第324回
鎌倉の夏の花 / Summer flowers in Kamakura
July 20, 2023
神奈川県鎌倉市雪ノ下にある鶴岡八幡宮の境内にある源平池は、蓮の花が見頃を迎えていた。ひょうたん形の池は、大きい東方を源氏池、小さい西方を平家池と呼び、この写真は源氏池で撮影した。蓮の花と旗上弁財天社が建つ島へ架かる赤い橋を程よい大きさに写すには、標準レンズが最適だった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
7月も中旬になると、各地で蓮の花が見頃だとのニュースを見かけた。蓮の花をきちんと撮ったことがなかった私は近場で蓮の花が見られる場所を探し、鶴岡八幡宮の境内にある源平池へ行くことにした。朝一番のバスで横須賀線の逗子駅へ行き、逗子から一駅だけ乗って鎌倉で電車を降りた。車道より一段高い歩道の段葛を歩き、三の鳥居を潜って太鼓橋の左右に広がる源平池に至り、朝の6時半から撮影を開始した。
ピンクの蓮の花に朝陽が逆光気味にいい感じで差し込んでいた。
背景の葉に陽光はまだ届ききらず、花が一段ときれいに見えた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
朝陽はまだ届かない暗い池の部分に咲く白い蓮の花。
陽光がないので光の当たり具合を考えずに撮影した。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
花が落ちた蓮、花が咲いている蓮、これから花を咲かせる蕾の蓮が見られる池。
朝陽が透過光になった大きな葉も美しかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
鯉が見られる池は、造られた当時は捕らえられた生物を放す儀式を行うための放生池として使用されていたと考えられている。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
太鼓橋の左右に広がる源平池は、寿永元年(1182年)4月、源頼朝が僧の専光坊や武将の大庭景義らに八幡宮内に池を掘らせたという説と、頼朝の妻・政子が、源氏繁栄を願い池を造らせ、東の池には白い蓮、西の池には赤い蓮を植えさせて、源平の旗の色を表わし、源平池という名前が付いたという説がある。
源平池が造られた時に架けられたといわれる太鼓橋周辺は、色鮮やかな七夕の飾りが目立っていた。当時は朱塗りの板橋造りで赤橋と呼ばれていた。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
梅雨はまだ明けていなかったが、朝から強い陽射しが差す本格的な夏の日だった。私は、蓮がないことは知っていたが、日陰が多い鎌倉市大町にある妙本寺へ陽射しから逃れるために向かった。妙本寺がある土地は、鎌倉幕府の有力御家人だった比企能員(ひきよしかず)一族が住む谷戸(やと)であったので、比企谷(ひきがやつ)と呼ばれている。比企一族は建仁3年(1203年)に北条一族によって滅ぼされ(比企の乱)、鎌倉の複雑な抗争があった地だが、祇園山に面した境内は静かで落ち着く空間だった。杉木立の参道を通り抜け、石段を登り切ると目の前に弁柄塗りの二天門が出迎え、二天門越しにノウゼンカズラが見えた。休憩目的で訪れたお寺でノウゼンカツラを撮影出来たのは想定外だった。
一般的な寺院に見られる仁王門とは異なり、帝釈天に仕える四天王「持国(東)・広目(西)・増長(南)・多聞(毘沙門)(北)」のうち、持国天(右)と多聞天(左)を安置してあることから二天門と呼んでいる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 50mm F2 DG DN | Contemporary
二天門を潜り抜け、ノウゼンカズラの花が咲く下に入り込む。
日陰は涼しく過ごしやすく、夏の暑い日には有り難い境内だ。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
満開だったノウゼンカズラを目の前にし、撮らずに境内を去るわけにいかなかった。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
落花になっても色鮮やかなノウゼンカズラの花。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 90mm F2.8 DG DN | Contemporary
妙本寺からは、境内に蓮の鉢がまとめて置いてあると聞いた鎌倉市小町の本覚寺へ向かった。妙本寺の総門を潜り住宅の間の道路を100mほど西へ歩くと、滑川に架かる夷堂橋(えびすどうばし)で川を渡る。目の前に本覚寺の仁王門が建っているが、橋の上から鴨が見えたので、境内手前の川沿いの小道に入って近づいてみた。鴨の親子がよく見えたので撮影していると、木陰から女性が「何を撮られているのですか?」と訊いてきたので、「鴨です、こちらからよく見えますよ」と返すと、「カワセミかと思いました」と女性が言った。写真を撮るには難しいが、朝の滑川にカワセミがよく見られるようだ。
鴨の親子が気持ちよさそうに水浴びをしていた滑川。鎌倉市十二所の朝比奈峠付近を源流域とし、由比ヶ浜と材木座海岸間で相模湾に注いでいる。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
滑川で見かけた鴨を撮った後、本覚寺の仁王門を潜り境内に入ると、たくさんの蓮の鉢が一箇所に置いてあった。蓮の花は高い位置に咲いていたので、鎌倉八幡宮の源平池と違ったアングルから蓮の花が撮れた。
花が高い位置に咲いていたので、背景を取り込んだ花の近接撮影が出来た。
【使用機材】SIGMA fp L, SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary
蓮の花は、鶴岡八幡宮の境内にある源平池と本覚寺では鉢植えで撮れた。妙本寺のノウゼンカズラと滑川での鴨の親子が撮れたのはおまけだった。この日は熱中症アラートが出ていたので、もう一箇所予定していたお寺には行かずに帰路に付いた。鎌倉は四季折々の光景が撮れる魅力のある場所なので今後も定期的に散策したい。
源平池、妙本寺、滑川にいた鴨の親子を撮影した。
源平池
撮影風景と機材
撮影機材を妙本寺の二天門の横に置いてみた。
カメラリュック横のポケットに見える赤いキャップは虫よけスプレー。