾瀬を歩き会津駒ヶ岳を登る盛りだくさんの旅を計画したい。

動画・静止画を垣根なく行き来できるカメラの特性を活かし、動画は静止画を撮った後、音や動きのある光景を撮影してみた。

檜枝岐神社奉納歌舞伎舞台

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/320s

絞り値

F8.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

17mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

17mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

17mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

17mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

500

焦点距離

17mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/800s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

200mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

ウォームゴールド

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F4.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

400

焦点距離

200mm

カラーモード

ビビッド

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/3s

絞り値

F8.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

色温度指定

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

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