紫陽花シーズン中の箱根登山電車 / The Hakone Tozan Railway during hydrangea season

押本龍一「私の出会う光景」|第348回

押本龍一「私の出会う光景」

July 18, 2024

大平台隧道前踏切の前で、線路の両脇に咲く紫陽花を入れ、大平台隧道東口から出て来る箱根湯本行きの電車を撮るには、注意看板と電信柱の狭い間から撮るのが最善だと思った。微妙な画角調節が必要な状況下、APS-Cサイズミラーレス用の標準域ズーム(35mm判換算で27-75mm)で、これだと思う画角を迷わず決めて電車を待ち構えた。空は雲に覆われ湿気の多い暗い朝だったが、点灯したライトが良いアクセントになり、レトロな車両も雰囲気があった。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

5月に箱根の早川沿いの堂ヶ島遊歩道を歩き、箱根登山電車を利用した際、「梅雨時は紫陽花がきれいに咲くからその時又来たいね」と楽しそうに話していた老夫婦が車内にいた。梅雨入り後、紫陽花のある光景を撮りに何処か気軽に出かけてみたくなった私は、登山電車で聞いた老夫婦の会話を思い出し、7月初め、箱根湯本駅7時発の強羅行きの電車に乗り込んだ。電車に乗客は少なく1番前の席に座り、1駅先の塔ノ沢駅で下車し、上りホームの地続きに祀られる深澤銭洗弁財天と火伏観音に立ち寄った。

腰を落とし、紫陽花越しに深澤銭洗弁財天の苔むした鳥居の扁額にフォーカスした。塔ノ沢駅の上りホームの地続きに祀られる神社は、ホームから見るより奥が深く、神社の横を流れる沢の音も心地よかった。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

鬱蒼とした森の中にあるような神社の境内から、色鮮やかな箱根登山電車が見られる。

【使用機材】 fp L , 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary

ホームに降り立つと聞こえてくる沢の音は、境内に入るとさらに大きく聞こえ、境内の奥に行くと深い森の中にいるような気持ちになった。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

塔ノ沢駅からは、下車した電車の2つ後の電車に乗り、大平台駅で下車した。箱根湯本から来ると最初のスイッチバックになる出山信号場ですれ違った電車を車内から撮影し、「よーし!」と声を上げた年配男性2人組も大平台駅で下車し、彼らはホームに残った。大平台駅は箱根湯本から来ると2つ目のスイッチバックになり、電車好きの撮影ポイントだ。私は駅を出て、紫陽花の撮影ポイントである「あじさいの小径」まで歩いた。小径の左横から線路を渡る歩行者用の踏切が見え、1人の男性がカメラを構えていた。飛行機も撮るという男性は、電車のことを色々と語り、踏切を通り過ぎた車両は、絵になる旧式だと教えてくれた。後日調べて、この日撮影したレトロな車両は、箱根登山電車の最古参車両であるモハ1形(100形)の104106号車編成だと分かったが、登山電車好きには周知なことなのかもしれない。

線路脇の「あじさいの小径」は予想より紫陽花は少なめだったが、草木に覆われた良い小径だった。撮影した踏切はこの少し手前を左へ進んだ所にある。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

大平台出口踏切から大平台駅8時19発・強羅行きを撮影。車両はモハ1形(100形)の104106号車編成。天気予報では曇りのち晴れだったが、雷の音がしたので雲行きを心配しながらの撮影だった。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

遠くに行く電車ではない事は分かっているが、走り過ぎて景色の中に小さくなっていく電車に何故か哀愁を感じた。良い撮影ポイントなので、紫陽花シーズンは多くのカメラマンがいるかなと予想したが、この時写真を撮っていたのは、男性と私の2人だけだった。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

大平台出口踏切で撮影後、大平台隧道前踏切へ歩いた。カメラを首からぶら下げ温泉宿が建ち並ぶエリアに入ると、地元のおじさんが路地を指差し、「すぐそこだよ!」と教えてくれた。その対応に、踏切を探し回る人が多いのだろうと思った。大平台隧道前踏切では、電車を入れた写真を撮る場所は限られていたが、誰もいなかったので撮りやすかった。

大平台隧道前踏切から大平台隧道東口を見る。抗口の右手前の階段になっている歩道からも撮影した。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

梅雨時のジメジメした空気感を象徴していた苔むした壁横の路地を上り、線路脇に出る。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

線路脇の階段から大平台隧道東口手前の線路の様子を撮影。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

大平台隧道前踏切では、納得できる写真(タイトルに掲載)が撮れ、ある程度の満足感を得て大平台駅に戻った。この頃には雲が切れて強い日差しが注ぎ、箱根はとても暑い日になった。私は到着した強羅行きの電車に乗り、強羅駅で下車した。乗り込んだ旧型車両に冷房はなく、外国人観光客で混んでいた車内は暑く、時より窓から入ってくる僅かな風が有り難く感じられた。強羅では何処かの店でひと休みしようかと考えていたが、観光客が多く、駅周辺をほんの少し見回っただけで1枚の写真も撮らず強羅から離れた。

スイッチバックが行われる大平台駅では点検作業が行われていた。この朝、年配男性2人組が立っていた同じ場所から撮影した後、ホームに入って来た強羅行きに乗った。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

強羅駅から乗った車両は乗客が少なく冷房も効き快適だった。このまま乗り心地の良い車両で箱根湯本駅まで戻っても良かったが、汗が引いて撮影意欲が戻った私は、朝一で立ち寄った塔ノ沢駅で下車した。ホームと地続きの神社はどんよりとした朝とは違い、強い陽光が木々の間から差し込み、真夏の木漏れ日が美しい神社に変わっていた。塔ノ沢駅でホームと地続きの境内で撮影した後、駅から出て南に流れる早川まで歩いてみたが、特に目に付いたものはなかった。箱根湯本まで歩いて戻ろうかとも思ったが、あまりの暑さに塔ノ沢駅に戻り、境内の木陰から沢を眺めてひと休みした後、箱根湯本行きに乗った。

強い陽光が差し込む龍の手水舎。口から勢いよく流れ出る水を見ていると暑さを忘れた。

【使用機材】 fp L , 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

紫陽花シーズン中の箱根登山電車は、「あじさい電車」の愛称で親しまれ、夜はライトアップされた紫陽花が見られるが、2024年度の夜間ライトアップ(614日~630日)は既に終了していた。来年スケジュールが合えば、夜のライトアップされた紫陽花を電車から鑑賞してみたい。

塔ノ沢駅のホームと地続きの神社で始め、神社で終わったこの日を動画でも撮影した。

大平台駅

撮影風景と機材

小型・軽量なAPS-Cミラーレス用レンズ2本で身軽に動き回った。フルサイズのSIGMA fp Lは高画素機なので、APS-Cミラーレス用レンズ使用時でも十分な画素数を得られるのが嬉しい。現時点でシグマからAPS-Cサイズのミラーレス用レンズは、4本の単焦点レンズと2本のズームレンズがあり、コンパクトにまとめたい時はAPS-Cサイズミラーレス用レンズを活用したい。

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

31.7mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

28.7mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

15.1mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/10s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

44.2mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F3.2

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18mm

カラーモード

パウダーブルー

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18mm

カラーモード

パウダーブルー

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

40.3mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18.8mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F3.2

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

27.3mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

使用機材

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

oshimoto.net

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