サンコウチョウと夏の森 / Japanese Paradise Flycatcher and Summer Forest

押本龍一「私の出会う光景」|第350回

押本龍一「私の出会う光景」

August 22, 2024

ヒナに餌を持ってきたサンコウチョウのオスが、餌を与えた後、巣を見張るようにしばらく小枝に留まっていた。巣から顔を出している4羽のうち1羽は、この30分後に巣から飛び出し、残りの3羽もこの日無事に巣立ちした。

サンコウチョウは夏鳥で、日本には5月頃渡来し繁殖、秋に南方へ渡る。鳴き声が「ツキ(月)ヒ(日)ホシ(星)ホイホイホイ」と聞こえるところから、三つの光、三光鳥(サンコウチョウ)と名付けられた。全長は45cm(オス)、17.5cm(メス)。渡来時はオスの尾は長いが、秋に渡るときは長い尾は無くなる。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

近所に住む鳥好きのハルミさんから、サンコウチョウが森戸川の源流に来ているから行ってみたらと勧められた。サンコウチョウの名前は聞いたことはあったが、見たこともなかったので、どんな状況か見るため68日に現地へ行ってみた。そして、現地で会った鳥好きな人の話も面白く何度か足を運び、通い始めて11日目に巣立ちまで目撃することができた。撮影は、鳥にストレスを与えないようにと、地元の愛鳥家の方々の配慮で張られたテープの後ろから撮影した。

以下、この間に付けたメモをベースに写真とコメントを加えた。

6月8日午前9時過ぎ、現地に到着するとオスとメスが交代で抱卵中。週末のせいか、多くのカメラマンとバードウォッチャーが林道に集結。サンコウチョウは遠くから少し撮れたが、次回は早朝に来ようと決意。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

6月12日朝6時過ぎに現地入。既に三脚を立て撮影中の4名のカメラマンの後ろから、1.4倍のテレコンバーター(TC-1411)を付け、抱卵中のオスを撮影。目の周りとくちばしのコバルト色はペイントしたように色鮮だ。

【使用機材】 fp L , 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports , TELE CONVERTER TC-1411 / TC-2011

6月12日朝の7時半を過ぎると鳥目当ての人も増え、逆光気味の朝陽がきつくなったので撮影を切り上げる。林道の奥にもサンコウチョウを見かけた人がいて、奥まで歩くがサンコウチョウは見かけなかった。帰り際、日陰の河原で女性が椅子に座って本を読む光景を撮影した。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

・6月14日午前9時、林道へ行く。歩きはじめの林道で、オオルリを狙う近所のハルミさんと、長年この地に通っているOさんに、「今日は人が多くサンコウチョウはやめた方がいい。ヒナは、来週中に生まれ、頭を出すまで時間がかかる」と言われ、何も撮らずこの朝は退散。

・6月24日朝5時半に現地入り。誰もいなかったが巣に鳥は見えず、大雨でヒナはやられてしまったようだ。

・6月26日朝6時、新しい巣が作られたとの情報を得てその場所へ行く。雨で駄目になった巣より暗く、枝も邪魔をして撮り難い。

・7月56時前に現地入。河原に横須賀から通う男性が撮影中、鳥について色々と話しを聞く。抱卵は始まっている様子。巣にはメスのみが入ったり出たり。4時間の滞在中、オスを見かけたのは2度だけで巣には近づかない。

7月5日、帰り道、大雨でヒナが育たたなかった巣を林道から見上げると傾いてもうすぐ落ちそうだった。抱卵中は近づけなかった巣の近くからAPS-C サイズ(35mm概算で918mm)にクロップして撮影。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

・7月8日午後3時に林道へ。1組の老夫婦が私に続く。林道にカメラマンは1人だけ。誰もいない河原では陽光がレンズを直撃するので林道から撮影。 

・7月16日雨の中、午前10時頃行くが、カメラマンの姿はなくオスもメスも見えず心配になり、雨が上がった午後に再度行ってみると、オスとメス、ヒナの頭も少し見ることができ一安心。情報によると1匹目のヒナは712日に生まれたようだ。

7月17日、昼前に様子を見に行き、いい感じで林道から撮影ができた。林道に6名ほど、河原に2名のカメラマン。巣に餌を運ぶのはメスのほうが多かったが、オスも頻繁に運んで来ていた。時より見えるヒナがだいぶ大きくなった。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

