海沢谷 / Unazawa Valley

押本龍一「私の出会う光景」｜第349回

押本龍一「私の出会う光景」

July 31, 2024

岩の間を流れる滝に向かい、カメラを三脚に据え、構図をしっかり決めた。東京都西多摩郡奥多摩町海澤の海沢渓谷にある上と下がねじれた2段の滝は、上段は北向きで落差 6m、下段は北西向きで落差3m。その形から「ネジレノ滝」と呼ばれ、とても絵になる滝だ。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

梅雨が明け、暑さが一段と厳しくなった7月の第3土曜日、涼を求めて東京都西多摩郡奥多摩町にある海沢谷へ出かけた。目的は、谷にある「海沢三滝」と呼ばれる滝だった。奥多摩観光協会のサイトで、「海沢谷には、チャートと呼ばれる硬い堆積岩の地層が渓谷に沿って帯状にあり、硬さに違いのある地層の所では風雨流水の浸食により段差が生じ、このことで滝ができる原因になっている」と説明されている。

目的地まで約2,3kmと近づいた地点にある海沢隧道。手前の観音橋と書かれた橋名板が気になり周辺を少し見回したが、観音様は見当たらず、滝まで早く行きたかったのでこの場を通り過ぎた。後日に調べてみたら瀬見ノ観音という石仏が近くに祀られているようだ。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

スタート地点の海沢園地には朝の6時に到着し、登山靴に履き替え少しストレッチをして海沢三滝ハイキングコースへ出た。木橋を渡り、苔むした大きな岩が転がる緑が濃い森の中を歩いて行くと「三ツ釜の滝」がすぐに現れる。

沢に三脚を立て、3段に落ちる落差18.3mの「三ツ釜の滝」を撮影。滝の横にある鉄製の階段を上がると滝壺が見下ろせる。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

「三ツ釜の滝」横の階段を上がった先は、木の根が張り出した上りになっている。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

岩だけでなく倒木も苔生した朝の森を見て、滝まで行かなくても来た甲斐があったと思った。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

「三ツ釜の滝」から階段を上った先の山道を少し登って行くと、「大滝」までの山道は通行止めだった。その分岐点からタイトル写真に掲載した「ネジレノ滝」へ歩いた。滝の全体像を見るには、滑る岩の上を歩いて行くので、滑る靴で来る所ではない。余談だが、去年の6月に滝周辺で足を滑らせ、カメラを据えた三脚を右肩で背負った状態で尻もちをつき、同時についた左手の手首はまだ完治していない。

「ネジレノ滝」は暗い岩の間を流れ、滝壺周辺も暗かった。ふと見上げると、朝の木漏れ日が岩壁に生息する植物を照らしていた。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

通行止めで行かれなかった「大滝」へは、案内図にはない山道から行けるようだったが、2つの滝だけで十分満足し、「ネジレノ滝」から引き返した。行きは誰にも会わなかったが、「三ツ釜の滝」の滝壺を見下ろせる場所で独りの老人、苔生した大きな岩のあるスタート地点ではヘルメットをかぶった沢登りのグループ（7,8人）とすれ違った。海沢園地に戻ると1台のマイクロバスが到着し、このバスにも沢登りのグループが乗っていたので、ここは沢登りの人気エリアなのかもしれない。

滝も良かったが、苔生した岩が転がる沢も見ていて飽きがこなかった。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

帰りは森に陽の光が差し、暑い一日の始まりを感じた。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

葉は正にフォレストグリーンだった。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

至る所に張り出した木の根。岩の上は滑りやすく、根を手がかりに上り下りした場所もあった。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

「三ツ釜の滝」を上からも横からも行きに撮影したが、帰り道に撮影した、陽の光があり釜の水の色が鮮やかな写真を掲載した。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

「三ツ釜の滝」の、釜とは滝壺のことだ。この滝壺は下段の滝の上にあるが、私の調べた資料のひとつには下の滝壺を入れずに3つの釜が描かれているので、一番下の釜になるのだろうか。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

海沢谷は森も沢もすばらしかったが、やはり滝は良かったと帰宅後に編集しながら思った。そして、「三ツ釜の滝」で深く観察せず滝と滝壺の数も理解しなかったこと、「ネジレノ滝」で滝の正面しか撮影しなかったことが少し悔やまれたので、時季を変えて滝だけ撮りに来たいと思う。それには以前から興味があった沢登りを覚えた方が良さそうだが、その前に左手首を治すのが先決かもしれない。

暑さを忘れさせてくれた海沢谷を動画でも撮影してみた。

海沢谷

撮影風景と機材

この日は、標準ズームのSIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Artと、望遠ズームのSIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sportsの2本を持参した。24mmから200mm間で高い解像力を得て、出会った光景をその場の空気感と共にしっかりと切り取ってみた。

使用機材

レンズ交換式カメラ

fp L

スチルレンズ

24-70mm F2.8 DG DN II | Art

70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

押本龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

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