箱根・堂ヶ島渓谷遊歩道 / Dogashima Valley Promenade in Hakone

押本龍一「私の出会う光景」|第344回

押本龍一「私の出会う光景」

May 21, 2024

堂ヶ島渓谷遊歩道を東から歩き、最終地点近くまで来ると吊橋がかかっていた。半分影になった吊橋を川の東岸から西岸へ渡ると、吊橋の主塔の後方に一段高くなった土地があるので上がってみた。吊橋のケーブル端部を固定するアンカレッジと呼ばれる施設が設置されたその場所は、樹木が密集し陽光が差すことはなく、地面はぬかりジメジメした空気が漂う土地だった。靴は泥だらけになり長居はしたくなかったが、吊橋と午後の光に照らされた新緑が美しい渓谷を撮るには絶好の場所だった。私は、シルエットになった主塔が中央にくる場所でカメラを構え、時間をかけて写真を撮った。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Artを手にした私は、この新レンズ1本で気軽に散策できそうな箱根の堂ヶ島渓谷遊歩道を歩くため、5月の第2土曜日、小田原駅から標高差が大きく急勾配が続く箱根登山電車に乗った。外国人観光客も多く乗っていた登山電車は、標高165mの塔ノ沢駅から標高448mの宮ノ下駅間では3ヶ所のスイッチバックがあり、遊歩道へ行く交通手段としてはかなり楽しく贅沢だった。私は1037分に宮ノ下駅で下車し、堂ヶ島渓谷遊歩道へ下り歩いた。この遊歩道は、明治時代に東京帝国大学教授として日本文化を研究したバジル・ホール・チェンバレンがよく散歩した道ということから、「チェンバレンの散歩道」とも呼ばれ、紅葉の季節に歩きたいと思っていたのだが、新レンズを手にしたので急に思い立って来てしまった。

同じような坂が続いている「デジャブ坂」を下り、早川に至る前に見かけた赤い鳥居と滝。コースから逸れた場所に見えたこの辺りには、かつて大きなホテルがあったようだ。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

現在の地図には記されていないが、昔は「調べの滝」と呼ばれていたようだ。滝が沢山あり、豊かな水の流れも箱根の魅力だと思う。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

標高448mの宮ノ下駅から標高約310m にある夢想橋まで下った。重量感あるトラス橋の橋名板にフォーカスし、新緑の森を大きくぼかした。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

堂ヶ島温泉を開湯したとされる禅僧の草庵跡に立ち寄った。夢窓国師こと夢窓疎石(むそうそせき)は、鎌倉時代末から南北朝時代、室町時代初期にかけての臨済宗の高僧で、禅僧としての名声を嫌い、山野にたびたび閑居したといわれる。復元された庵室前のこの石仏は、後方から木漏れ日が差し、この場所で一番存在感があった。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

夢窓国師の草庵跡に立ち寄った後、早川沿いの遊歩道を歩き始めた。本格的な山道と言っていい区間もあり、登山靴を履いて来て正解だった。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

東京電力の水力発電所施設が遊歩道から見えた。水路を流れるエメラルドブルーの水は目に焼き付いた。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

フェンスに囲まれ人影のない発電所の施設。この時は作業員の姿はなかったが、点検作業等をする作業員も施設と共に撮ってみたくなった。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

水力発電所施設の先には、ツツジが咲く良い休憩場所があった。風で揺れている花より、木漏れ日が美しい地面に落ちた花に惹かれた。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

早川と蛇骨川(じゃこつがわ)との合流点は水量の多い滝になっていた。NDフィルターを使用し、滝の流れをスローシャッターで撮影した。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

東から堂ヶ島渓谷遊歩道を歩いて来ると、遊歩道の目玉と言ってもいい早川にかかる吊橋である「桜橋」が現れる。重量制限大人3人の吊橋は1人で歩いても多少揺れたが、川までの高さがあまりないので怖さはなかった。堰堤から流れ落ちる大きな水の音を聞きながら吊橋を対岸まで渡り、写真を撮った後、渓谷から国道138号沿いの遊歩道のゴールである木賀温泉入り口まで登った。宮ノ下駅からは1200mほどの距離だったが、内容はとても濃い散策だった。

【使用機材】 fp L , 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

木賀温泉入り口からは、箱根レトロを感じるセピア通りと呼ばれる国道1号まで下り、そのまま宮ノ下駅まで歩いた。下りで歩きやすいこの区間は約800m、遊歩道とは全く違う雰囲気を味わい登山電車に乗り帰路に付いた。

今回使用したSIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Artについて:

2005年秋、そろそろデジタルカメラを試そうと思い、某社のデジタル一眼レフカメラと一緒に購入したのが、シグマ社の標準ズームレンズ・SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACROだった。フィルムカメラ時代にはAFレンズは使わなかったので、私の最初のAFレンズとなった。その後このレンズは各地で長く使用することになり、24-70mmという標準ズームには特別な想いがある。今回発表された24-70mmは、コンパクトなサイズと絞りリング、早くてスムーズなAFが嬉しく、ズームレンズ特有の歪みがないのも有り難い。ズーム全域で高い光学性能は多くの方が触れている通りで、今後使い込めば更に実感するだろう。組み合わせるレンズを考える楽しみが又増えた。

この日、変化に富んだ堂ヶ島渓谷遊歩道では誰にも会わなかった。 人気のある箱根では穴場だと思う渓谷を動画でも撮影した。

堂ヶ島渓谷遊歩道

撮影風景と機材

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art1本で軽快に歩き、静止画と動画を撮影した。

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F7.1

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24.7mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

61.3mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/15s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

250

焦点距離

64.5mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F2.8

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

53mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

160

焦点距離

70mm

カラーモード

パウダーブルー

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

160

焦点距離

26.8mm

カラーモード

シネマ

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F3.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

30.5mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1.0s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

33.7mm

カラーモード

フォレストグリーン

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art

シャッタースピード

1/320s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

39.9mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

使用機材

レンズ交換式カメラ

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

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