石川県珠洲市へ / To Suzu City, Ishikawa Prefecture

押本龍一「私の出会う光景」|第342回

押本龍一「私の出会う光景」

April 18, 2024

2024年(令和6年)11日16時10分、石川県能登半島の地下16 kmで発生した「令和6年能登半島地震」の影響で、全線が運休に追い込まれた石川県の穴水駅(穴水町)と七尾駅(七尾市)を結ぶ「のと鉄道」は、215日から七尾駅〜能登中島駅間で運行を再開していた。地震から約3ヶ月後の331日、私は国道249号沿いの幅の広い歩道から、石川県七尾市中島町塩津にある「のと鉄道」の笠師保駅(かさしほえき)に電車が到着する光景を撮影した。そして、この日から6日後の46日、速度を抑えて運転する等の制限を設けたが、全線が開通した。

(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックして見て欲しい。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

非営利団体に属する知人が能登半島へ地震被害の調査に行くことになった。同時期に富山市で用事があった私は、能登半島調査に一日だけ同行した。能登半島には、2013年の暮にアメリカから日本へ里帰りした短い滞在中、友人の誘いで旅へ出た。寒かったが、輪島の朝市にも行くことができ、楽しい思い出となっていたが、この様なかたちで再訪問することになるとは思ってもみなかった。

2013年暮に訪れた能登の旅

97回:冬の能登半島(前編)https://www.sigma-global.com/jp/special/oshimoto_photoessay/2014/20140122.html

98回:冬の能登半島(後編)https://www.sigma-global.com/jp/special/oshimoto_photoessay/2014/20140206.html

能登半島へ入る前、10年前の冬にも来た富山県高岡市の雨晴海岸に立ち寄った。晴れていれば立山連峰の山々が見える人気の撮影スポットだ。この朝、海の向こうに山々は見えなかったが、太陽が雲から出て来て、女岩がシルエットになり、ドラマチックな風景が撮れた。

【使用機材】 fp L , 50mm F1.2 DG DN | Art

雨晴海岸から近い水田地帯でアオサギを見かけ、今回の旅に持ち込んだハンディなSIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sportsで、30m以上先にいたアオサギを撮影した。警戒心の強い鳥は、この位置から少し近づくと飛んで行ってしまった。

【使用機材】 fp L , 500mm F5.6 DG DN OS | Sports

能登半島東の付け根部分に位置する富山県氷見市の水田地帯水仙が咲いていた。あまりにも見事に咲く水仙に惹かれ、車を路肩に停めて地面に這いつくばり、見上げるように撮った。

【使用機材】 fp L , 50mm F1.2 DG DN | Art

森を控える民家の瓦屋根が黒光りし、田んぼで鍬を持つ農夫の帽子が逆光に浮き出ていた。石川県中能登町でこの光景を見た時、能登半島に来たなと実感したが、作付けのための田起こしだと思われるこの作業は富山県氷見市の水田でも見かけていた。地震により隆起と沈下が繰り返し起こり、波打ってしまった水田もあるようだが、この周辺の水田地帯には、鍬を担いであぜ道を歩く農夫、一箇所に集まり作業の打ち合わせをするグループを何度か見かけた

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

七尾市まで北上すると、倒壊した民家や商店を多く見かけ、地震の被害を目の辺りにした。建物が密集する七尾市の集落からは、深い森が続く丘陵地帯を北上した。丘陵地帯では建物をあまり見なかったので、地震の被害があまり分からない区間だったが、山の斜面が崩落している土地を何箇所か目撃した。

県道57号から見えた石川県能登町の倒壊した民家。裏山は崩落して家が土砂に押し倒されたように見えたが、屋根の形は残り、黒い瓦は艶があり光っていた。

【使用機材】 fp L , 50mm F1.2 DG DN | Art

県道57号は所々デコボコがあったが、かなり補修され問題なく走れた。何か物資を運搬しているのか、中にはかなりのスピードで走る車もあった。

【使用機材】 fp L , 50mm F1.2 DG DN | Art

被害が大きかった石川県珠洲市宝立町に立ち寄った。珠洲市立宝立小中学校では、施設を利用する地元の人とボランティアの人が大勢集まっていた。知人が話を聞いた関西から来ているボランティアの人は、地震発生の翌日から被災地に入り、自宅に帰宅することなしに支援活動をしているとのことだった。これから春が来ると寒さからは開放されるが、気温が上がると衛生面の管理が難しくなり、必要な支援は刻々と変化しているとも言われていた。