7月19日、朝6時前に河原へ。既に3名のカメラマンが撮影中。メスの方が頻繁に餌を運び、この朝オスの姿はあまり見なかった。私が退散時の8時半頃、河原に6,7名、林道に7,8名のカメラマン。APS-C サイズ(35mm概算で918mm)にクロップして撮影。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

7月21日、この場所で知り合い、今回私が多用した(SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports)を持つ愛鳥家が、林道の奥へ案内してくれることになり朝7時に待ち合わせするも、巣立ちの雰囲気があり河原での撮影に変更。これが幸いし、856分頃、1羽の巣立ちを目撃。鳥好きなカメラマン同士の会話は、初めてサンコウチョウを見る私には有り難い解説になった。

巣立ち間近で活発に動くヒナが4匹いる巣は、小枝についた葉が邪魔をし、森に陽が差しても日陰になりがちだったが、朝陽が1羽のヒナの頭を照らしてくれた僅かな時間があった。APS-C サイズ(35mm概算で918mmにクロップして撮影。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

858分、最初のヒナの巣立ち。まだ巣にいる大きな口を開けたヒナは、一足先に巣から出たヒナを応援しているように見えた。この時木々で朝陽は遮られていたが、明暗が強すぎる状況より数倍撮りやすかった。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

巣立ったヒナは巣から5,6mほど離れた枝に飛んだ。そして、まだ餌が取れないヒナのもとに餌を加えたメスがすぐに飛んで来た。APS-Cサイズにクロップ(35mm概算で918mm)して撮影、高画素が有り難い。

【使用機材】 fp L , 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

卵からかえった日が異なるので、残った3羽のヒナの巣立ちはいつになるのか分からなかったが、カメラマンの数も増えてきたので、9時半に退散。帰り際、林道でオオルリを狙うOさんに会う。1匹のヒナが巣立ちしたことを伝えると、今日は大人数のグループも来るらしいし、もう何十年も来てるいのでサンコウチョウの撮影は遠慮するとのこと。この日の午後3時頃、残りのヒナ3羽も無事巣立ちしたと、近所のハルミさんから連絡あり。

巣立ちから2日後河原へ行く。林道と河原は、これ以上前に出ないように張られたテープが取り払われ、人影はなかった。林道は河原右の石崖の上。

【使用機材】 fp L , 14mm F1.4 DG DN | Art

静けさを取り戻した森は、鳥の鳴き声(特にウグイス)が響き渡り、夕方の木漏れ日が美しかった。

【使用機材】 fp L , 14mm F1.4 DG DN | Art

帰り際、サンコウチョウの大きな鳴き声が高い所から聞こえてきたが、その姿は目撃出来なかった。1時間ほど滞在し、林道で見かけた人間は、トレイルランナー1人、ハイカー2人。この森に通い初めて12日目、カメラを持った人を見なかったのはこの日が初めてだった。そして、多くの人が訪れた後の林道と河原には、ゴミひとつなく、方方から撮影に来た人々のマナーの良さを感じた。撮影に関しては、鳥絡みの撮影はいつもよりISO感度を上げたが、等倍で見ても満足できる画像が得られた。

大雨でヒナが育たなかった巣はSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sportsで撮影した。ヒナが無事に育った巣は少し遠くにあったので、60-600mmより少し軽いSIGMA 150−600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsで通った。

森戸川

撮影風景と機材

ヒナが無事に育った巣を撮影した林道と河原の様子。ヒナがかえった後は人が増えたが、皆距離を取り撮影していた。

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

6400

焦点距離

600mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F4.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

16mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/60s

絞り値

F11

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

6400

焦点距離

840mm(TELE CONVERTER TC-1411使用)

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

400

焦点距離

28mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F8.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

1000

焦点距離

600mm

カラーモード

シネマ

ホワイトバランス

晴れ

焦点距離 (35mm判換算)

918mm

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

4000

焦点距離

600mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/160s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

5000

焦点距離

600mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

焦点距離 (35mm判換算)

918mm

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

5000

焦点距離

600mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

焦点距離(35mm判換算)

918mm

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

6400

焦点距離

600mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

2500

焦点距離

600mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

焦点距離(35mm判換算)

918mm

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art

シャッタースピード

1/6s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

14mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art

シャッタースピード

1/15s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

14mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

oshimoto.net

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