夏の御岳山ロックガーデンコース / Mt.Mitake Rock Garden Course in Summer

押本龍一「私の出会う光景」｜第351回

押本龍一「私の出会う光景」

September 05, 2024

途中小雨も降ったが、時々日が射してくれた。東京都青梅市にある御岳山の南側は、苔むした大小様々な岩の間を流れる沢沿いを歩くハイキングコースがあり、ロックガーデン（御岳岩石園）と呼ばれる御岳山エリアで最も人気のあるコースだ。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

夏に歩くには御岳山（標高929m）は暑いかなと思ったが、まだ見たことのないレンゲショウマと、沢沿いを歩くロックガーデンの涼しげな景色を期待し、連日猛暑が続いていた8月の第3水曜日、東京都青梅市の御岳山へ向かった。自宅から公共交通機関を利用すると現地到着が遅くなるので、車でケーブルカーの瀧本駅まで行き、始発（7時半）に乗った。席に十分な余裕があり、平均勾配は22度（最急勾配は25度）のケーブルカーの後方席に座った。ケーブルカーは、滝本駅（標高407m）から御岳山駅（標高831m）まで、標高差424m、距離1,107mを6分で登る。ケーブルカーの御岳山駅を降りると、夏の妖精と称されるレンゲショウマ群生地へ向かった。

キンポウゲ科の多年草であるレンゲショウマの約5万株の群生地。ロープが張られ、撮影する位置は散策路からに限られているので、人の少ない時間に来て良かった。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

下から見上げると、花が蓮に、葉がサラシナショウマ（晒菜升麻）に似ているのでレンゲショウマ（蓮華升麻）と名付けられたといわれる。

【使用機材】 fp , 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

始発ケーブルカーの乗客でレンゲショウマ群生地へ向かったのは数人だった。朝早く来て群生地に長居をしなかった私は、訪問者は多いと感じなかったが、地元の情報サイトでは、午前9時〜午後3時の間、群生地での三脚使用の制限を呼びかけているので、写真を撮る人はこの時間帯はなるべく避けた方が良さそうだ。群生地からはビジターセンターに立ち寄った後、宿坊集落、商店街を経て、御岳山の山頂に鎮座する武蔵御嶽神社に向かった。境内には見るべきものが沢山あったが、雷も心配させる雨雲が出てきたので長居はせず、拝殿でお参りした後、ロックガーデンを目指した。

雲行きが怪しくなった空が窓ガラスに映り込む武蔵御嶽神社の拝殿。ここまでの登りの階段は結構きつく、汗びっしょりになった。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

ロックガーデンまで「七代の滝」経由で行く分岐点まで来ると、少し悩んだが、いつ雨が降り出してもおかしくない空だったので、そこでは「七代の滝」へは下りずそのまま山道を進んだ。

樹齢350年高さ60mの巨杉の「天狗の腰掛け杉」が、ロックガーデンに至る分岐点から見えたので近づいて撮影した。鳥居が立っているが、ここは武蔵御嶽神社の奥の宮への分岐点。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

ロックガーデンに入る前、天狗岩の手前から「七代の滝」へ下りる分岐があった。ちょうど滝から登ってきた女性から、水量が多くて良かったと聞いたので、諦めていた滝まで下りることにした。木の根が張り出した急坂と鉄の急階段を下り、御岳沢を渡り「七代の滝」に到達すると小雨が降り出した。

名前の由来は、7段の滝からなるとする説と、「神世七代」から来ている説があるようだ。なお、滝は8段とする説もあり、ロックガーデンの下流に位置する滝全体の落差は50m。見られる滝は下から4番目だそうだ。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

「七代の滝」から天狗岩まで戻ると雨が止んでくれた。岩を登り、高さ8mほどの岩の上に設置された天狗の像に近づくことも出来たが、この時雨に濡れて滑りやすい岩を登る人は見なかった。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

御岳沢沿いを歩くロックガーデンに入ると雨の心配はなくなり、時々日も射し、涼しげな風景の中をゆっくりと登った。

日陰の沢沿いは思ったより涼しく快適で、この日はハイカーも少なく撮影ものんびりと行えた。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

東屋やテーブルがあるロックガーデンの中間地点を過ぎると岩壁が狭まり、私的にはこのエリアで一番好きな場所だった。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

古くから武蔵御嶽神社の神事が行われることから「修行みそぎの滝」とも呼ばれている落差10mの「綾広ノ滝」に到着。しばらくすると、滝の下部と、滝の右奥に祀られている祓戸乃大神（はらえどのおおかみ）に陽光が射し、神秘的な光景に暑さを忘れた。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

「綾広の滝」の手前には、中里介山の長編時代小説「大菩薩峠」に出てくる「お浜の桂」と呼ばれる樹齢約300年、高さ38mの巨木があり、力強く張り出した根本部分を撮ってみた。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

時計回りで歩くスタート地点に戻るため、「綾広の滝」の横から登ると滝が見下ろせた。標高861mにある「綾広の滝」から流れ落ちた水は、ロックガーデン、標高709mにある七代の滝を経て、養沢川となり秋川と合流して多摩川に流れ込む。

【使用機材】 fp , 28-45mm F1.8 DG DN | Art

「綾広の滝」からスタート地点に向かって山道を歩いて行くと汗が流れ出て、水辺との温度差を実感した。下山のケーブルカーは座れない人も多くいた。この日は暑いので早く来て水辺を中心に歩いたが、見所の多い山なので、歩きやすい季節に再訪問したい。

この日はとにかく暑かったが、暑さを忘れさせてくれた七代の滝、ロックガーデン、綾広の滝を動画でも撮影した。

御岳山

撮影風景と機材

レンゲショウマも撮る予定だったので、レンズはマクロレンズのSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artと、寄った撮影から風景までカバー出来る28-45mm F1.8 DG DN | Artの2本。カメラはfpを使用。いい汗をかいた一日だった。

使用機材

レンズ交換式カメラ

スチルレンズ

28-45mm F1.8 DG DN | Art

105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

押本龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

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