12月中旬の朝夷奈切通 / Asaina−kiridoshi in mid-December

押本龍一「私の出会う光景」|第335回

押本龍一「私の出会う光景」

January 12, 2024

12月中旬の昼時、風に揺れキラキラと輝く銀杏黄葉(いちょうもみじ)に出会い、立ち位置、アングル、レンズを変え、何枚も写真を撮った。中でも、根本付近から仰け反るように見上げて切り取った透過光で明るい光景は目に焼き付つき、アスペクト比(219)のタイトル写真にフィットした。この銀杏は、神奈川県の鎌倉市と横浜市の境界線付近の山中ある朝比奈熊野神社の境内に生息している。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

2023年の秋は残暑の影響により紅葉シーズンの到来が例年より遅いと思った私は、12月中旬になり、ようやく紅葉のある光景を撮るため、以前から一度歩きたかった神奈川県鎌倉市十二所から横浜市金沢区朝比奈町を結ぶ朝夷奈切通(あさいなきりどおし)へ向かった。ここは、鎌倉時代に造られた「鎌倉七切通(かまくらななきりどおし)」または「鎌倉七口(かまくらななくち)」と呼ばれる切通しのひとつで、国史跡に指定され、現行地名に従い「朝比奈切通」と表記されることも多い。1214日の朝、私はJR鎌倉駅の東口からバスに乗り「十二所神社」で下車した。交通量の多い金沢街道から脇道に入って10分ほど歩き、1183年(寿永二年)に頼朝の命を受けた梶原景時が上総介広常を討った後、血のりの付いた太刀を洗ったという伝説がある梶原大刀洗水(かじわらたちあらいみず)付近から撮影を開始した。

鎌倉五名水の一つである梶原大刀洗水から50mほど歩くと、武将・御家人の朝夷奈三郎義秀が朝夷奈切通を一夜にして切り開いたという伝説に由来する七曲川が流れ落ちる三郎の滝(朝比奈の滝)が待ち構えている。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

三郎の滝から色づいた落ち葉のカーペットを踏み、見事に紅葉した区間を歩く。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

足元には光が届かず冷え込んでいたハイキングコースは、見上げると美しい紅葉が続く区間もあり、目を楽しませてくれた。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

三郎の滝からはさらに湿った道になり、底の薄いスニーカーだと靴の中が濡れてしまう区間もあった。

【使用機材】 fp L , 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary

鎌倉市と横浜市の市境辺りに「大切通し」と呼ばれる大きな岩壁に掘られた磨崖仏がある。日陰で冷え込んでいたが、夏場は暑さから逃れ休憩するには良い場所だ。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

路面に水が流れる区間を登り切った先にある「大切通し」は、朝夷奈切通で最も高い位置の朝比奈峠(標高108m)付近に位置し、そこを越えると横浜市金沢区に入り、右手の南には熊野神社へ続く分かれ道が開かれている。この道を進み杉木立の中を歩いて行くと鳥居前に出る。源頼朝が鬼門にあたるこの場所に、守護神として熊野三社大明神を勧請したことが始まりと伝えられる熊野神社の社殿は、鳥居をくぐり急な石段を登った朝比奈峠より高い場所に建っている。境内には温かい陽光が差し込み、湿って冷たい空気に包まれた切通しから登って来た者にとっては、同じエリアにありながら別世界に足を踏み入れた気がし、黄葉した銀杏を撮影した後、しばらく鳥の鳴き声を聞き境内で陽光を浴びた。

木漏れ日が美しい杉木立の中、鳥居をくぐり石段を登り熊野神社へ。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

温かい地面の上にうつ伏せになり肘を付き、陽光をふんだんに浴びた銀杏の落葉を撮影。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

同じエリアでも日向と日陰の大きな差を感じた熊野神社から再び切通しに戻って東へ歩き、「横浜横須賀道路」の高架下をくぐり庚申塚まで歩いた。数百メートル先には金沢八景駅へ行くバス停があるが、歩いて来た切通しを引き返した。

道幅が狭いので左右の岩壁が身近に感じる金沢地区にある「小切通し」。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

「横浜横須賀道路」の高架下の東にある庚申塚は、朝比奈ハイキングコースの横浜市側からのスタート地点になる。

【使用機材】 fp L , 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

横浜市側から「小切通し」を登り、朝比奈峠と大切通しを越え、鎌倉市側の切通しを下った。鎌倉市側は朝登った時刻と帰りに下った時刻に数時間の差があり、朝より大分明るく見えた区間があった。又、登り歩くのと下り歩くのでは視界に入って来る光景が随分違って見え、帰りも撮影意欲が失せることはなかった。

切通しを下りて行くハイカーを追うと、朝登って来たときには気が付かなかった道の曲がりと道幅の違いが見えた。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

道の両側にある側溝だけでなく、歩く路面にも水が流れる直線的な区間に石仏が立っている。下りで見下ろすアングルとなり、弱い木漏れ日も手伝い、石仏の柱石上部に置かれている硬貨が目を引いた。

【使用機材】 fp L , 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

朝夷奈切通は日陰の部分が多く、鎌倉市側は路面に水が流れ河道と言ってもいい区間もあったが、銀杏の黄葉が美しい熊野神社付近はふんだんな陽光が注ぎ、同じエリアでも明暗の激しい光景が撮れた。

歩き自体は、鎌倉市の金沢街道沿いにある「十二所神社」バス停から横浜市側の高架下の東にある庚申塚までの往復と、切通しから熊野神社を入れてトータルで4km足らず。濡れた路面だけの区間だけ少し気を使ったが、高低差も少なく程よい運動量だった。

切通しでは水の流れる音、熊野神社では鳥の鳴き声が耳に残った。

朝夷奈切通

撮影風景と機材

新レンズのSIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sportsは小型で軽量なので、Contemporaryの広角ズームと標準ズームを組み合わせ、フットワークも軽く朝夷奈切通を撮影した。

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/400s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

70mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/60s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

200

焦点距離

16mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F3.2

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

400

焦点距離

70mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/30s

絞り値

F4.5

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

16mm

カラーモード

ビビッド

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1s

絞り値

F6.3

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

70mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/30s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

500

焦点距離

21.2mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/60s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

500

焦点距離

16mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/500s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

18.2mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/13s

絞り値

F4.0

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

16mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シャッタースピード

1/250s

絞り値

F5.6

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

100

焦点距離

16mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

晴れ

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/200s

絞り値

F2.8

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

400

焦点距離

200mm

カラーモード

風景

ホワイトバランス

オート

カメラ

SIGMA fp L

レンズ

SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports

シャッタースピード

1/125s

絞り値

F3.2

露出モード

M-マニュアル露出

ISO感度

400

焦点距離

118.5mm

カラーモード

スタンダード

ホワイトバランス

オート

押本 龍一

フォトグラファー

東京品川生まれ。1982年留学予定で渡米。1984年ニューヨークへ渡り広告写真スタジオで働き始める。1991年フォトグラファーとして独立。1995年ニューヨークからロサンゼルスへ移動。2018年より日本を拠点にし現在に至る。

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