写真を撮る私の側をパトカーが何度か通り過ぎて行ったここは、珠洲市立宝立小中学校の学生が、国道249号を横断して来た住吉神社前。道路は車が問題なく通行出来るが、水道も下水もまだ復旧されておらず、瓦礫の山が続いていた。

【使用機材】 fp L , 24mm F1.4 DG DN | Art

国道249号沿いにある消防団の建物。正月のお飾りが付いたままで、奥の鏡には私が背にした道路沿いの瓦礫の山が映り込んでいた。

【使用機材】 fp L , 24mm F1.4 DG DN | Art

石川県珠洲市野々江町にある道の駅に立ち寄った後、県道287号を北上した。電信柱や道路標識は傾いていたが、道路が補修され先へ進めた。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

10年前の冬、道路から見かけた鳥居に惹かれ、鳥居前で写真を撮った須須神社奥宮へ向かったが、県道28号沿いから見えるはずの鳥居が見えず、1500mほど通り過ぎてしまった。10年前に来た時は雪に覆われていたので、見え方が変わり通り過ぎたかなと思ったが、引き返して見ると、鳥居周辺は整備されて雰囲気がかなり違っていた。知人と私は、広い路肩に車を停め、車道から階段を登り最初の鳥居を潜り、以前来た時には見ることがなかった山道を進んだ。

笠木が崩れ落ちた二の鳥居に到達し、鳥居横を通り振り返って撮影した。いつ崩れ落ちたのかは分からないが、地面に落ちた鳥居に大きな汚れもなく、割と最近落ちたように見えた。

【使用機材】 fp L , 50mm F1.2 DG DN | Art

山伏山(標高172メートル)の頂上に鎮座する須須神社奥宮までの山道は、獣の匂いが漂い、思ったより距離があり、途中からきつい登りになった。

登り着いた須須神社奥宮は、狛犬も灯籠も倒れていた。同じ位置から撮られた写真を確認したところ、2023年の4月に撮られた写真には狛犬は写っていたが、同年6月に撮られた写真には狛犬は既に倒れていた。55日午後242分ごろ発生した石川県珠洲市での地震(最大震度6強)で、倒壊したのかもしれない。

【使用機材】 fp L , 14mm F1.4 DG DN | Art

珠洲市によると、奥社から直線距離で南東2kmに位置する須須神社は、日本海側一帯の守護神とされ、第10代祟神天皇の時代に創建された。祭神は、寺家高座宮の主神高倉彦神(たかくらひこのかみ)で、今回登った山伏山山頂の須須神社奥宮に祀られている祭神は、美穂須須美命(みほすすみのみこと)と説明されている。

石川県神社庁よる「須須神社奥宮」の更に詳しい説明:https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j1834/

須須神社奥宮は、照葉樹が鬱蒼と生い茂る森に囲まれ、視界はあまり開けてはいないが、木々の間から海が見え気持ちの良い場所だった。度重なる地震にも耐えた拝殿前で、復興を祈り下山した。帰りの道中、石川県七尾市中島町にある「のと鉄道」の笠師保駅に立ち寄り、駅に到着した七尾行きの電車を撮影した。桜はまだ蕾だったが、全線が開通した6日後は桜がある光景が撮れたと思う。いつの日か、桜が咲く能登半島を撮影したいと思い、能登半島を後にした。

太陽が昇る前、雨嵐海岸を動画で撮影した。

須須神社 奥宮

撮影風景と機材

度重なる地震により、鳥居も狛犬も灯籠も倒れていた須須神社奥宮。 短い滞在中だったが、人の気配は全く感じなかった。

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

200mm

カラーモード

ウォームゴールド

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 500mm F5.6 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/800s

絞り値

F7.1

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

500

焦点距離

500mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F7.1

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

180.4mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art

シャッタースピード

1/320s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

24mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

173mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art

シャッタースピード

1/640s

絞り値

F2.8

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

50mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F5.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

14mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

oshimoto.net