青梅駅周辺を散策 / Stroll around Ōme Station
押本龍一「私の出会う光景」|第339回
押本龍一「私の出会う光景」
March 06, 2024
JR東日本・青梅線の青梅駅の改札口へ続く階段を上って振り返り、対角魚眼レンズで映画看板も並ぶ昭和レトロな雰囲気が漂う構内を撮影した。
(注)PC版では左右がクロップ表示されるので、ダウンロードボタンをクリックし、対角魚眼レンズの迫力ある歪曲効果と画角180°の独特な遠近感を確認して欲しい。
東京都青梅市本町にある青梅線の青梅駅とその周辺は、対角魚眼レンズに面白そうな町並みがありそうなので、2月の第3火曜日、電車に乗って出かけてみた。朝9時過ぎ、奥多摩方面へ行く際に通過するだけだった青梅駅へ初めて降り立ち、地下通路へ行くと私の得た情報で張られているはずの映画看板が一枚もない。タイトル写真用に、左右の壁に映画看板がある地下通路を撮影する予定は崩れ、「あれ、おかしいな−」と呟きながら改札口へ繋がる階段まで歩くと左右と後方に映画看板が並んでいた。映画看板以外にも普通のポスターが張られていたが、外光が入る屋根とライトもいいレトロ感があった。映画看板のある写真が撮れて一安心した私は、青梅駅の改札口を出て南へ歩き、旧青梅街道を東へ歩いた。
旧青梅街道沿いの商店の壁に張られたレトロな看板。手が届く距離から消火栓器具格納箱と共に縦位置で切り取る。広い画角だけでなく、被写体の存在感が強調される対角魚眼レンズの魅力を感じた写真になった。
旧青梅街道から雪守横丁(守谷横丁)に入り、自転車屋の軒先テントの下から「ローマの休日」仕立ての紙店の看板と自転車のタイヤが置かれている狭い横丁を撮影。全てが大きくドラマチックに記憶された、幼児の頃暮らした町並みを連想させる光景だった。
1956年に公開された「Bus Stop」の映画看板が上部に取り付けられ、内部にはレトロなポスターが貼られた住吉神社前・バス停留所の待合室。歩道で正面から写し込めたが、通常の広角レンズでは斜め横からでないと無理だった。
レトロな看板が貼られている昭和幻燈館横のブリキ壁。朝の光が直撃して色鮮やかだった。青梅駅に到着してからカメラに対角魚眼レンズを装填したままだったので、標準レンズの代表格である、IシリーズのSIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporaryに交換し気持ちを仕切り直した。
【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary
旧青梅街道から見ると急な階段が呼んでいる気がして上った青梅市指定史跡の住吉神社。拝殿前で鈴緒を触れる位置に立ち、賽銭箱から扁額まで入れて撮影出来た。高台にある境内に暖かい朝陽が届き、心地よいのでしばらく境内に留まった。
住吉神社からは東へ徒歩で8分ほどの距離に建つ木造の映画館へ、上映予定も調べずに行ったが館内に入れず、外から窓越しに館内の内部を少し覗き見した。周辺には敢えて見るものはなく、再び旧青梅街道に戻り、街道南の延命寺横丁に入ってみた。横丁で最初に興味を持った国の登録有形文化財(建造物)指定の津雲邸は閉館していたが、横丁の名にもなっている延命寺の境内で見頃だった紅梅を撮った後、青梅駅へ戻った。タクシー乗り場では、女性ドライバーが車から下りて前に停車しているタクシーの横に立ち、男性ドライバーと話をしている物静かな駅前は、東京都なのに地方に来た感じがした。私は駅前のロータリーに面したベンチに座り、駅前の様子を眺めながら駅横のコンビニで買ったサンドイッチを頬張った。
延命寺横丁沿いに面した場所にお地蔵さまや如意輪観音の石仏が祀られている。撮影時では気に留めなかったが、写真をよく見ると「笹の角地蔵尊」の横に「おねしょが なおりますように」と書かれた小さな木札が立ち、木札の質感も克明に写っていた。
延命寺の境内に咲く紅梅。延命寺は、臨済宗建長寺派の寺院、山号は住吉山。応安2年(1369)に創建、季竜元筍の開山。青梅七福神の大黒天。
青梅駅の駅舎は、明治末期に敷設された青梅鉄道時代、1924年(大正13)に開業30周年に伴い当時としては珍しかった鉄筋コンクリート建てに改築された建物。3階にはベッド、2階には機材類が窓越しに見え、のんびりとした雰囲気がいい駅舎を正面から少し横に外れて切り取った。
【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary
青梅駅前でランチブレイクの後、駅北東の丘の上にある青梅鉄道公園へ上って行ったが、リニューアル中で閉館していた。鉄道公園の敷地内には入れなかったので、館内の外に展示されている機関車や電車をフェンス越しに見ていると、人の良さそうな若い公園職員が、「入れなくて済みません、リニューアル中なので」と頭を下げて電車の横を通り過ぎて行った。
青梅線の線路を橋で渡った永山公園通り沿いにある飲食店。この日は定休日だったが、青梅線の走行音を聞きながらお茶でもしたくなる店だった。レトロな壁に一際目立つ映画看板の前に立ち撮影、壁の隅々までしっかりと読み取れる写真が撮れた。
ボールを壁に打つ音が力強く響いていた永山公園総合運動場のテニスコート。扉の前に立ち、独り汗を流していた老人にピントを合わせた。
青梅鉄道公園は閉まっていたが、青梅と書かれたサインが見られ青梅に来て正解だったと思い、フェンス越しに撮影した。
【使用機材】 fp L , 50mm F2 DG DN | Contemporary
いつも通り過ぎるだけだった青梅駅に降り立ち周辺を散策したこの日、天気にも恵まれ、良い散策が出来た。駅前の時間がゆっくり過ぎていく雰囲気も気に入った。
使用したレンズは、新レンズの対角魚眼レンズ・SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Artをメインにし、IシリーズのSIGMA 50mm F2 DG DN | Cotemporaryも少し使用した。15mmは独特な世界が得られるのは分かっていたが、解像度は予想よりはるかに高かった。
撮れる写真は面白いが、解像度は今ひとつだと思っていた対角魚眼レンズの常識を変えたレンズだと思う。50mmは、強烈なキャラクターがある15mmと同時に使用すると原点に帰った気にさせてくれた。
青梅駅
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/125s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
400
焦点距離
15mm
カラーモード
シネマ
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/160s
絞り値
F4.0
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
ウォームゴールド
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/125s
絞り値
F2.8
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
200
焦点距離
15mm
カラーモード
デュオトーン R1
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/160s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
ウォームゴールド
ホワイトバランス
晴れ
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード
1/800s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
50mm
カラーモード
スタンダード
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/200s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
ウォームゴールド
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/160s
絞り値
F8.0
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
スタンダード
ホワイトバランス
晴れ
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/250s
絞り値
F6.3
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
風景
ホワイトバランス
晴れ
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード
1/1000s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
50mm
カラーモード
シネマ
ホワイトバランス
晴れ
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/160s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
ウォームゴールド
ホワイトバランス
オート
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art
シャッタースピード
1/400s
絞り値
F5.6
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
15mm
カラーモード
フォレストグリーン
ホワイトバランス
晴れ
カメラ
SIGMA fp L
レンズ
SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
シャッタースピード
1/500s
絞り値
F4.5
露出モード
M-マニュアル露出
ISO感度
100
焦点距離
50mm
カラーモード
モノクローム
押本 龍一
フォトグラファー
東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。